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番外編 その後のその後
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最近お姉ちゃんの様子がおかしい。
まるで何か企んでいるみたいで不気味なのよね。
まあ、頭の悪いお姉ちゃんの考えることなんてたかが知れてるけどね。
どうせ私に復讐したいとか、久艶を手に入れたいとかそういうものでしょう。
それにしても、カウンセリングはちゃんと受けてるみたいなのに、一向に良くならないのはどうしてなんだろう?
優秀な先生を付けてるはずなんだけどなあ。
あれか、三つ子の魂百までってやつかなぁ?まあ、お姉ちゃんが今更真人間になったら、今までの事を後悔してうつ病になっちゃうかもしれないよね。
それはそれでうっとおしいよなぁ。
「美零さん、貴女からもお姉さんに言ってくれない?せめてレポートの期限は守るようにって」
「ご迷惑をかけてすみません。でも私が言ってもきかないと思います」
「それはわかってるけど、駄目もとで言ってみてくれない?」
お姉ちゃんのクラス委員長が私にそう訴えてくるけど、私が何を言ってもお姉ちゃんにはなにも響かないだろうなあ。
なんと言っても、いまだに自分が世界の中心みたいな思考をしてるみたいだし。
「私が何かを言うよりも、カウンセリングの先生に頼んだほうがいいのかもしれませんよ?」
「それはもうやってるのよ。でも効果がないの。有名な教授がせっかくカウンセリングをしてくれてるっていうのに、ここまで効果がないなんて、貴女のお姉さん本当に頭がどうかしてるとしか思えないわ」
「私もそう思います」
お姉ちゃんの頭の中を覗けたら煩悩でいっぱいなんだろうなあ。
除夜の鐘をいくら叩いてもきっと効果はなさそう。
「美零」
「あら、久艶どうかしたの?」
「かくまってくれ」
「またお姉ちゃんに絡まれたの?玲羅に守ってはもらえなかったの?」
「玲羅は今は秋津と校内デート中だ」
「あら、そうなの」
それなら仕方ないかな。二人の仲をお姉ちゃんのせいで邪魔するわけにはいかないもんね。
それに私も久艶と校内デートするのもいいなぁ。
「ねえ久艶、私達も校内デートしない?」
「いいぞ」
「やった。じゃあ、久遠寺さん、私たちはこれで失礼します」
「はあ、ベストカップルさん達の邪魔をするわけにはいかないわね。じゃあまたね、美零さん」
そうして私達は、中庭に向かって行った。
******************************
俺が抱える患者の中で、天野井美嘉は特に厄介な患者だ。
何を言っても通じないとはあの事だろう。自分をヒロインだと勘違いしているようで、体ももう丈夫になっているというのに、いまだに病弱な気でいる。
両親の逮捕の件も不当だと毎回俺に訴えてくる。俺に言われても何も出来ないと言っているのに毎回だ。
いい加減疲れてくるという物だ。
彼女の祖父は俺の恩人であるからこそ受けている依頼なのだが、いい加減嫌気がさしてくる。
学校内でも嫌味を言ってくる人間が多いと言ってくるが、仕方のない事だろう。
事情を聴くと、妹の彼氏に手を出そうとしていたわけなのだから。いや、今現在もちょっかいをかけているようだ。
妹の美零さんもいい迷惑だろう。何度かあったことがあるが、聡明そうな良い子だった。そんな彼女に迷惑をかけるとか、姉として失格だろう。
まあ、元々失格のようなものだし、俺のカウンセリングでどこまで正気に戻せるかといったところだな。
「先生聞いてますぅ?」
