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決戦9

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 三日後
 猫精霊の国から黄泉手前の街ハグレまで来た私達
 この街はその名の通りはぐれ物たちが作った町で、犯罪者や国を追われた亡命者などが作った町で、治安は当然よくない
 しかし今この街の人間は誰一人としてそんな悪さをしようと思う者はいない
 なにせ世界中の勇者たちが集結し、魔神やそれらを操る黒い少女との戦いの準備をしてるからね
「お久しぶりですアラマキさん」
「お、美の勇者メルリでござるか」
「そ、その二つ名、呼ばないで下さいよ」
「でも勇者としては正式名称でござるからして・・・。あ、フィオナちゃん、この子は翼人族の国フライハイの勇者でござる。結構強いでござるよ。ちなみに拙の弟子でもある」
「どうも、私はメルリ。その、び、美の勇者、です」
「初めまして、私は愛力の勇者フィオナです。こっちは」
「わたくしは空想の勇者タルニャですわ! 見ての通りドワーフ国の勇者ですの」
 どうやらこの子、アラマキさんの弟子みたい
 背中には大きな白い翼があって、まるで天使みたいに綺麗
 美の勇者と呼ばれるだけあってすごく可愛い
「あ、光と闇の勇者も来てる」
 そこには普段自分達の国からはあまり出ることがない光と闇の勇者である双子も来ていた
 最強の勇者たちとも名高いから、今回の作戦の要にもなってくる
「あら、あなたは確かバララスラの」
「はい、フィオナです」
「姉さん、今は愛力の勇者だそうです」
「勇者としてちゃんと覚醒出来たのね。共に巨悪を討ちましょう」
 光の勇者ミミとフィオナちゃん、闇の勇者ニニとタルニャががっちり握手する
 この双子、愛想がないって言われてるけど全然そんなことないね。多分表情が硬いからかな?
 あまり笑わないみたい
「ワサビちゃんも来てるよ」
「あ! フィオナなのだ! 僕も戦うのだ! お父さんとお母さんを守るのだ!」
 ワサビちゃんはやる気満々といった感じでグッと拳を突きあげる
 この子の剣の大量召喚による攻撃力は侮れないからね
 他にも水の勇者マーナ、槍の勇者グルリシアもいる
 この二人、なんかかなり強くなってる。私達と同じく迷宮に潜ってたのかな?
 世界中の勇者、総勢58名
 このうちで黄泉に入るのは、私達含めた11名に絞られた
 前衛に光と闇の勇者、フィオナちゃん、アラマキさん、ワサビちゃんの五人
 後衛にグルリシア、タルニャ、蒼炎の勇者ヴォルカン、天雷の勇者ビイ・ムー、激毒の勇者ヴェノン、血の勇者ルージュの六人
 マーナはこの街で外に出てきた魔神を食い止める役目みたい
 いよいよ決戦が、始まろうとしていた
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