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番外編
なごり雪 11
・・・最後に銀毛魔狐を倒した決定打はレジナスさんの気合いの入った剣の一閃だった。
そしてそれを引き出したのは結局戦闘中に私にちょっかいを出したシェラさんへの怒りが要因だった。いや、それってどうなの?
「ユーリ様のご加護を受けたシェラザード殿の援護でレジナス殿が素晴らしい働きをされたと伺いました!」
村の視察を終えて銀毛魔狐の毛皮と一緒にお城へ帰って来た私達を出迎えてくれたヒルダ様はそう言って良い笑顔を見せた。
「いや、あの・・・」
シェラさんが私の加護を受けたって言うか勝手にキスして加護を持ってったって言うか・・・。
事実を言うべきかどうか迷っている私にヒルダ様は笑顔で続ける。
「すさまじい気迫と共にレジナス殿の双剣が空に閃き魔狐を一刀両断する様は圧巻だったと報告を受けております。武を極めようとする身としてはその剣技を見られなかったのが何とも口惜しい!」
本当に悔しそうにそう言うヒルダ様に
「氷瀑竜も一人で倒せるのに、ヒルダはそれ以上にまだ強くなりたいの?」
と呆れたようにカイゼル様が言い、当たり前だ!とそれに返しているヒルダ様達のやり取りを目の前にして私の隣に座るレジナスさんは居心地悪そうにごほんと一つ咳払いをした。
そのレジナスさんの手は私が握って繋いでいる。
魔狐を倒した後も「この大変な時にふざけている場合か!」としばらくの間はシェラさんに怒っていたレジナスさんをなだめるために、村にいる間やお城に帰って来てからもずっと手を繋いであげていたのだ。
本当はシェラさんがキスしてきたからレジナスさんにも同じようにしてあげる方がいいのかも知れないけど、何となく照れる。
だけど手を繋ぐくらいならなんとか・・・とシェラさんを正座させて怒っているレジナスさんの手を取ってあげたら、
「なんだ⁉︎どうしたユーリ!」
とびっくりされた。まあ、私の方から手を繋ぐなんて王都の街歩きをした時くらいしかなかったからそりゃ驚くよね・・・。
「ほら、伴侶は平等って言うし。シェラさんにされたみたいになんの脈絡もなく口付けるのはなんだかまだ恥ずかしいので、とりあえずこれで・・・。嫌ですか?」
そう聞けば、レジナスさんはちょっと言葉に詰まったけどほんの少しうっすらと頬を染めると
「いや、これでいい」
と言ってシェラさんへの怒りをおさめた。
そんなやり取りがあって、村の中を視察で歩いて移動する時やレジナスさんが隣に座っている間は手を繋いでいた。
そうすればまるで鎖に繋がれた番犬のように大人しくなってシェラさんに怖い顔をすることもない。
まあそのシェラさんは
「今時未成年の恋人同士でもそんな初々しいことはしませんよ、もうじき結婚式を挙げる者同士がそんなことでいいんですか?」
なんて視察している村の中、手を繋いで歩く私とレジナスさんを数歩下がって眺めながら言っていたけど。
「人の許可も取らずに勝手に口付けた罰ですよ、シェラさんはダーヴィゼルドのお城に帰るまでエル君と一緒に伴侶じゃなくて私の護衛役です!勿論、元々の予定通り帰りの馬はレジナスさんと一緒に乗りますけどクーヤでの移動もレジナスさんの方に乗りますから!」
振り向いてそう話し、そこまで言えば反省するかと思いきやそんな、と声を上げたシェラさんは悲しそうな顔をするとずいと近付いて
「では許可を取ればよろしいので?ユーリ様、あなたの優しく慈愛に満ちた口付けをぜひオレに。その赤く柔らかで魅力的な唇でオレの口をふさぎ、愛らしい小さな舌を差し込んでいただければこの世の憂いの何もかもを忘れ、オレは身も心も満たされて幸福に包まれるでしょう。」
「はい⁉︎」
「さあ、ぜひとも甘やかな慈悲の口付けをお願いいたします、唯一無二のオレの女神。」
「なっ・・・」
全然反省していなかった。むしろ公衆の面前でどえらい羞恥プレイだ。
朗々とまるで詩でも詠むかのようにそんな事を言い、レジナスさんと繋いでいない方の手の甲へ許しを得るように口付ける。
それは村の視察の最中で、同行している騎士さんや魔導士さん、村の案内をしてくれていた村長さんや神官さんにまで見られていた。
気のせいかみんなの視線が私の唇に注がれているような気がして、みるみる自分の顔が赤くなっていくのが分かる。
「え、真っ赤になってるユーリ様可愛い・・・」
なんて呟きが騎士さん達の間から聞こえてきたけど、この状況では全く嬉しくない褒められ方だ。