「ああ、聞いていますよ。相変わらず、委員長さんが美嘉さんに文句を言ってくるんだそうですね」
「そうなんですよ。全く困ったものですよね。出来てないものを提出しろとか無茶なことを言ってくるんですよ。無理やり書かせて再提出になるこっちの身にもなってほしいものですよね。美零はお爺ちゃんの家に行っちゃって手伝わせることが出来ないし、先生も私がどれほどつらい目に遭ってるかわかってくれますよね」
「まず、レポートの件だが、期限は通常守るものだと前にも言っていると思うよ。美嘉さんのクラスの委員長からもレポートに関してはちゃんと出してもらう様にとお願いされているんだよ。話しに聞くと、レポートは一か月前に告知が出ているんだろう? その間に自分で何とかしようとは思わないのかな?」
「やろうとは思ってますけどぉ、やる気が起きないんですよね。だって、私がしなくても今までだったら美零がしてくれてたんですもの。離れてるからって、美零があたしのレポートを書かなくていいっていう理由にはならないと思うんですよね。そう思いませんか?」
「美嘉さん、何事も人任せにするのは良くありませんよ。家の中でも家事全般は全て家政婦に任せているというではありませんか。少しずつでもいいから、出来る範囲から自分でやってみてはかな?」
「先生、なにをいってるんですか? あたしがそんなことをしたら家政婦の仕事を取っちゃうことになるじゃないですか。そんなの可哀そうでしょう? あたしは家政婦の事を考えて家事全般を任せてるんですよ」
「でもせめて自分の部屋の掃除ぐらいは……」
「あたし、自分の部屋に見られて困るようなものなんて置いてないですから、家政婦が入っても困らないんですよね」
「……話を変えましょう」
「いいですけど、どうしてですか?」
「美嘉さんの進級についても、美嘉さんの担任から相談を受けています。このままでは進級は難しいとのことですよ」
「はあ!? なにそれ、意味わかんない」
この娘、本当に何もわかっていないな。他行に転校するだけの知能が残っているかも不明だ。
俺の他にもセカンドオピニオンを付けたほうが良いだろうな。むしろ俺のために付けてくれといった感じだ。
カウンセリングを受けている間のこの娘の目はぶれることが無い。つまり間違ったことをしているという自覚など全くないのだ。
俺もいい加減疲れてしまう。厄介な患者はいくらでも見てきたが、ここまで酷い患者は初めてだ。
******************************
今日、担任からこのままでは進級が危ういって言われたわ。冗談じゃない、私が何をしたっていうのよ。カウンセリングの先生にも言われたたし、でも私は何も悪いことはしてないわ。
確かに、レポートは良く再提出を喰らってるけど、結局はちゃんと提出してやってるじゃないの。それなのに進級でないとか意味が分からないわ。
「先生、このあたしがどうして進級できないんですか?」
「普段の素行の悪さを見てと、成績を見ての判断だよ。わからないのかい?」
「わかりません。なんでこのあたしが?あたしはこの学校に推薦入学で入ったんですよ? そのあたしを進級させないなんて、あたしの出身中学の顔に泥を塗るようなものですよ? いいんですか?」
「そんなものは関係ないよ。君の出身校の推薦状は確かに立派なものだったし、君の入学時のレポートも素晴らしいものだったし、面接も高評価だった。だが、蓋を開けてみればこんな結果になってしまって、こちらとしても非常に残念に思っているよ」
何よこの担任、使えないわね! あたしの出身校は名門私立校なのよ! そこの出身者であるあたしが留年なんてありえないわ。
そうだわ!
