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【Destination】プロローグ
第2話 生命誕生
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ティエラに初めて生物が誕生したのは、35~40億年前。星の誕生から6億年という時間が経過したのち。
深海底で熱水を吹き出す、「熱水噴出孔」のような場所で単細胞生物のアメーバが生まれるが、それは、暗い海の奥深くでしか生きられない弱々しい生き物。
だが、その単細胞生物は永い年月を経て、徐々にティエラの環境に適したものへと進化していく。
初めに、エラで水中の溶存酸素を取り入れて呼吸、体に背びれ、しりびれ、尾びれや胸びれ、腹びれなどを備え、体表に鱗をもち、おもに水中で生きる「魚類」に。
そこから、体を粘膜に覆われた皮膚で呼吸を行い、周りの温度環境によって体温が変わる変温動物、水陸どちらでも活動可能な「両生類」が誕生。
殻に包まれた卵を産み、尾があるサンショウウオなどと、尾がないカエルなどに分類される。
次に生物史上初となる、陸を中心に生活する動物、「爬虫類」が生まれた。体表は柔らかく、呼吸の半分以上は皮膚からによるもの。
両生類と同じく変温動物ゆえ、外気温によって自身の体温が変化。生命維持のため、暑い場合は涼しい場所へ、寒い場合は暖かい場所への移動が必須。
そして、爬虫類と同様、卵から生まれるが、足に鱗、体に柔らかい羽毛をもち、体温を一定に保ちながら、翼を使って自由に空を飛び回る「鳥類」へと進化。
さらに中生代三畳紀の後期(現在から2億3000万年前)になると、皮膚に毛を生じ、汗腺や涙腺、乳腺などがあり、子を乳で育て肺で呼吸する「哺乳類」が誕生。
哺乳類は心臓が二心房二心室の四つに区画され、大脳半球が大きく発達。本能のみで生きていた、これまでの動物にはない「知性」をもつ。
そして哺乳類である、サルやチンパンジーなどの類人猿から進化を遂げた霊長目、ヒト上科ヒト科に属する唯一の生き物「ヒト」が誕生。
大きくグループに分けると、人類はサルの仲間であり、そこから派生して進化を続けた。
約400万年前に誕生した人類の始祖となる「猿人・アウディス」は、それまでの四足歩行の猿とは違い、二本の足で真っ直ぐ立って歩くことができた。この「直立二足歩行」は、四足歩行では不可能だったことを可能にする。
直立二足歩行は、遠くにいる外敵をいち早く発見し危険を回避。 さらには、草原で食物を求めて広い範囲を動き回る場合、エネルギー効率が良く疲れが少ない。また自身を大きく強く見みせる効果をもち合わせるうえ、日に当たる体の面積が縮小され暑さをしのぐ役割も果たす。
二足歩行のもっとも優れた点、それは両手でモノを持ち運んだり道具が使えるということ。手先を使うことで器用になり、脳が活性化され大きく発達。このとき、猿人の脳の大きさは400mLで、現在のチンパンジーと同等。
ヒトの進化はこれにとどまらず、200万年前になると、脳の大きさが1000mLほどの「原人・エレクトス」と呼ばれるグループが誕生。
石でできた道具「石器」を作り、自分たちより強く巨大な獲物を仕留め、火の使用法も覚え、寒さをしのぐ知恵も身につけた。
その後、突然変異が起こり、人類史上最強とされるグループ「凶人・ディルタス」が生まれる。
脳は猿人以下の大きさまで退化したが、鋼のような筋肉に覆われた肉体と、圧倒的な腕力を兼ね備えた非常に凶暴な人種。ライオンやトラ、クマといった猛獣を素手で引き裂いて殺すほどの力をもつ。
身体能力も非常に高く、世界最速の動物チーターよりも速く走り、あらゆる動物を捕食。食物連鎖の頂点に君臨する。
やがてディルタスは、その強大な力を使って地域全土を支配し始める。原人は危険な凶人から種を守るため、別の土地に移住し身を隠した。
そこで異種交配を続けた原人は20万年前、さらに知力に優れた「新人・サイエレス」へと進化を遂げる。
脳の容量は原人の約1.5倍となる1450ml。「サイエレス」はそれまでの人類と違い、発達した脳を使って、より物事を複雑に考え、言葉を操れるようにもなり、さまざまな環境に対応。
遠くから獲物を狙える道具、棒の先端に尖った石をつけた「投げ槍」を作り出し、言葉を使って意思疎通を図り、仲間同士が協力し合えるよう工夫。弱いからこそ力を合わせ、知恵を出し合い、飢えや災害、寒さから身を守り生存確率を高めていった。
だが、生命の歴史である38億年の道のりは非常に過酷で、いくつもの種が絶滅、またはその危機に瀕してきた。
「生命最大の危機」のひとつが、過去三度ティエラを襲った、星が丸ごと凍ってしまう「氷河期」。
極寒地域はもちろん、赤道付近の暑い地域でも大地が氷つき、海は深さ2000mまで氷に覆われた。
食糧がなくなり、猿人、原人、凶人の三種族と、そのほか多くの生物種が絶滅。現在の人類に続く系統「新人・サイエレス」だけが、地下深くで暖をとり、かろうじて生き残る。
この氷河期以外にも、星全体が酸欠状態となる「海洋無酸素事変」が生命を脅かす。
無酸素事変は古生代や中生代に繰り返し起こり、海では数千万年もの間、無酸素状態が続き、陸上生物の68%、海洋生物は96%の種が絶滅したとされている。それは6600万年前、白亜紀の終わりにティエラを襲った隕石衝突よりも、ずっと大規模に生物が死滅した事件。
すなわち、ティエラの生物は直近6億年の間で、少なくとも5回大規模な絶滅を経験している。
人類を含む今を生きている生物種があるのは、壮絶な環境変化のなかを懸命に生き延び、命をつないだ者たちがいたおかげ。
現在、ティエラにはゾウのように大きなものから細菌のような小さなものまで、3000万種の生命がいる。それらは同じ種の生物でも、それぞれに個性があり、互いにつながりをもち、支え合って生きている。
この星のように多種多様な生物、美しい海と綺麗な空気をもつ星が生まれる確率は、果てしなく広がる宇宙のなかでも、ほぼゼロに等しいと言われている。
深海底で熱水を吹き出す、「熱水噴出孔」のような場所で単細胞生物のアメーバが生まれるが、それは、暗い海の奥深くでしか生きられない弱々しい生き物。
だが、その単細胞生物は永い年月を経て、徐々にティエラの環境に適したものへと進化していく。
初めに、エラで水中の溶存酸素を取り入れて呼吸、体に背びれ、しりびれ、尾びれや胸びれ、腹びれなどを備え、体表に鱗をもち、おもに水中で生きる「魚類」に。
そこから、体を粘膜に覆われた皮膚で呼吸を行い、周りの温度環境によって体温が変わる変温動物、水陸どちらでも活動可能な「両生類」が誕生。
殻に包まれた卵を産み、尾があるサンショウウオなどと、尾がないカエルなどに分類される。
次に生物史上初となる、陸を中心に生活する動物、「爬虫類」が生まれた。体表は柔らかく、呼吸の半分以上は皮膚からによるもの。
両生類と同じく変温動物ゆえ、外気温によって自身の体温が変化。生命維持のため、暑い場合は涼しい場所へ、寒い場合は暖かい場所への移動が必須。
そして、爬虫類と同様、卵から生まれるが、足に鱗、体に柔らかい羽毛をもち、体温を一定に保ちながら、翼を使って自由に空を飛び回る「鳥類」へと進化。
さらに中生代三畳紀の後期(現在から2億3000万年前)になると、皮膚に毛を生じ、汗腺や涙腺、乳腺などがあり、子を乳で育て肺で呼吸する「哺乳類」が誕生。
哺乳類は心臓が二心房二心室の四つに区画され、大脳半球が大きく発達。本能のみで生きていた、これまでの動物にはない「知性」をもつ。
そして哺乳類である、サルやチンパンジーなどの類人猿から進化を遂げた霊長目、ヒト上科ヒト科に属する唯一の生き物「ヒト」が誕生。
大きくグループに分けると、人類はサルの仲間であり、そこから派生して進化を続けた。
