3 / 6
夢と現実
しおりを挟む
夢の中では、白川が俺に抱きついていた。前後の脈絡はあった気がするが忘れた。斎藤のことはいいのかよ、と、思えばくだらない質問を白川に投げた。俺ときたら夢の中でもなんとも矮小なやつだ。それに対し白川はなにか答えた。何を言っているかはわからなかったが、実はずっとあなたのことが気になってたんです、斎藤さんなんてまったく興味ないです、とかなんとか、都合のいい感じの理解が俺の頭いっぱいに広がった。女に求めるものは、昼は淑女で夜は娼婦、とよく言うが、ご多聞に漏れず俺もまたそんなわかりやすい男なわけで、夢のなかの白川はもちろん俺にエロいことをしてきた。股間をまさぐり、俺のものを口に含んだ。待て白川、やめるんだこんなところで、と言った気がするが、それは建前というもので、本音を言えば、うひょー、たまらん、と、そんな気持ちであったわけだ。
もちろん夢の中の白川は俺の建前ではなく本音に応え、ちゅぱちゅぱと音を立てて俺の陰茎を吸った。あ、出そう。出る。射精直前の快楽にしばし身を委ね、目をつぶり、吐息を吐いた。ああ、いい。このまま白川の口に一発させてもらったらそのあとは、落ち着ける場所へ移動して、服を脱がせて、そうだそれから一緒にシャワーを浴びて、と次の段取りに想いを馳せながら目を開けると、周囲が急に暗くなった。
なにが起こったのかわからなかったのは一瞬だけのことで、そういえば映画館に来ていたのだ、ということはすぐに思い出した。スクリーンでは相変わらず無精髭の俳優がなにかについて語っている。先ほどまでの白川とのことが全て夢、つまりは俺の願望であることを悟り、俺はとことん情けない気持ちになった。他人のものになってからこんな夢をシコシコ見るくらいなら、思い切ってデートにでも誘っていればよかった。間違いなく断られただろうが。それならそれで、とっくに諦めもついていただろうに。直接なんのアプローチもせずに裏でこそこそ妄想にふける。こういうやつが一番気持ち悪いだなんて俺自身がよくわかってる。
「ん……」
口から声が漏れた。やかましい音楽が鳴り響いている中の小さな声だ。周囲には聞こえなかっただろうが、そんな声が自分の口から出たことに、俺は驚いた。
それにしても、寝覚めの悪い夢を見た割には、なんとも心地よい感覚に包まれていた。夢のなかで白川がしてくれていたフェラを思い出す。下半身がいまだあの感覚に包まれている。あの感覚を忘れないうちに、トイレででも一発抜いてこようか。最低なことをやっている自覚はあるが、まあ、誰にも言わなきゃわかりゃしない。そうだ、それで白川のことは忘れよう。これきりにするんだ。それでもし明日、白川と斎藤が付き合い出したという話を聞いても、イケメンはいいよな、白川ちょっといいなと思ってたのになー、イケメンめ爆発しろ、と同僚たちと屈託なく盛り上がろう。そう思って立とうとしたが、なんとなく体がだるい。動かない。体の中心は気持ちがいいのに。夢の中で聞こえていたちゅぱちゅぱという水音が、ここでも聞こえている。あれは映画の効果音だったのか、と思ってスクリーンを見たが、スクリーンでは暗い画面のなかに焚き火がパチパチと音を立てていた。
では、この水音は、どこから?
「アッ……」
またしても自分の口から声が出た。甘くねだるような声。胸からなにか刺激がきた。おかしい。なにがあったのかと刺激を感じた方を見ると、左から伸びてきている人の手が指の背で、シャツの上から俺の左の乳首のあたりを撫で回していた。
それだけではない。社会の窓が開き、そこから勃起した俺の息子がコンニチハしている。時間的に言えばコンバンハか。いやそこはどうでもいい。どうでもいいが、水音の源はそこだった。見慣れた自分自身のものが元気に起立して、左側から伸びた手により上下にしごかれ、透明な液を無邪気に垂らしている。
「え? あ? アッ?!」
再び胸に刺激がきて、思わず背中を丸める。乳首のあたりに爪を立てられた刺激だったのだ、と、その時ようやく理解した。そんな場所をこれまで触られたことはなかった。女ならともかく、自分のそこが感じるとは思っていなかった。
「あ、ああっ、あ……」
胸の周辺を弄んでいた指が、半開きの口から入り込んできた。指先で俺の口のなかのあちこち撫で回す。唇の裏側を、紅でも引くように撫でられると、下半身から背中にかけゾクゾクしたものが這い上がってくる。
「あー……」
心地よさに、体が勝手に痙攣する。チンコをしごく手の動きが少しだけ早くなった。
「ああっ、ああっ、ああっ、ああっ……」
もう少し、もう少しでイケそうだ。いやちょっと待て。そんなことしている場合なのか。これは痴漢というやつではないのだろうか。痴漢は犯罪だ。そもそも映画館のなかだ。公共の施設でこんなことを。頭のなかにわずかに残った理性がそう訴えかけてきたが、絶頂近くまで追い上げられたチンコの気持ち良さの前ではすべてが吹き飛んだ。大丈夫、俺は被害者。だからイッてもいい。イッたら逃げる。なんなら帰り際、係員に痴漢がいたと通告しておこう。俺は被害者。イッたら、逃げる。
