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新しい旅6

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 翌日
「起ぉおおおおおきてください! 行きますよぉおおお!」
「うわあああ!」
「ひぃいい!」
 寝ていると突然頭上から声がした
 で、目を開くと、長い髪を垂らした女性が、三白眼の瞳でこっちをのぞき込んでいた
 怖い怖い怖い
 昔のホラー映画のような登場の仕方をしておきながら、すごく元気な声
「私はイチカ! 怨霊頭のイチカでございまあああす!」
 こんな元気な怨霊がいるか!って突っ込みたいけど、この国はそういう国だからね
「うう、びっくりした」
「ミア、私ちょっと着替えて来るね」
「私も行くよ」
「あ、ううん、ちょっとその、あれだからゴニョゴニョ」
「あ、うん、分かった」
 まあしょうがない。朝だし、急に来られたわけだし、多少、ねぇ、ちびったってねえ

 数分後、準備を終えて外にいたイチカさんに合流
「それでは行きましょう!」
「イチカさんもトガツメヒメさんの養女なの?」
「そうです! お母さ、ヒメ様はたくさんの養子がいらっしゃいますので!」
 まぁこの国の住人のほとんどが彼女の養子と言っていいようなものだったしね
「さて今日ご案内するところなのですがね。呪の洞窟です!」
「呪の洞窟?」
「はい! いわゆるお化け屋敷ですね」
「おばけ、屋敷・・・」
 フィオナちゃんの顔が青ざめた
 そう言えばこの子、元々ゴースト系の魔物とか苦手だった
 今でこそこの国の人達とは普通に話せるけど、最初は住人達のインパクトでずっと青い顔してたからね
「怖ければ外で待ってます? 面白いから是非とも行って欲しいのですけど、無理強いはいけませんね!」
「ミアが一緒なら、大丈夫!」
 ふふ、憂いやつよ
 車に乗り込み、目的地の洞窟がある北のほうへ
 うっそうとした森の中を走ること二十分ほどで到着
 結構人がいて、洞窟の前に列ができてた
 私達はそれに並ぶ
 何故かイチカさんも並んでる
「イチカさんも来るの?」
「ええ、私ここに入ったことが無くて、是非ともご一緒したく!」
 イチカさんのインパクトだと、オバケの方たちの方が怖がるかもしれない
 道中に聞いた話だと、もちろんキャストのお化け役はこの国の住人
 しかもえりすぐりの精鋭なんだとか
 世界一怖いと有名なんだって
 これはワクワク半分、緊張半分だよ
 フィオナちゃんは小刻みに震えてるけど、私がしっかりと手をつなぐと少し安心した表情になった
 大丈夫、何かあっても私が守るからね
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