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「……ララ。その、君が淹れてくれたお茶は非常に独創的な味がするが……。茶葉と一緒に、何か別の植物を入れたかな?」
王宮の一角、シグルド王子の私室。
かつて私が、無表情で完璧な事務処理をこなしていたその場所で、シグルド様は引きつった笑みを浮かべていました。
目の前のティーカップには、どす黒い紫色の液体がなみなみと注がれています。
「えへへ、シグルド様! 中庭に生えていた『とっても元気そうな草』を隠し味に入れてみたんですぅ。健康にいいかなって!」
「元気そうな草……。……まさか、トゲトゲしていて、触ると痺れるやつではないだろうな?」
「あ、それですぅ! シグルド様、物知りですねぇ!」
「それは魔除け用の毒草だ、ララ。……死ぬところだった」
シグルド様はそっとカップを遠ざけました。
かつての婚約者である私がいた頃、彼が飲むお茶は常に適温で、その日の体調に合わせたハーブが絶妙に配合されていました。
もちろん、私は「モブ」ですから、そんな気遣いを一度も口にしたことはありません。
彼はそれを、「王宮の侍女が勝手にやっていること」だと思い込んでいたのでしょう。
「それより、ララ。明日の午餐会の招待状のリストは進んでいるかい? 君に任せたはずだが」
「もちろんですぅ! バッチリですよぉ!」
ララ様が自信満々に差し出したのは、あちこちにインクのシミがついた、シワシワの紙束でした。
「……ララ。これは……何語かな?」
「えっ? 私の『ララ文字』ですぅ! 可愛いでしょぉ?」
「……公文書に独自のフォントを採用するのはやめてくれないか。……それに、なぜ隣国の特使の名前が『ピカピカおじさん』になっているんだ」
「だってぇ、お名前が難しくて覚えられないんですもん! 頭が光っていたから、ピカピカおじさんでいいかなって!」
シグルド様は、こめかみを指で押さえました。
外交問題です。
一歩間違えれば、宣戦布告と受け取られてもおかしくない暴挙です。
「……ミューモなら、こういう時は一晩で完璧な名簿を作り、全員の嫌いな食べ物まで網羅していたものだが……」
ポツリと漏れたシグルド様の独り言に、ララ様が頬を膨らませました。
「シグルド様! またミューモ様の話ですかぁ? あんな地味で可愛げのない人のことなんて、忘れちゃってくださいぉ!」
「おっと、すまない。そうだったな。あいつはただの『事務処理人形』だった。君のような、太陽のような明るさこそが、未来の王妃には必要なのだ」
シグルド様は自分に言い聞かせるように頷きました。
しかし、現実は非情です。
太陽のような明るさ(物理)を誇るララ様は、次の瞬間、テーブルの端に置いてあった大切な契約書の上に、ジャムたっぷりのスコーンを落としました。
「あわわわ! シグルド様ぁ、書類が甘い匂いになっちゃいましたぁ!」
「……ああああ! それは他国との通商条約の原案だぞ! ベタベタじゃないか!」
「ふえぇん、ごめんなさいぃ……。私、ドジだからぁ……」
「……いや、いいんだ。君が可愛いから許そう。……だが、誰か! これを書き直せる奴を呼んでこい! 今すぐにだ!」
シグルド様の叫びに応えてやってきたのは、不眠不休で働かされている疲れ切った文官たちでした。
「……殿下。申し上げにくいのですが。このような細かい事務作業を即座にこなせたのは、アズベル伯爵令嬢だけでございます。我々では、内容の照合に最低でも三日はかかります」
「何だと!? あいつは、いつも十分足らずで終わらせていただろう!」
「それは、あの方が異常だったのです。……殿下、あの方は目立たない場所で、我々文官十人分の仕事を一人でこなしていらっしゃったのですよ」
文官の言葉に、シグルド様は絶句しました。
「……そ、そんなはずはない。あいつはいつも、ぼんやりと虚空を見つめていただけだぞ」
「それは『集中モード』です。あの方は、虚空を見つめながら脳内で計算式を組み立てていたのです。……ああ、ミューモ様がいれば、今頃この不況も解決していたかもしれないのに……」
文官たちは、半泣きで部屋を去っていきました。
