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番外編

星の降る夜に 2

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ふわふわの分厚いタオルに包まれてリオン様に抱かれたまま移動した部屋は天井がガラス張りの、まるで温室のようなところだった。

そっと横たえられた柔らかなベッドの上から仰向けのまま見上げれば、そのガラス張りの天井の向こうにまるでプラネタリウムみたいに星の煌めく夜空が見えている。

灯りを落とした室内は群青色の海の底みたいな宵闇で、間接照明のほのかな灯りに照らされたリオン様の顔や体の輪郭は暗がりに溶け込んでいるかのように滲んで曖昧に見えているだけだ。

リオン様から見ると、私もそんな風に見えているのかな?

そう思うと、包まれていたタオルからはみ出た裸の体をリオン様の目の前に晒しているという状況にも、思っていたほどの恥ずかしさや緊張感は感じない。いや、全く感じないかといえばそんな事はないのだけれど。

だからなのか、リオン様も

「怖い?」

と優しく私の頬を撫でながら聞いてくれる。その仕草や声色からは私を充分気遣ってくれているのを感じるので、正直に話して身を委ねる。

「ちょ、ちょっとだけ・・・」

「じゃあ目を瞑って抱きついてくれていてもいいし、天井に広がる星空を見つめていてもいいし、なるべくユーリの楽なようにしていて」

そう言ってリオン様は撫でていた私の髪を横に流して首筋に優しく口付けを落とした。

「これは大丈夫?」

「はい」

目を閉じたまま頷けば、また一つ耳たぶの後ろに口付けられ「これも怖くない?」と聞かれる。大丈夫、と答えるとまた別の場所へ試すように優しく口付けられるのを繰り返された。

それはどれもやんわりと優しく、なんの刺激にもならないほどささやかなものだったのに繰り返されるほどになぜか頭の中が甘く痺れるようにぼうっとしてきた。

いつの間にか口の中に侵入して来ていたリオン様の舌に口腔内を蹂躙されて上顎を丁寧に擦られたり、吸い上げた私の舌を優しくやんわりと噛まれたりしてもぼんやりと夢見心地だ。

「ん・・・ふぁっ・・・」

重なっていた唇が離れて息をした拍子に思わず声が漏れれば、今までに出したこともない甘さを含んだ声色に自分で驚いて思わず目を開けた。

そうすれば目の前にはとろけるような笑顔で、これまた今までにみたことのないような熱と色気を孕んだリオン様の青い瞳が私を見つめている。

それがちょっとだけ怖くもあり、恥ずかしくもある。

その瞳の中に、私が欲しいと強く真っ直ぐに自分に向けられている熱と欲望を感じて受け取ってしまうとその怖さや恥ずかしさ以上にリオン様を愛しく思う気持ちが湧き出てきた。

それに何だか、まだ触れられてもいない下腹部のあたりがきゅんとしてもじもじと身じろいでしまう。

・・・これはもしかして、私もリオン様に欲情しているということなんだろうか。初めての経験なのでよく分からないけれど。

薄暗がりでよく見えていないはずなのに、そんな私の小さな仕草や戸惑ったような表情に気付いたのかリオン様が嬉しそうに笑ったのが分かった。

「ああ、良かった。まだ少し固いけど、どうやら僕を受け入れてくれそうで嬉しいよ。」

そう言ってまた口付けながら、今度はその両手が今まで触れていなかった私の両胸を下から掬い上げるように両手でぐっと掴んで持ち上げた。

表現するならばそれば鷲掴み、と言い表すものなんだろうけどその手つきはどこまでも優しくやわやわと持ち上げた下の方から揉みしだき、その指先は時にくるりと円を描くように乳輪を刺激してはその中心を捉えて乳首をゆっくりと押し込んだりする。

痛みを与えないようにと優しい手つきで与えられるそのじんわりとした刺激は、優しくされるほどむしろ腰骨のあたりにじわじわと降り積もるような快感を重ねていって、一体どうすればいいのか分からなくなる。

「んん・・・っ!」

ぞくぞくする刺激に耐えるようにきゅっと強くつぶった目から生理現象で自然にぽろりと涙がこぼれれば、それもリオン様は優しく舐めとってくれた。

気付けばいつの間にかリオン様の膝は私の足の間に割り入っていて、刺激を逃すように無意識にそこにも私は腰を押し当てていたらしく

「かわいい、ユーリ。腰が痙攣するみたいに震えてる。もしかして胸だけでイキそう?」

なんて聞かれたけどよく分からない。頭の芯が痺れたみたいにいっぱいいっぱいで、何も答えられなくなっていたのでとりあえず視線で戸惑っているのを伝えてみれば

「ああ、初めての経験だからよく分からないよね。じゃあ一度イってみる?ユーリって敏感だからもしかすると胸だけでイくのをすぐに覚えてイキ癖をつけられるかも。」

なんてことをリオン様は言い出した。

「ふぇっ・・・⁉︎」

胸をいじられただけで?イキ癖をつける?

とてもじゃないけどそんな恥ずかしいこと、男性経験が皆無の初心者に覚え込ませることじゃないと思うんですけど⁉︎

「ま、待って・・・」

ぼんやりする頭でも、さすがにそんな仕様にされるのはまだ早過ぎると分かる。

だけど繰り返された口付けと胸に与えられた刺激のせいで、うまく喋れなくてストップをかけようとジェスチャーでいやいやをするように頭を振れば、どうやらそれが逆にリオン様のSスイッチを刺激してしまったらしい。

私の胸の先を捉えたままだったその指先が、さっきまでよりも少し強くぐっと乳首を押し込んだ。

「ひァっ・・・‼︎」

押し込んで、ぱっと離された指先を追いかけるように乳首はぴんと立ち上がり、それをリオン様は二本の指先で挟んでくりくりといじる。

「あっ・・・あ・・・!」

「かわいい。こうして毎日いじって、もっと気持ち良く感じやすくなるように育ててあげたいな。」

話しながら私の足の間に割り込ませた膝にも僅かに力を入れてぐっと下腹部を刺激しながら、

「ぷっくり膨らんで固くなってるけど、まだまだ小さいから捉えにくいね。もう少し大きければもっと擦り上げてあげられるんだけど・・・ごめんねユーリ、もどかしいよね?」

と指先で摘んだ乳首をこしこしと上下に擦り上げながらさっき言っていた育てる、という言葉を実行するかのようにきゅむっと摘んで僅かに引っ張り上げた。

「ひゃんっ・・・!や、やめ、」

そんなことされたら乳首が大きくなって戻らなくなるんじゃないだろうか。え?そ、育てるってそーいうこと⁉︎そんな恥ずかしい胸にするの?

混乱する頭の中とは裏腹に、リオン様に与えられる刺激でどんどん気持ち良さは積み重なっていく。

「あ、やだ・・・っ」

包み込むように胸を持ち上げられて全体を揉み込まれて、その胸の先にも痛痒いような奇妙な刺激と気持ち良さを与えられ、更に口付けで口の中まで蹂躙されて。

その度にお腹の奧がきゅんきゅんと切なくなり、とうとうそれを堪えきれなくなった。

頭の中が、ぱちぱちと火花が散ったように真っ白になって無意識にきゅっと内股になり膝に力が入った。

そして足の間のリオン様を締め上げるように挟んだままぶるぶる体が震えて全身が今まで感じたことのない快感に包まれる。

頭の先からつま先まで痺れたように震えるその気持ち良さの余韻にしばらくの間身を任せていたら、リオン様から声がかかった。

「良かったねユーリ、胸だけでも上手にイけたよ。その感覚を忘れないように、休暇の間にしっかり覚えようね。」

そう言いながら、今まで散々いじめていた乳首をまたやわやわと刺激する。

「え・・・?」

まだ頭の芯が痺れたままどういう事かと聞き返せば、

「最終的に、口付けながら胸をきゅっと摘んだだけでイくユーリを見られるのが理想だけど。そんな姿を見られたら、可愛くていやらしくて堪らないだろうね。」

そうなったら僕だけじゃなくてレジナスにもそんな可愛いユーリを見て欲しいな、なんて恐ろしい事を言っている。

「な・・・」

上気した頬のまま、茫然としていれば

「さっきよりも緊張が取れて来てるみたいだね?良かった、やっぱり一度イっておくと気持ちが緩んでいいでしょ?さあ、続きをしようか。大丈夫、またすぐに気持ち良くなって怖さも恥ずかしさも感じなくなるからね。」

と優しく髪を撫でられて額に口付けを落とされた。

その仕草自体はついさっき、ベッドに横たわった直後までの怖くはないかと聞いてくれた優しい気遣いに溢れたものと変わりはないはずだ。

そのはずなんだけど、目の奥に滲む色気と強い情欲の光に思わず怯み固まってしまう。

そして薄暗がりの中、リオン様がひっそりと笑った気配がする。

「夜はまだまだ長いからね。この満天の星空が白む頃まで時間はたっぷりあるよ。」

いや待って。まさか眠らせないつもり?確かに、まだキスをされて胸を触られただけだけど。

文字通り長い夜になりそうな予感にぐらりと目の前が揺れたような気がした。










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