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桜島晴人
3話 気持ち悪い
しおりを挟む何故かすんなりと桜島とは約束を取り付けられた。幸先の良いスタートに琴音は内心でほくそ笑んだ。
(なんだか良く分かりませんけど、ラッキーです♡ふふふ)
桜島の所を後にして、琴音は自室に戻るとすぐにキッチンに向かう。桜島は18時に来ることになっている。それまでに、材料の確認などをしておきたい。
(夕方に桜島君が来るまで、まだまだ時間はありますけど……。一応準備だけは、早目にしておきましょう。)
部屋には簡素なキッチンが備わっている、洋館内部の部屋は色んなパターンが有るので無い部屋も有るが、皆、自室には、キッチンの有る部屋を選んでいた。
(ツナチャーハンとスープで良いでしょうか?玉子スープだと被っちゃいますから、シンプルなもやしのスープにしておきましょう。……此処でなら、これでもご馳走ですよね)
ガサガサと紙袋に手を入れて、桜島から貰ったツナ缶を取り出す。一昨日、緑子からは卵を貰った。お米も有る、チャーハンは問題なく作れる。琴音自ら見つけた、もやしも有る。これでスープもバッチリだ。食事の材料は問題ない。
(うーん。あとは美味しく作れるか、ですよね……)
一応、この洋館に来る前の記憶では、人並みには母親の料理の手伝いをしていた。全く料理が出来ないと言う訳ではないが、家族以外の、それも異性に食事を振る舞うなんて、良く考えれば初めてだ。
(少し、緊張しちゃいますね。……ふう、まあでも、なんとかなりますよね。そんなに難しい料理でも無いですし、それに今回の目的は、美味しいご飯を食べて貰う事じゃないです、私が桜島君を美味しく食べちゃうんですから……。むふふ)
琴音はむふふと笑う。桜島への怒りは有るが、それよりも、今はエッチな気持ちが止められなくて、胸がドキドキと高鳴った。高揚感と言っても良い。
(今をときめく、アイドルの桜島君を逆レイプなんて、凄く興奮しちゃいます♡…………桜島君のグループをテレビで見て、友達とキャーキャー言ってましたもんね。……本当の記憶なのか、設定上植え付けられているだけの記憶なのかは、今では定かでは無いですけど………)
何度も繰り返す周回で一緒に過ごしすぎて、忘れかけていたが、本来なら気安く会話をする事も難しい相手だ。そんな相手を縛って逆レイプするのだ。興奮しない方がおかしい。
(はうぅ、……オナニーしたくなって来ちゃいました♡)
◇◇◇◇◇◇
部屋の電気を少し暗くして、カーテンを閉めて琴音はベッドに横になる。
(ん……、桜島君、私に縛られたら、どんな顔するんでしょうか?桜島君自身も枕の経験が有るんでしょうか?アイドルなら皆してるって前回言ってましたもんね?と言うことは、童貞じゃないんでしょうか?………うーん。………おばさんとしたりしてたんですか?桜島君……。まさか、おじさんとは無いですよね?……ん……っ)
素の性格を知るまでは、桜島の事も太陽やノアと同じピュアボーイ。童貞だと勝手に決めつけていたが、桜島の口ぶりでは、非童貞っぽい。此処に来る前の話なら、周回が違ったとしても、その事実は変わらない。
(は…ん、……、意外と喜んじゃたりして、……ん……だって、エヴァさんも、和泉先生も……私に凄く興奮して、おちんちん勃起してましたし……、桜島君も、いくら私を嫌っていたって、健全な男子高校生ですもんね?……おっぱいとかおまんこ見せたら、喜んじゃう?はうぅ………嫌いな女の体に興奮して、勃起なんて、凄くえっち……。はぁ♡)
想像すると、おまんこが濡れてくる。クチュクチュと大きな水音が部屋の中に響く。指を2本おまんこに挿れて、抜き差しを繰り返すと痺れるような快感が湧き上がって来た。
(まさか、太陽君みたいに、泣いたりなんて、桜島君に限っては、あり得ないですもんね?……ぁっ、はぁ…、ん………なら、縛って、フェラチオして、桜島君がイきそうになっても、寸止めして、焦らしたりなんかしたら、泣いて謝ってくれるかもしれませんね?ふふふ、それってすっごくえっちです♡)
和泉やエヴァ、アノニマスとのセックスで気持ち良いと褒められた。だから、フェラには少し自信がある。
『お願い、琴音チャン、イかせて?俺もう限界、……お願い、俺、何でもするから……何でも言う事聞くから……』
『なんでも?ふふふ、そんなにイきたいんですか?なら、謝ってください、……私、知ってるんですよ?私の悪口を、皆さんで言って盛り上がってたの。……凄く傷つきました、……でも謝ってくれたら、許します、それから、おまんこの中でイかせてあげますよ?ね♡桜島君?ほら、謝ってください、何でもするんですよね?ほらほら、おちんちん、ビンビンで辛いでしょう?嫌いな女にこんなに勃起させるなんて……。桜島君って変態さんですね』