「さすがに皆の目の前でこれは不敬だとシェラザード様を注意すべきでは?」
「しかしあの方はユーリ様のご伴侶に決まっている方ですよね?注意をしてもそのような事を言う我々の方が不敬に当たるのでは・・・?」
と、村の神官さん達もシェラさんの言動がセーフかアウトかをこちらを見ながらヒソヒソし始めていたたまれない。
「お前はユーリに恥をかかせることしかしないな!行くぞユーリ、いつまでもこんな奴の相手をしなくていい!」
さすがにレジナスさんがそう言って、あまりの恥ずかしさに下を向いてしまったわたしの手をぐいと引いて肩を抱き、みんなの視線から遮るようにして歩いてくれた。
だけど羞恥プレイの原因・シェラさんは
「オレの取るに足らない些細な言葉の一つ一つにそのような反応を返してくださるユーリ様は本当に女神のような方です。何を言えばその愛らしく恥じらう姿をもっと見られるのか、色々と考えてしまいますねぇ。」
とのんびり後をついて来ながら言う始末だった。
・・・そして村でのそんなあれこれがヒルダ様にも報告されてしっかり伝わっているのか、手を繋いで座る私とレジナスさんや私達の後ろに立つシェラさんを交互に見たヒルダ様はニヤリと笑った。
「セビーリャ族の侵入に銀毛魔狐の出現など、思いもよらぬ事もありましたが視察はおおむねうまくいったようで安心いたしました。お三方の絆も深まり、その仲睦まじさを目にした村の者達もルーシャ国のこれからの更なる繁栄を確信し、喜んだことでしょう。挙式前の慌ただしい中を無理を言って休暇に来ていただいた甲斐があるというものです。」
その言葉に私とレジナスさんは赤くなって何て返したらいいか分からなくなったけど、シェラさんだけは平然と
「ありがとうございます、これからも伴侶の一人としてユーリ様を支え、末永く仲睦まじくしていく所存です。」
とお礼を言った。も、もうホントにこの話題はいいから!
話を変えようと急いで別の話題を振る。
「そういえば魔狐のせいで貴重な高山植物がだいぶ踏み荒らされてしまいました!私もまだ魔力が全快していないので、残った植物がせめて丈夫に育つような加護を付けることしか出来なくて・・・」
後は元々の予定だった結界石に加護を付けて結界を張ったりパン籠に加護を付けたりするだけで村の滞在中はいっぱいいっぱいだった。
魔力が元通りになっていれば、散ってしまった植物も復活させられたり土壌そのものにも豊穣の加護を付けられたのに、とちょっぴり残念だ。
そう肩を落とした私にヒルダ様は
「お気遣いありがとうございます。ではユーリ様が残された課題は、恐れながらあともう少しフレイヤが成長し、魔法を使いこなせるようになった時に引き継がせていただきましょう。」
そう柔らかく微笑んでくれた。それにカイゼル様も同調する。
「幸いにも植物を成長させ土地を豊かにする魔法はフレイヤの適性に合っているし、ヒルダの膨大な魔力を受け継いでいるからこの先もっとその力は強くなるだろうしね。何よりも、尊敬しているユーリ様の残された仕事を引き継げるならフレイヤもより一層魔法の訓練に身が入るだろうし。」
そんな話をしていたら、部屋の扉がバタンと開いて
「今フレイヤのお話をしていましたか⁉︎」
とバルドル様と手を繋いだフレイヤちゃんがやって来た。
「お姉さま、銀毛魔狐の毛皮ってすごいですね!まるで銀粉をふりかけたみたいに日の光にきらきら輝いていてとってもキレイでした!」
興奮に目を輝かせて初めて目にした加工前の銀毛魔狐の毛皮の感想をそう教えてくれた。
バルドル様もレジナスさんやシェラさんに
「あれほど大きな、魔法を弾く上位魔物をよくぞあの人数で倒せましたね。倒した時の様子をぜひ詳しく教えてください。」
と感心したように話している。二人は私達が持ち帰った魔狐の毛皮を見物しに行っていたのだ。
「魔狐は倒せましたけど、私が残してきたお仕事があるんです。フレイヤ様がもっと大きくなって、今よりももっと上手に魔法を使えるようになったら私の代わりにぜひそのお仕事をよろしくお願いしますね。」
後始末を押し付けるみたいで申し訳ないけど、今の私には時間も魔力も足りないから。
悪いなあと思いつつフレイヤちゃんの頭を撫でてそうお願いすれば、
「お姉さまからのお願いですか?嬉しい、頑張ります!」
魔狐の毛皮の輝きにも負けないキラキラした瞳で頷いたフレイヤちゃんは大きく頷いて私にぎゅっと抱きついてくれた。
そしてそれを引き出したのは結局戦闘中に私にちょっかいを出したシェラさんへの怒りが要因だった。いや、それってどうなの?
