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魔王との戦い56

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 魂に作用する私の仙眼
 それは相手が嘘をついているかまで見抜くことができるんだよね
 この魔王は何も嘘を言っていないどころか、こっちをなぜか愛おしそうに見ている
「あなたの目的は何!? なんで、なんで本当にそんなことを思っているの!?」
 私は思い切ってそう聞いてみた
「ミア、本当って、この魔王は本当にヒト族を守ろうとしてるってこと?」
「うん、針の魔王は一切嘘を言っていない。私の眼で視たから間違いないよ」
 私達をジーッと見つめる針の魔王
「ふむ、わらわはそなたたちヒトに負けた。わらわは自分でも世界に敵はいないと自負しておった。満身じゃな。じゃがそれでもわらわは油断などしておらなんだ。それなのにあの勇者は・・・。見事わらわを見つけ出し、討った。正直あれは、惚れたぞ。死ぬ間際、もしわらわが生まれ変わることがあれば、あの勇者が守ったこの世界を守ってやろう、そう思ったのじゃ」
 全部、本心だった
 何も嘘はない
 彼女を倒した勇者は確か、金冠の勇者って人
 金色の輪を召喚して、その輪から大量の魔獣や神獣を召喚したり、精霊を召喚したり、さらには輪を使って空間移動、千里眼などを利用できる
 多分その千里眼や空間移動を駆使して彼女の居場所を見つけてたんだと思う
「全部本心だよ・・・。信じられないかもしれないけど、針の魔王は、本当に私達を守ってくれるみたい」
「では戦う意志は、無いのですか? 先ほどの殺気はとてもそうは思えませんでしたが」
「あれはわらわの実力を感じさせて交渉を円滑にしようとしただけじゃ。どうじゃ?わらわの実力は十分に理解できたじゃろう?」
 確かに彼女を倒すには私達じゃ不十分
 マリオンちゃんが起きてれば何とかなりそうだけど・・・、この子は完全にエネルギー切れだし
「私達だけの判断じゃ決めかねます。一度力を完全に抑えてギルドまで来てください」
「よかろう。何ならお前たちに拘束されてもよいぞ。そこの猫。お前ならわらわを完全に力を使えない状態にできるじゃろう?」
「確かにできるよ。でも、その後、殺されちゃうとか考えないの?」
「さっきも言ったじゃろう。わらわはもう死者じゃ。いつ死のうと構わん」
「・・・。分かった。拘束するから力を抑えて」
「うむ」
 針の魔王の力は完全に抑え込まれ、私はそれに合わせて仙術で拘束した
 心の鎖
 これはもし私達の意図に反した行動をすれば即魂を鎖によって奪われるという術
 少しでも危険なそぶりを見せれば即発動するように仕掛けておいた
「ふむふむ、興味深い」
 余裕そうな口ぶりだけど、その額には汗がにじんでる
 魂と心を直接仙力の鎖で掴まれてるわけだからね。そりゃ不快感は相当なものだと思う
 ひとまず彼女を連れ、私達はギルドへ戻った
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