シグルド様は一人、ジャムまみれの書類を前に立ち尽くしました。
「……ふ、ふん。仕事ができるから何だというのだ。王妃に求められるのは、慈愛の心だ。そうだ、ララ。君なら、街の人々を笑顔にできるはずだ」
「はいっ! 私、笑顔には自信がありますぅ!」
しかし、その数時間後。
「慈愛の心」を示すために街へ炊き出しに出かけた二人は、さらなる地獄を見ることになります。
「さあ、皆さぁん! ララ特製のスープですよぉ! 隠し味に、中庭の元気な草を……」
「待て、ララ! それは入れるなと言っただろう!」
シグルド様が必死に鍋を押さえますが、時すでに遅し。
ララ様の「ドジ」が発動し、鍋はひっくり返り、シグルド様の豪華なマントに熱々のスープがぶちまけられました。
「あちちちち! 熱い! 毒草が沁みる!」
「ふえぇん、シグルド様ぁ! マントが元気な草の色になっちゃいましたぁ!」
街の人々は、泥まみれで叫ぶ王子と、泣き喚く男爵令嬢を、冷ややかな目で見ていました。
そこへ、一台の馬車が通りかかりました。
窓から顔を出したのは、先日、シグルド様が「呪いの人形を編んでいるはずだ」と嘲笑った、元婚約者の姿。
「……あら? シグルド様。そのようなところで、草のコスプレをなさっているのですか?」
馬車の中から、涼やかな声が響きました。
ミューモです。
彼女の隣には、なぜか騎士団長のカイン・ヴォルフラムが、彼女の肩を優しく抱くようにして座っていました。
「ミ、ミューモ……!? 貴様、なぜカインと一緒に……」
「カイン様が、『美味しいイチゴのパフェがあるから、ぜひ食べてほしい』と、半泣きで頼んでこられたので。……シグルド様、お忙しそうですね。それでは、ご機嫌よう」
馬車は、優雅に走り去っていきました。
シグルド様の鼻腔をくすぐったのは、カイン様が彼女のために用意したであろう、最高級の香水の残り香でした。
「……あの野郎。……いや、ミューモの奴、あんなに綺麗だったか……?」
シグルド様は、スープまみれの手で自分の胸を抑えました。
後悔?
いいえ、彼はまだ認めません。
ただ、胸の奥がチクチクとするのは、きっと毒草のせいに違いないと、自分に言い聞かせるのでした。
王宮の一角、シグルド王子の私室。
かつて私が、無表情で完璧な事務処理をこなしていたその場所で、シグルド様は引きつった笑みを浮かべていました。
目の前のティーカップには、どす黒い紫色の液体がなみなみと注がれています。
「えへへ、シグルド様! 中庭に生えていた『とっても元気そうな草』を隠し味に入れてみたんですぅ。健康にいいかなって!」
「元気そうな草……。……まさか、トゲトゲしていて、触ると痺れるやつではないだろうな?」
「あ、それですぅ! シグルド様、物知りですねぇ!」
「それは魔除け用の毒草だ、ララ。……死ぬところだった」
シグルド様はそっとカップを遠ざけました。
かつての婚約者である私がいた頃、彼が飲むお茶は常に適温で、その日の体調に合わせたハーブが絶妙に配合されていました。
もちろん、私は「モブ」ですから、そんな気遣いを一度も口にしたことはありません。
彼はそれを、「王宮の侍女が勝手にやっていること」だと思い込んでいたのでしょう。
「それより、ララ。明日の午餐会の招待状のリストは進んでいるかい? 君に任せたはずだが」
「もちろんですぅ! バッチリですよぉ!」
ララ様が自信満々に差し出したのは、あちこちにインクのシミがついた、シワシワの紙束でした。
「……ララ。これは……何語かな?」
「えっ? 私の『ララ文字』ですぅ! 可愛いでしょぉ?」
「……公文書に独自のフォントを採用するのはやめてくれないか。……それに、なぜ隣国の特使の名前が『ピカピカおじさん』になっているんだ」
「だってぇ、お名前が難しくて覚えられないんですもん! 頭が光っていたから、ピカピカおじさんでいいかなって!」
シグルド様は、こめかみを指で押さえました。
外交問題です。
一歩間違えれば、宣戦布告と受け取られてもおかしくない暴挙です。
「……ミューモなら、こういう時は一晩で完璧な名簿を作り、全員の嫌いな食べ物まで網羅していたものだが……」