『あ……、琴音チャン、っ……、ごめん、俺、ごめんなさい、お願い、イかせて……、俺、琴音チャンのおまんこでイきたい、俺、嫌いな子に勃起する変態です。お願い……イかせて……悪口言ったのは謝るからぁ…うぅ……お願い琴音チャン………おまんこでイかせて……お願いします………』
(なーんて事になったりして……、うふふ、すっごくエッチです♡)
イきたいのに、イかせて貰えなくて、嫌いな相手に顔を真っ赤にして、イかせて欲しいと懇願する桜島を想像すると、おまんこがキュンと締まる。そして、ビクビクと震えて、琴音は中でイってしまった。
(ん……、あふ…、初めて、指だけで、中イキしちゃいました…、ふぁ………。はあ……)
◇◇◇◇◇◇
(…………スープは桜島君が来てからで、良いですよね。…………はあ……)
出来上がったチャーハンを机に並べて、琴音は、ぼんやりとしていた。後10分くらいで桜島が来る。
(…………どうしましょう)
一応、すぐに取り出せる様に、ベッドの下にロープを隠してある。準備は万端なのだが、琴音はなんだか、やる気とえっちな気持ちが萎んでいた。
(……………よく考えれば、私、桜島君を縛れるでしょうか?……縛り方もよく分からないですし…。なんとか縛れても、その後は想像みたいに上手くいくのでしょうか?……体格差も有りますし、抵抗されたらヤバいのでは?)
妄想オナニーをして、賢者タイムになり、料理をしていた琴音は冷静になり、漸くその事実に気づいたのだった。
(もし、抵抗されて、エヴァさんや和泉先生や太陽君に、私が桜島君を襲おうとしたのが、バレたら、今回の周回はエッチ無しで終わりですもんね?うーん。それは勿体無い気がして来ました。どうしましょうか………)
むむむと眉を寄せて悩む。
失敗したら、エヴァや和泉に行こうと楽観的に考えて居たが、そもそも、失敗したら残っている全員にバレる。桜島は内心で、琴音を嫌っている筈だ。なら、皆に告げて琴音の事を糾弾するに決まっている。今回、一番怖いノアはいないが、和泉もエヴァも怒るかもしれないし、太陽は泣いちゃうかもしれない。
(うーん。………いえ、でもやっぱりその前に、私が桜島君を襲えるか、ですよね?うーん。……駄目元でヤるか。一度作戦を見直すか………)
琴音が喰われるまではまだまだ、時間は有る。だが、今日と言うチャンスを逃すと、次に二人きりになれるチャンスが有るかどうか分からない。
うーんうーんと唸っていると、コンコンと部屋の扉が鳴った。
開けると手に紙袋を持った桜島が、立っていた。
◇◇◇◇◇◇
「チャーハン?あ、ツナ入ってるんだ?うまそー☆ありがとね。琴音チャン、スープまで作ってくれたんだ?めっちゃ嬉しー☆凄い御馳走じゃん☆」
ニコニコとして、机の上のツナチャーハンともやしスープを眺めて、そう言う桜島に、琴音は内心複雑な気分になる。
(それも、演技なんでしょう?……本当はショボいとか思ってるんじゃ無いですか?アイドルさんなら舌が肥えてそうですし………)
「あの、……味は余り期待しないでくださいね?私、家族以外の人にお料理を作るのって、初めてなんです。」
琴音がそう告げると、桜島は目をパチパチして驚いた風だ。
「え?………………そうなんだ。俺が初めて?へえ……そっか」
そう言って、桜島はじっとチャーハンを見つめている。少し困惑している様だ。微かに眉が寄っている。
「あの、一応味見はしてるので、食べられない程不味いとかは無いですよ?………もし、お口に合わなければ残しても大丈夫ですし」
「え?!いや、そんな事思って無いって!!!ただ、俺が初めてって聞いて、………嬉しいなって思ったからさ。…………本当に、いーの?琴音チャン。俺が初めてでさ。ほら俺っていちおー異性じゃん?だからさ、後からさ彼氏とかに怒られない?そう言うのって彼氏に取っておきたい物なんじゃないの?女子ってさ」
「…………いえ、私は特にそんな風には思わないですけど、……彼氏も居ませんし。……あの、食べませんか?」
「…………そーだね。食べよっか☆」
「はい。………頂きます」
「うん☆いただきまーす☆」
桜島はスプーンを口に運んでチャーハンを頬張るとニコニコと微笑んでいる。今は嬉しそうな顔だが、これは演技だと思う。先程一瞬見せた表情は嬉しそうな顔には見えなかった。
(そう言う反応も想定の内ですから、別に良いですけど。………あむ。………、……うん。やっぱり、結構美味しく出来てますね。ふう)
ホッとして、琴音も、もぐもぐとチャーハンを食べていると、向かいに座った桜島は飲み込む度に美味しいと口にする。褒められて嬉しいのだが、本心からは喜べない。