「先生、あたしに挽回のチャンスをください。完璧なレポートを書いて見せます。テーマは環境問題に関してです」
美零に書かせればいいわよね。
「ふむ。君がそこまで言うんなら、一か月後までに提出したまえ」
「わかりました。必ず提出しますので期待してくださいね」
そう言ってあたしは職員室から出る。早速美零を探さなくっちゃね。クラスにいるかしら? このあたしに無駄足を踏ませるような真似はさせないで欲しいものよね。
美零のクラスに行くと、美零は図書室にいると言われた。なによ、無駄足を踏ませるなんて美零のくせに。
仕方がないから図書室まで行って美零がどこにいるか聞くと、談話室の一室にいると言われて、扉が閉まってる部屋を一部屋ずつ見ていく。
なんで最初の部屋にいないのよ。次の部屋にもその次の部屋にも居なかったわ。このあたしに恥をかかせるなんていい度胸よね。
数部屋目でやっと美零がいる部屋に辿り着いた。そこには久艶君と玲羅と玲羅の彼氏とか言う男子生徒がいた。
「ちょっと美零!」
「な、なに? お姉ちゃん」
「話があるのよ」
「話? どういう話なのかな?」
「一か月後までに環境問題について、完璧なレポートを仕上げなさい。そうしないとこのあたしが留年することになるのよ。そんな恥をかかせないで頂戴よね」
「レポート? それはお姉ちゃんが自分で書かないと意味がないんじゃないのかな?」
「あたしにそんな余裕があると思ってるの? あたしは忙しいのよ。あんたがやりなさいよ」
「あらぁ、何に忙しいのかしら?レポートもろくに提出しないような人の何が忙しいのか、是非じっくり聞きたいものだわぁ」
玲羅の奴が話しに入って来た。本当に邪魔な奴。
「とにかく、環境問題についてのレポート、完璧に仕上げないさいよ! これは姉としての命令よ!」
「そんな……」
「美零、こんな女の命令なんて聞く必要はないわよ、どうせ自分で見え切って先生に完璧なレポートを提出しますとか言ったに決まってるわ。自業自得よ」
「そ、そうだよね。ごめんねお姉ちゃん、私、お姉ちゃんのレポートは今後も書かないよ」
「なんですって! この役立たずが!」
そう言った瞬間、美零が胸を抑えて息苦しそうにし始めた。
「美零! 大丈夫か? ゆっくり呼吸をしろ」
「ちょっと! 美零に向かってなんてことをいうのよ!」
「そうだぞ、役立たずはお前の方だろう?」
なによ、今まで黙ってた玲羅の彼氏まで話に交じってきて、本当に何なのよ。
結局その日は美零の体調が悪いってことで話が続けられなくて、レポートの話は出来なくなってしまった。
その後も、美零はどこに居てもあたしの顔を見ると眩暈を起こしたり、過呼吸を起こすようになって、話が全く進まないまま、レポート提出の期限が来てしまった。
「天野井、今日がレポートの提出期限だが、レポートは出来ているのかな?」
「それは……出来てません。もうちょっと待ってくれませんか?」
「それは、妹さんに押し付けるまで待ってほしいという事かな?」
「なっ」
「噂になっているんだよ。もちろん我々教師陣の耳にも入って来ている。妹さんの体調不良の原因も君だそうじゃないか」
なによ、まるであたしが悪いみたいじゃないの!
「君みたいな生徒はこの学校にはふさわしいとは思えないな。もっと君に相応し学校があるんじゃないのかい? 留年する前に転校するという手もあるから、考えたほうが良いんじゃないかな」
「そんな! あたしはこの学校が気に入ってるんですよ!」
せっかく入学したのに転校とか冗談じゃないわ!
「しかし、このまま君を置いておいてもこの学校の利益になるとは思えないんだよ。むしろ、優秀な妹さんの害になっているようでは、こちらとしても手を打たせてもらわなければいけないね」
「なんですかそれ! 意味が分からない! このあたしをどっか別の学校に押し付けようとか考えてるってことですか!?」
「夏休みが終わるまでに考えておくことだね」
冗談じゃないわ! このあたしが転校? ありえないわよ! 転校するんなら美零の方でしょう!?
******************************
夏休みが終わって、秋休みに入る前に、お姉ちゃんは学校から姿を消した。
なんでも先生方で推薦状をかいて転校させられたらしい。
カウンセリングの先生からも転校するように言われたのも利いたのかもね。それにしても、お姉ちゃんのいない学校はこうも空気が清々しいものなのね。
「美零」
「あら玲羅、どうしたの?」
「貴女のお姉ちゃん、転校先でも早速問題を起こしてるみたいよ?」
「え、情報早くない?」
「偶然SNSの知り合いの学校に転校したのよ。とんでもない転校生が来たって話てて、写真まで送って来たんだけど、色男に秋波を送ってる写真でさぁ。懲りないわよねえ」
「流石はお姉ちゃん。カウンセリングの意味が全くないね。おじいちゃん達に無駄なお金をいつまでも使わせるのもなんだし、もうやめるように言おうかな」
「それがいいんじゃない?」
あーあ、お姉ちゃんは結局このまま変わらないで生きていくんだろうな。
お父さんとお母さんが保釈金を払って出て来ても、かわらないだろうし、払わなくても一年ぐらいで戻ってくるとはいえ、元の職場に戻れるとは思えないんだよね。
なんと言っても私への児童虐待で逮捕されたって知ってるわけだし。
まあ、私はお爺ちゃんたちに親権が移ったからほとんど関係ない話しなんだけどね。
まあ、頑張って生きればいいんじゃないの?三人とも(笑)
まるで何か企んでいるみたいで不気味なのよね。
まあ、頭の悪いお姉ちゃんの考えることなんてたかが知れてるけどね。
どうせ私に復讐したいとか、久艶を手に入れたいとかそういうものでしょう。
それにしても、カウンセリングはちゃんと受けてるみたいなのに、一向に良くならないのはどうしてなんだろう?