そんな俺の内面を見透かしたかのように、あと少しで射精、というところで、痴漢はスッと手を引いた。口からも、チンコからも。
もちろん夢の中の白川は俺の建前ではなく本音に応え、ちゅぱちゅぱと音を立てて俺の陰茎を吸った。あ、出そう。出る。射精直前の快楽にしばし身を委ね、目をつぶり、吐息を吐いた。ああ、いい。このまま白川の口に一発させてもらったらそのあとは、落ち着ける場所へ移動して、服を脱がせて、そうだそれから一緒にシャワーを浴びて、と次の段取りに想いを馳せながら目を開けると、周囲が急に暗くなった。
なにが起こったのかわからなかったのは一瞬だけのことで、そういえば映画館に来ていたのだ、ということはすぐに思い出した。スクリーンでは相変わらず無精髭の俳優がなにかについて語っている。先ほどまでの白川とのことが全て夢、つまりは俺の願望であることを悟り、俺はとことん情けない気持ちになった。他人のものになってからこんな夢をシコシコ見るくらいなら、思い切ってデートにでも誘っていればよかった。間違いなく断られただろうが。それならそれで、とっくに諦めもついていただろうに。直接なんのアプローチもせずに裏でこそこそ妄想にふける。こういうやつが一番気持ち悪いだなんて俺自身がよくわかってる。
「ん……」
口から声が漏れた。やかましい音楽が鳴り響いている中の小さな声だ。周囲には聞こえなかっただろうが、そんな声が自分の口から出たことに、俺は驚いた。
それにしても、寝覚めの悪い夢を見た割には、なんとも心地よい感覚に包まれていた。夢のなかで白川がしてくれていたフェラを思い出す。下半身がいまだあの感覚に包まれている。あの感覚を忘れないうちに、トイレででも一発抜いてこようか。最低なことをやっている自覚はあるが、まあ、誰にも言わなきゃわかりゃしない。そうだ、それで白川のことは忘れよう。これきりにするんだ。それでもし明日、白川と斎藤が付き合い出したという話を聞いても、イケメンはいいよな、白川ちょっといいなと思ってたのになー、イケメンめ爆発しろ、と同僚たちと屈託なく盛り上がろう。そう思って立とうとしたが、なんとなく体がだるい。動かない。体の中心は気持ちがいいのに。夢の中で聞こえていたちゅぱちゅぱという水音が、ここでも聞こえている。あれは映画の効果音だったのか、と思ってスクリーンを見たが、スクリーンでは暗い画面のなかに焚き火がパチパチと音を立てていた。
では、この水音は、どこから?
「アッ……」
またしても自分の口から声が出た。甘くねだるような声。胸からなにか刺激がきた。おかしい。なにがあったのかと刺激を感じた方を見ると、左から伸びてきている人の手が指の背で、シャツの上から俺の左の乳首のあたりを撫で回していた。
それだけではない。社会の窓が開き、そこから勃起した俺の息子がコンニチハしている。時間的に言えばコンバンハか。いやそこはどうでもいい。どうでもいいが、水音の源はそこだった。見慣れた自分自身のものが元気に起立して、左側から伸びた手により上下にしごかれ、透明な液を無邪気に垂らしている。
「え? あ? アッ?!」
再び胸に刺激がきて、思わず背中を丸める。乳首のあたりに爪を立てられた刺激だったのだ、と、その時ようやく理解した。そんな場所をこれまで触られたことはなかった。女ならともかく、自分のそこが感じるとは思っていなかった。
「あ、ああっ、あ……」
胸の周辺を弄んでいた指が、半開きの口から入り込んできた。指先で俺の口のなかのあちこち撫で回す。唇の裏側を、紅でも引くように撫でられると、下半身から背中にかけゾクゾクしたものが這い上がってくる。
「あー……」
心地よさに、体が勝手に痙攣する。チンコをしごく手の動きが少しだけ早くなった。
「ああっ、ああっ、ああっ、ああっ……」
もう少し、もう少しでイケそうだ。いやちょっと待て。そんなことしている場合なのか。これは痴漢というやつではないのだろうか。痴漢は犯罪だ。そもそも映画館のなかだ。公共の施設でこんなことを。頭のなかにわずかに残った理性がそう訴えかけてきたが、絶頂近くまで追い上げられたチンコの気持ち良さの前ではすべてが吹き飛んだ。大丈夫、俺は被害者。だからイッてもいい。イッたら逃げる。なんなら帰り際、係員に痴漢がいたと通告しておこう。俺は被害者。イッたら、逃げる。
そんな俺の内面を見透かしたかのように、あと少しで射精、というところで、痴漢はスッと手を引いた。口からも、チンコからも。
46
あなたにおすすめの小説
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる