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序章
初めてのお買い物
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ギルドマスターとキュスラの言葉に甘え、ミラは今ドルド通りにいた。
「凄い…沢山の人で賑わってるんだね……!」
「ミラちゃんっ、確かね…あ!あったわ。
ねぇ~?ここでしか手に入らない物…欲しくない??」
「ま、まさかっ…レダン姉貴……っ!」
「そうよカルロス!アレよ!!」
「ノアっ、ノアがお買い上げするのっっ。」
「ここでしか手に入らない物……ゴクっ。」
それぞれの期待の眼差しにレダンがドヤ顔でお目当てのお店へと向かった。
ーーカランカランッ
「…よく来たな。」
ドアを開けるとそこはまるでお菓子の国に迷い込んだと思える程、様々なお菓子が置かれていた。
普段お人形さんみたいなノアでさえ可愛くはしゃいでいる。
カルロスはと言うと…真剣な眼差しで吟味している最中だ。うん、今話しかけるのはよそう。
ミラは周りの様子を見ながら店内に置いてあるお菓子を見つめる。
「…何にするんだ。」
「え、えっと…あの……どれも見慣れない物ばかりでその…分からなくて。」
「そうか、ちょっと待ってろ。」
そう言うとどこからか皿を持ってきて籠に入っているお菓子を1つずつのせていく。
「食ってみろ。」
「えっ、だってこれは売りものですよ…?」
「知らねぇ物を買わせる程落ちぶれておらん、味見してみろ。」
ミラはお礼を言って差し出されたお菓子らを頂き試食をしてみた。
「!!美味しいっ、ん…っこれも甘酸っぱくて……これはっ?すごい口に入れたら溶けた!
あ、甘い!蜜より甘いなんて…これはっ?」
「…良かったな。」
美味しそうに食べるミラに、オーナーは彼女の頭を撫でて奥へ戻った。
ミラが試食を楽しんでいる中、今まで黙っていたカルロスが口を開いた。
「レダン姉貴。」
「どうしたの、カルロス?」
「限度額はいくらっすか?」
「200ポンドよ。」
「2…200ポンド…、250!!」
「駄目に決まってるじゃん、キュスラにお仕置きされるわよ?」
「くっ…ならこのチョッコはやめるしか……」
哀愁漂うそんなカルロスに再びオーナーが奥から顔を出した。
「……チョッコ、欲しいのか。」
「えっ!?あ…はいっ!めっちゃ欲しいっす!」
「………。」
無言で奥へと戻っていくオーナーに、
「お、オレ…っまずいこと言ったすか?!」
「あ…来た。」
ノアの一言にカルロスが背筋を伸ばす。
「すいまーー」
「形が不格好で捨てるやつだ、お前が代わりに捨てておけ。」
オーナーは大袋をカルロスの前に置くとまた、奥へと戻っていった。
カルロスはポカーンとした表情で大袋と奥へ去っていったオーナーを交互に見つめ、不思議そうに中を覗くとそこには沢山のチョッコが入っていた。
「こんなに……っ!
留守番の奴らにあげる分け前が増えたっす!
