雨のふる星、遠い星

依久

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17話 フラッシュバック

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べ、べつにセクハラとかじゃないからな!

アスランはアタフタとあたしから離れた。


「はぁ~~、遅くなったがメシ作るかあ」
「いま、何時?」
「日付変わったとこ」
「ごめんなさい。あたしってば迷惑かけてばっかりで…」
「そう、思うのならシャワーでも行っててくれ」
「え?」
「メシ作ってる間の時間を有効的に使わないと寝不足になるぞ」
「もう、なってる…」
「汗臭いオンナは嫌いだ」
「な!」
「夢見てうなされて、汗かいてるだろうがっ!」
「確かに…」
「メイク落としは食材と一緒に買ってきた。ほらよ」
「これ、結構高価なやつ…」
「エルダが使っていたやつだから間違いないだろう」
「エルダさんが…。ありがたく使わせていただき…」
「また敬語になってる。他人行儀すぎる」
「だって他人だ…え?」



急に何かが飛んできたのでよく見るとピニール袋に入った男物の下着…。



どうリアクションすれば、と思っていると
「だいぶ葛藤したが、俺でもさすがに女ものの下着までは買えなかった。悩み抜いてSサイズの男物だ。サイズ合わないかもだけど無いよりマシ」
「あり…がとう。でも…」
「やる。普段、防犯に使え」
「防犯…て?」
「賢いくせにわからんのか?男物の下着を目立つところに干せば防犯になるだろうが!」
「あのですね、アスラン」
「なんだ」
「雨の降ってる所に干せないから乾燥機なんだけど…」
「誰が外に干せと言った?窓際で外から見える所にこれ見よがしに干しとけ。無いよりマシだ」



無いよりマシと視線を泳がせながら言うアスランに、あたしは、再び、「確かに…」と答えるしかなかった。








シャワー後、とりあえずまた服を着た。アスランはガウンを借してくれると言ってくれたけれど断った。



あたしとアスランはただの同僚。
ガウンなんて借りたら親密な感じがするから気がひける。



それにあたしの身体は傷だらけ。
もしも、何かの拍子にガウンがはだけてしまったらなんと言い訳したら良いのか…。



あたしの胸には大きな傷がある。 
それは、自分を見失った時に無意識でつけたもの。
愛し始めた男には見せられない。
そんなの見たりしたら大抵の男は


引く



ましてや、アスランは、あのエルダの婚約者だった男。
神経を逆なでするに違いない。



「シルヴィア、メシ早く食え!…ってか、その顔!」
「な、なに?」
「本当に25か?」
「そうよ!」
「すっぴんだと若返って見えるぞ。毎日、その顔で出勤しろよ」
「化粧は、オンナの戦闘服よ!」
「それはどういう意味か聞いても?」
「泣くと化粧が崩れるから顔が汚くなるの」
「それで?」



アスランは面白そうに聞いている。



「だから辛くても泣けない。泣いたら化粧が崩れるから…」
「その割には、さっきピーピー泣いていたのは誰だ?」
「他のひとの前では泣かないもの…」
「それは、俺がシルヴィアの特別だって事?」
「絶句、どこからその自信が生まれてくるの?」


と言うと、アスランは、ふふん!と鼻を鳴らした。




アスランのあの上から目線、小憎たらしくなってきた。



目が高圧的!



その時、あたしの頭の中に一瞬何かのイメージがフラッシュバックした。



アスランのあの顔、どこかで見たことがあったかしら……。



長い廊下をカツンカツンとヒールの音をさせて歩くあたしの姿が浮かんだ。



前方から数人歩いてきてすれ違った。








「シルヴィア、俺の顔に何か付いているのか?」
「え…と、変なこと聞くけど」
「なんだ?」
「あたし、以前、あなたによく似た人に会った事があるわ」
「へえ、どこで?」
「…どこで…だったかしら…」
「もし、それが俺だったらあんたみたいな美人、覚えてるけどな…」
「…………」



あたし達、辺境の星域、惑星ルシーダで初対面のはずよね…。



つづく
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