ポツリと漏れたシグルド様の独り言に、ララ様が頬を膨らませました。
「シグルド様! またミューモ様の話ですかぁ? あんな地味で可愛げのない人のことなんて、忘れちゃってくださいぉ!」
「おっと、すまない。そうだったな。あいつはただの『事務処理人形』だった。君のような、太陽のような明るさこそが、未来の王妃には必要なのだ」
シグルド様は自分に言い聞かせるように頷きました。
しかし、現実は非情です。
太陽のような明るさ(物理)を誇るララ様は、次の瞬間、テーブルの端に置いてあった大切な契約書の上に、ジャムたっぷりのスコーンを落としました。
「あわわわ! シグルド様ぁ、書類が甘い匂いになっちゃいましたぁ!」
「……ああああ! それは他国との通商条約の原案だぞ! ベタベタじゃないか!」
「ふえぇん、ごめんなさいぃ……。私、ドジだからぁ……」
「……いや、いいんだ。君が可愛いから許そう。……だが、誰か! これを書き直せる奴を呼んでこい! 今すぐにだ!」
シグルド様の叫びに応えてやってきたのは、不眠不休で働かされている疲れ切った文官たちでした。
「……殿下。申し上げにくいのですが。このような細かい事務作業を即座にこなせたのは、アズベル伯爵令嬢だけでございます。我々では、内容の照合に最低でも三日はかかります」
「何だと!? あいつは、いつも十分足らずで終わらせていただろう!」
「それは、あの方が異常だったのです。……殿下、あの方は目立たない場所で、我々文官十人分の仕事を一人でこなしていらっしゃったのですよ」
文官の言葉に、シグルド様は絶句しました。
「……そ、そんなはずはない。あいつはいつも、ぼんやりと虚空を見つめていただけだぞ」
「それは『集中モード』です。あの方は、虚空を見つめながら脳内で計算式を組み立てていたのです。……ああ、ミューモ様がいれば、今頃この不況も解決していたかもしれないのに……」
文官たちは、半泣きで部屋を去っていきました。
シグルド様は一人、ジャムまみれの書類を前に立ち尽くしました。
「……ふ、ふん。仕事ができるから何だというのだ。王妃に求められるのは、慈愛の心だ。そうだ、ララ。君なら、街の人々を笑顔にできるはずだ」
「はいっ! 私、笑顔には自信がありますぅ!」
しかし、その数時間後。
「慈愛の心」を示すために街へ炊き出しに出かけた二人は、さらなる地獄を見ることになります。
「さあ、皆さぁん! ララ特製のスープですよぉ! 隠し味に、中庭の元気な草を……」
「待て、ララ! それは入れるなと言っただろう!」
シグルド様が必死に鍋を押さえますが、時すでに遅し。
ララ様の「ドジ」が発動し、鍋はひっくり返り、シグルド様の豪華なマントに熱々のスープがぶちまけられました。
「あちちちち! 熱い! 毒草が沁みる!」
「ふえぇん、シグルド様ぁ! マントが元気な草の色になっちゃいましたぁ!」
街の人々は、泥まみれで叫ぶ王子と、泣き喚く男爵令嬢を、冷ややかな目で見ていました。
そこへ、一台の馬車が通りかかりました。
窓から顔を出したのは、先日、シグルド様が「呪いの人形を編んでいるはずだ」と嘲笑った、元婚約者の姿。
「……あら? シグルド様。そのようなところで、草のコスプレをなさっているのですか?」
馬車の中から、涼やかな声が響きました。
ミューモです。
彼女の隣には、なぜか騎士団長のカイン・ヴォルフラムが、彼女の肩を優しく抱くようにして座っていました。
「ミ、ミューモ……!? 貴様、なぜカインと一緒に……」
「カイン様が、『美味しいイチゴのパフェがあるから、ぜひ食べてほしい』と、半泣きで頼んでこられたので。……シグルド様、お忙しそうですね。それでは、ご機嫌よう」
馬車は、優雅に走り去っていきました。
シグルド様の鼻腔をくすぐったのは、カイン様が彼女のために用意したであろう、最高級の香水の残り香でした。
「……あの野郎。……いや、ミューモの奴、あんなに綺麗だったか……?」
シグルド様は、スープまみれの手で自分の胸を抑えました。
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