オレっ、お礼行ってくるっす!!」
それぞれ決めたお菓子を買ってオーナーにお礼を言い店をあとにした。
「レダンさん…すみません。迷惑をかけてしまって。」
「いいって、でも買い方が分からなかったのは驚いたわー…。
まっ、心配しなくてもそのうち覚えればいいって!」
「ちょっオレに言った時の言葉と全然違くないっすか!?ひどっ。」
「アンタは覚えが悪過ぎ、いつまでも馬鹿じゃ困るから。」
「ノアもそう思う。」
「お前もかよ!?ひどっ!」
その後、小道具を作るための素材を購入したり自炊をするための食品を購入したりと、ミラにとって刺激的な1日となった。
宿に戻り、明日の公演に備え軽いリハーサルをした後ミラはそのまま穏やかな寝息をたてて眠りにつく。
初めての観光に買い物…ましてや誰かと街を歩くことすらしたことがなかったのだ、彼女にとってかなり濃密な1日になっただろう。
「凄い…沢山の人で賑わってるんだね……!」
「ミラちゃんっ、確かね…あ!あったわ。
ねぇ~?ここでしか手に入らない物…欲しくない??」
「ま、まさかっ…レダン姉貴……っ!」
「そうよカルロス!アレよ!!」
「ノアっ、ノアがお買い上げするのっっ。」
「ここでしか手に入らない物……ゴクっ。」
それぞれの期待の眼差しにレダンがドヤ顔でお目当てのお店へと向かった。
ーーカランカランッ
「…よく来たな。」
ドアを開けるとそこはまるでお菓子の国に迷い込んだと思える程、様々なお菓子が置かれていた。
普段お人形さんみたいなノアでさえ可愛くはしゃいでいる。
カルロスはと言うと…真剣な眼差しで吟味している最中だ。うん、今話しかけるのはよそう。
ミラは周りの様子を見ながら店内に置いてあるお菓子を見つめる。
「…何にするんだ。」
「え、えっと…あの……どれも見慣れない物ばかりでその…分からなくて。」
「そうか、ちょっと待ってろ。」
そう言うとどこからか皿を持ってきて籠に入っているお菓子を1つずつのせていく。
「食ってみろ。」
「えっ、だってこれは売りものですよ…?」
「知らねぇ物を買わせる程落ちぶれておらん、味見してみろ。」
ミラはお礼を言って差し出されたお菓子らを頂き試食をしてみた。
「!!美味しいっ、ん…っこれも甘酸っぱくて……これはっ?すごい口に入れたら溶けた!
あ、甘い!蜜より甘いなんて…これはっ?」
「…良かったな。」
美味しそうに食べるミラに、オーナーは彼女の頭を撫でて奥へ戻った。
ミラが試食を楽しんでいる中、今まで黙っていたカルロスが口を開いた。
「レダン姉貴。」
「どうしたの、カルロス?」
「限度額はいくらっすか?」
「200ポンドよ。」
「2…200ポンド…、250!!」
「駄目に決まってるじゃん、キュスラにお仕置きされるわよ?」
「くっ…ならこのチョッコはやめるしか……」
哀愁漂うそんなカルロスに再びオーナーが奥から顔を出した。
「……チョッコ、欲しいのか。」
「えっ!?あ…はいっ!めっちゃ欲しいっす!」
「………。」
無言で奥へと戻っていくオーナーに、
「お、オレ…っまずいこと言ったすか?!」
「あ…来た。」
ノアの一言にカルロスが背筋を伸ばす。
「すいまーー」
「形が不格好で捨てるやつだ、お前が代わりに捨てておけ。」
オーナーは大袋をカルロスの前に置くとまた、奥へと戻っていった。
カルロスはポカーンとした表情で大袋と奥へ去っていったオーナーを交互に見つめ、不思議そうに中を覗くとそこには沢山のチョッコが入っていた。
「こんなに……っ!
留守番の奴らにあげる分け前が増えたっす!
オレっ、お礼行ってくるっす!!」
それぞれ決めたお菓子を買ってオーナーにお礼を言い店をあとにした。
「レダンさん…すみません。迷惑をかけてしまって。」
「いいって、でも買い方が分からなかったのは驚いたわー…。
まっ、心配しなくてもそのうち覚えればいいって!」
「ちょっオレに言った時の言葉と全然違くないっすか!?ひどっ。」
「アンタは覚えが悪過ぎ、いつまでも馬鹿じゃ困るから。」
「ノアもそう思う。」
「お前もかよ!?ひどっ!」
その後、小道具を作るための素材を購入したり自炊をするための食品を購入したりと、ミラにとって刺激的な1日となった。
宿に戻り、明日の公演に備え軽いリハーサルをした後ミラはそのまま穏やかな寝息をたてて眠りにつく。
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