約400万年前に誕生した人類の始祖となる「猿人・アウディス」は、それまでの四足歩行の猿とは違い、二本の足で真っ直ぐ立って歩くことができた。この「直立二足歩行」は、四足歩行では不可能だったことを可能にする。
直立二足歩行は、遠くにいる外敵をいち早く発見し危険を回避。 さらには、草原で食物を求めて広い範囲を動き回る場合、エネルギー効率が良く疲れが少ない。また自身を大きく強く見みせる効果をもち合わせるうえ、日に当たる体の面積が縮小され暑さをしのぐ役割も果たす。
二足歩行のもっとも優れた点、それは両手でモノを持ち運んだり道具が使えるということ。手先を使うことで器用になり、脳が活性化され大きく発達。このとき、猿人の脳の大きさは400mLで、現在のチンパンジーと同等。
ヒトの進化はこれにとどまらず、200万年前になると、脳の大きさが1000mLほどの「原人・エレクトス」と呼ばれるグループが誕生。
石でできた道具「石器」を作り、自分たちより強く巨大な獲物を仕留め、火の使用法も覚え、寒さをしのぐ知恵も身につけた。
その後、突然変異が起こり、人類史上最強とされるグループ「凶人・ディルタス」が生まれる。
脳は猿人以下の大きさまで退化したが、鋼のような筋肉に覆われた肉体と、圧倒的な腕力を兼ね備えた非常に凶暴な人種。ライオンやトラ、クマといった猛獣を素手で引き裂いて殺すほどの力をもつ。
身体能力も非常に高く、世界最速の動物チーターよりも速く走り、あらゆる動物を捕食。食物連鎖の頂点に君臨する。
やがてディルタスは、その強大な力を使って地域全土を支配し始める。原人は危険な凶人から種を守るため、別の土地に移住し身を隠した。
そこで異種交配を続けた原人は20万年前、さらに知力に優れた「新人・サイエレス」へと進化を遂げる。
脳の容量は原人の約1.5倍となる1450ml。「サイエレス」はそれまでの人類と違い、発達した脳を使って、より物事を複雑に考え、言葉を操れるようにもなり、さまざまな環境に対応。
遠くから獲物を狙える道具、棒の先端に尖った石をつけた「投げ槍」を作り出し、言葉を使って意思疎通を図り、仲間同士が協力し合えるよう工夫。弱いからこそ力を合わせ、知恵を出し合い、飢えや災害、寒さから身を守り生存確率を高めていった。
だが、生命の歴史である38億年の道のりは非常に過酷で、いくつもの種が絶滅、またはその危機に瀕してきた。
「生命最大の危機」のひとつが、過去三度ティエラを襲った、星が丸ごと凍ってしまう「氷河期」。
極寒地域はもちろん、赤道付近の暑い地域でも大地が氷つき、海は深さ2000mまで氷に覆われた。
食糧がなくなり、猿人、原人、凶人の三種族と、そのほか多くの生物種が絶滅。現在の人類に続く系統「新人・サイエレス」だけが、地下深くで暖をとり、かろうじて生き残る。
この氷河期以外にも、星全体が酸欠状態となる「海洋無酸素事変」が生命を脅かす。
無酸素事変は古生代や中生代に繰り返し起こり、海では数千万年もの間、無酸素状態が続き、陸上生物の68%、海洋生物は96%の種が絶滅したとされている。それは6600万年前、白亜紀の終わりにティエラを襲った隕石衝突よりも、ずっと大規模に生物が死滅した事件。
すなわち、ティエラの生物は直近6億年の間で、少なくとも5回大規模な絶滅を経験している。
人類を含む今を生きている生物種があるのは、壮絶な環境変化のなかを懸命に生き延び、命をつないだ者たちがいたおかげ。
現在、ティエラにはゾウのように大きなものから細菌のような小さなものまで、3000万種の生命がいる。それらは同じ種の生物でも、それぞれに個性があり、互いにつながりをもち、支え合って生きている。
この星のように多種多様な生物、美しい海と綺麗な空気をもつ星が生まれる確率は、果てしなく広がる宇宙のなかでも、ほぼゼロに等しいと言われている。
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