(………………桜島君、どうしてお部屋に来てくれたんでしょうか?………私の事、悪口言うくらい嫌いなのに、……それに二人きりは駄目な筈なのに………。)
今更その疑問が湧き上がる。朝はただ、ラッキーとしか思わなかったが、落ち着くと色々と考えてしまう。
「めっちゃ美味しーよ、琴音チャン☆スープもチャーハンも、どっちも最高☆琴音チャンは将来良いお嫁さんになれるね☆」
「あ、ありがとうございます。嬉しいです。」
表面上は琴音に対して友好的な桜島の態度を見ていると、本当に悪口を言っていたのかと疑問に思うくらいだ。
(……………私の聞き間違いでしょうか?……でも、……間違い無くお姫様って……聞こえました。お姫様気取りって陰口でしょう?……前の周回でも言ってましたもん。だから、聞き間違いじゃ無いですよね……。エヴァさんも、役立たずって言ってたし、桜島君と和泉先生も、………笑ってましたもん)
食事が終わり、琴音はチラチラとベッドの下を見る。
(っ……まだ駄目ですね。スキも無いですし………、ふう。焦りは禁物です。とりあえず食後のお茶を淹れて、もう少し時間を稼がないと……。)
「ごちそーさま☆琴音チャン。本当に美味しかったよ。ありがとう。……俺、また食料とか見つけたら持ってくるね。……?どしたの?」
ベッドをチラチラと見る琴音に桜島は不思議そうな顔だ。それから桜島も部屋をキョロキョロと見回して微かに眉を顰めた。
(やっぱり、私に対して少し警戒してるんですかね?ロープの事とか、バレては無いですよね?………にしても見過ぎじゃないですか?別に何も無いから良いですけど。………)
今回の周回は必要最低限の物しか、貰ってない。だから、かなり部屋は殺風景だ。
「あ、いえ、何でも無いですよ?えっと、お粗末様です。夕食を喜んで貰えて良かったです。…………、あの、桜島君、私食器を片付けて、それからお茶を淹れてきますね」
そう言って琴音が空いた食器を手に取り立ち上がると、桜島はハッとした顔をした。
「あ、そう言えば俺、ジュース持ってきたんだった。……忘れてた………。ほら、これ。これ飲もうよ☆多分、イチゴジュースかな?……ここに来る時にたまたまエヴァと会ってさ、そしたらコレくれたんだよねー☆折角だし二人で飲もーよ。甘いの好きでしょ?」
桜島は部屋の床に置いていた紙袋を持ち上げると、中から1本の瓶を取り出した。
中身は赤い色の液体だ。桜島から渡された瓶のコルクを開けると、甘い匂いがした。桜島が言う様に、イチゴの香りだ。
(ん……甘くていい匂いですね。……エヴァさんがこれを?有り難いですね。これなら良い時間稼ぎになります。…………どうするかは、もう少し様子を見てから考えましょう)
◇◇◇◇◇◇
ズキズキと嫌な痛みに琴音はハッと意識を取り戻した。後頭部が痛い。それになんだか体が怠くて気持ちが悪い。
(う……ん?……あれ?……うっぷ、………気持ち悪い……、ん……頭痛い……)
ゆっくりと身を起こすと、自室に一人だった。体の節々が痛くて、自分が、床に倒れていた事に気付く。
「……………え?」
床に千切れたロープが落ちていて、割れた瓶とコップだったであろう硝子の破片があちこちに散らばっている。甘い匂いも漂っていて、カーペットに何か液体が染みた跡もある。
(……………あれ?……なんか寒い?……スースします……っ?!)
ハッとして、自身の体を調べると、上半身はブラジャー1枚で、下半身はかろうじてスカートを身に着けてはいるが、パンツを履いていなくて股間がスースーする。それに、やけに後頭部が痛む。
ハッとして痛む後頭部に手をやると、更に激しい痛みが襲う。
「いったぁ………え………?何が有ったの?……っ……頭、切れてます?……たんこぶも出来てる……、え?ええ?」
キョロキョロと周囲を見回すが部屋にはやっぱり琴音一人だ。
(え?あれ?……私、何をしてたんですっけ?)
まだ、頭に靄が掛かったような感覚で、ハッキリと思い出せない。
(桜島君が………、ジュースを……)
床に転がる割れた瓶を見て、琴音は必死に記憶を辿る。
(…………桜島君とジュースを飲んで、それから……………、あ)
『………気持ち悪いんだよっ!!!!俺に触んじゃねぇ!!!クソ女っ!!!!』
そう叫んで、琴音を蹴り飛ばす桜島。鮮明に頭に浮かんだ光景に、琴音は痛む頭を抱えて床に崩れ落ちた。
「あ………、あ……完全にやらかしましたっ!!!!!あれ…………ジュースじゃないじゃないですかぁ!!!お酒、ですよね?………ああ…………ひぃ………完全に終わったぁ。……最悪です………うっぷ…………うぅ気持ち悪いですぅ……」
応援ありがとうございます!
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