「ユーリ様のご加護を受けたシェラザード殿の援護でレジナス殿が素晴らしい働きをされたと伺いました!」
村の視察を終えて銀毛魔狐の毛皮と一緒にお城へ帰って来た私達を出迎えてくれたヒルダ様はそう言って良い笑顔を見せた。
「いや、あの・・・」
シェラさんが私の加護を受けたって言うか勝手にキスして加護を持ってったって言うか・・・。
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「すさまじい気迫と共にレジナス殿の双剣が空に閃き魔狐を一刀両断する様は圧巻だったと報告を受けております。武を極めようとする身としてはその剣技を見られなかったのが何とも口惜しい!」
本当に悔しそうにそう言うヒルダ様に
「氷瀑竜も一人で倒せるのに、ヒルダはそれ以上にまだ強くなりたいの?」
と呆れたようにカイゼル様が言い、当たり前だ!とそれに返しているヒルダ様達のやり取りを目の前にして私の隣に座るレジナスさんは居心地悪そうにごほんと一つ咳払いをした。
そのレジナスさんの手は私が握って繋いでいる。
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本当はシェラさんがキスしてきたからレジナスさんにも同じようにしてあげる方がいいのかも知れないけど、何となく照れる。
だけど手を繋ぐくらいならなんとか・・・とシェラさんを正座させて怒っているレジナスさんの手を取ってあげたら、
「なんだ⁉︎どうしたユーリ!」
とびっくりされた。まあ、私の方から手を繋ぐなんて王都の街歩きをした時くらいしかなかったからそりゃ驚くよね・・・。
「ほら、伴侶は平等って言うし。シェラさんにされたみたいになんの脈絡もなく口付けるのはなんだかまだ恥ずかしいので、とりあえずこれで・・・。嫌ですか?」
そう聞けば、レジナスさんはちょっと言葉に詰まったけどほんの少しうっすらと頬を染めると
「いや、これでいい」
と言ってシェラさんへの怒りをおさめた。
そんなやり取りがあって、村の中を視察で歩いて移動する時やレジナスさんが隣に座っている間は手を繋いでいた。
そうすればまるで鎖に繋がれた番犬のように大人しくなってシェラさんに怖い顔をすることもない。
まあそのシェラさんは
「今時未成年の恋人同士でもそんな初々しいことはしませんよ、もうじき結婚式を挙げる者同士がそんなことでいいんですか?」
なんて視察している村の中、手を繋いで歩く私とレジナスさんを数歩下がって眺めながら言っていたけど。
「人の許可も取らずに勝手に口付けた罰ですよ、シェラさんはダーヴィゼルドのお城に帰るまでエル君と一緒に伴侶じゃなくて私の護衛役です!勿論、元々の予定通り帰りの馬はレジナスさんと一緒に乗りますけどクーヤでの移動もレジナスさんの方に乗りますから!」
振り向いてそう話し、そこまで言えば反省するかと思いきやそんな、と声を上げたシェラさんは悲しそうな顔をするとずいと近付いて
「では許可を取ればよろしいので?ユーリ様、あなたの優しく慈愛に満ちた口付けをぜひオレに。その赤く柔らかで魅力的な唇でオレの口をふさぎ、愛らしい小さな舌を差し込んでいただければこの世の憂いの何もかもを忘れ、オレは身も心も満たされて幸福に包まれるでしょう。」
「はい⁉︎」
「さあ、ぜひとも甘やかな慈悲の口付けをお願いいたします、唯一無二のオレの女神。」
「なっ・・・」
全然反省していなかった。むしろ公衆の面前でどえらい羞恥プレイだ。
朗々とまるで詩でも詠むかのようにそんな事を言い、レジナスさんと繋いでいない方の手の甲へ許しを得るように口付ける。
それは村の視察の最中で、同行している騎士さんや魔導士さん、村の案内をしてくれていた村長さんや神官さんにまで見られていた。
気のせいかみんなの視線が私の唇に注がれているような気がして、みるみる自分の顔が赤くなっていくのが分かる。
「え、真っ赤になってるユーリ様可愛い・・・」
なんて呟きが騎士さん達の間から聞こえてきたけど、この状況では全く嬉しくない褒められ方だ。
「さすがに皆の目の前でこれは不敬だとシェラザード様を注意すべきでは?」
「しかしあの方はユーリ様のご伴侶に決まっている方ですよね?注意をしてもそのような事を言う我々の方が不敬に当たるのでは・・・?」
と、村の神官さん達もシェラさんの言動がセーフかアウトかをこちらを見ながらヒソヒソし始めていたたまれない。
「お前はユーリに恥をかかせることしかしないな!行くぞユーリ、いつまでもこんな奴の相手をしなくていい!」
さすがにレジナスさんがそう言って、あまりの恥ずかしさに下を向いてしまったわたしの手をぐいと引いて肩を抱き、みんなの視線から遮るようにして歩いてくれた。
だけど羞恥プレイの原因・シェラさんは
「オレの取るに足らない些細な言葉の一つ一つにそのような反応を返してくださるユーリ様は本当に女神のような方です。何を言えばその愛らしく恥じらう姿をもっと見られるのか、色々と考えてしまいますねぇ。」
とのんびり後をついて来ながら言う始末だった。
・・・そして村でのそんなあれこれがヒルダ様にも報告されてしっかり伝わっているのか、手を繋いで座る私とレジナスさんや私達の後ろに立つシェラさんを交互に見たヒルダ様はニヤリと笑った。
「セビーリャ族の侵入に銀毛魔狐の出現など、思いもよらぬ事もありましたが視察はおおむねうまくいったようで安心いたしました。お三方の絆も深まり、その仲睦まじさを目にした村の者達もルーシャ国のこれからの更なる繁栄を確信し、喜んだことでしょう。挙式前の慌ただしい中を無理を言って休暇に来ていただいた甲斐があるというものです。」
その言葉に私とレジナスさんは赤くなって何て返したらいいか分からなくなったけど、シェラさんだけは平然と
「ありがとうございます、これからも伴侶の一人としてユーリ様を支え、末永く仲睦まじくしていく所存です。」
とお礼を言った。も、もうホントにこの話題はいいから!
話を変えようと急いで別の話題を振る。
「そういえば魔狐のせいで貴重な高山植物がだいぶ踏み荒らされてしまいました!私もまだ魔力が全快していないので、残った植物がせめて丈夫に育つような加護を付けることしか出来なくて・・・」
後は元々の予定だった結界石に加護を付けて結界を張ったりパン籠に加護を付けたりするだけで村の滞在中はいっぱいいっぱいだった。
魔力が元通りになっていれば、散ってしまった植物も復活させられたり土壌そのものにも豊穣の加護を付けられたのに、とちょっぴり残念だ。
そう肩を落とした私にヒルダ様は
「お気遣いありがとうございます。ではユーリ様が残された課題は、恐れながらあともう少しフレイヤが成長し、魔法を使いこなせるようになった時に引き継がせていただきましょう。」
そう柔らかく微笑んでくれた。それにカイゼル様も同調する。
「幸いにも植物を成長させ土地を豊かにする魔法はフレイヤの適性に合っているし、ヒルダの膨大な魔力を受け継いでいるからこの先もっとその力は強くなるだろうしね。何よりも、尊敬しているユーリ様の残された仕事を引き継げるならフレイヤもより一層魔法の訓練に身が入るだろうし。」
そんな話をしていたら、部屋の扉がバタンと開いて
「今フレイヤのお話をしていましたか⁉︎」
とバルドル様と手を繋いだフレイヤちゃんがやって来た。
「お姉さま、銀毛魔狐の毛皮ってすごいですね!まるで銀粉をふりかけたみたいに日の光にきらきら輝いていてとってもキレイでした!」
興奮に目を輝かせて初めて目にした加工前の銀毛魔狐の毛皮の感想をそう教えてくれた。
バルドル様もレジナスさんやシェラさんに
「あれほど大きな、魔法を弾く上位魔物をよくぞあの人数で倒せましたね。倒した時の様子をぜひ詳しく教えてください。」
と感心したように話している。二人は私達が持ち帰った魔狐の毛皮を見物しに行っていたのだ。
「魔狐は倒せましたけど、私が残してきたお仕事があるんです。フレイヤ様がもっと大きくなって、今よりももっと上手に魔法を使えるようになったら私の代わりにぜひそのお仕事をよろしくお願いしますね。」
後始末を押し付けるみたいで申し訳ないけど、今の私には時間も魔力も足りないから。
悪いなあと思いつつフレイヤちゃんの頭を撫でてそうお願いすれば、
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