優秀な先生を付けてるはずなんだけどなあ。
あれか、三つ子の魂百までってやつかなぁ?まあ、お姉ちゃんが今更真人間になったら、今までの事を後悔してうつ病になっちゃうかもしれないよね。
それはそれでうっとおしいよなぁ。
「美零さん、貴女からもお姉さんに言ってくれない?せめてレポートの期限は守るようにって」
「ご迷惑をかけてすみません。でも私が言ってもきかないと思います」
「それはわかってるけど、駄目もとで言ってみてくれない?」
お姉ちゃんのクラス委員長が私にそう訴えてくるけど、私が何を言ってもお姉ちゃんにはなにも響かないだろうなあ。
なんと言っても、いまだに自分が世界の中心みたいな思考をしてるみたいだし。
「私が何かを言うよりも、カウンセリングの先生に頼んだほうがいいのかもしれませんよ?」
「それはもうやってるのよ。でも効果がないの。有名な教授がせっかくカウンセリングをしてくれてるっていうのに、ここまで効果がないなんて、貴女のお姉さん本当に頭がどうかしてるとしか思えないわ」
「私もそう思います」
お姉ちゃんの頭の中を覗けたら煩悩でいっぱいなんだろうなあ。
除夜の鐘をいくら叩いてもきっと効果はなさそう。
「美零」
「あら、久艶どうかしたの?」
「かくまってくれ」
「またお姉ちゃんに絡まれたの?玲羅に守ってはもらえなかったの?」
「玲羅は今は秋津と校内デート中だ」
「あら、そうなの」
それなら仕方ないかな。二人の仲をお姉ちゃんのせいで邪魔するわけにはいかないもんね。
それに私も久艶と校内デートするのもいいなぁ。
「ねえ久艶、私達も校内デートしない?」
「いいぞ」
「やった。じゃあ、久遠寺さん、私たちはこれで失礼します」
「はあ、ベストカップルさん達の邪魔をするわけにはいかないわね。じゃあまたね、美零さん」
そうして私達は、中庭に向かって行った。
******************************
俺が抱える患者の中で、天野井美嘉は特に厄介な患者だ。
何を言っても通じないとはあの事だろう。自分をヒロインだと勘違いしているようで、体ももう丈夫になっているというのに、いまだに病弱な気でいる。
両親の逮捕の件も不当だと毎回俺に訴えてくる。俺に言われても何も出来ないと言っているのに毎回だ。
いい加減疲れてくるという物だ。
彼女の祖父は俺の恩人であるからこそ受けている依頼なのだが、いい加減嫌気がさしてくる。
学校内でも嫌味を言ってくる人間が多いと言ってくるが、仕方のない事だろう。
事情を聴くと、妹の彼氏に手を出そうとしていたわけなのだから。いや、今現在もちょっかいをかけているようだ。
妹の美零さんもいい迷惑だろう。何度かあったことがあるが、聡明そうな良い子だった。そんな彼女に迷惑をかけるとか、姉として失格だろう。
まあ、元々失格のようなものだし、俺のカウンセリングでどこまで正気に戻せるかといったところだな。
「先生聞いてますぅ?」
「ああ、聞いていますよ。相変わらず、委員長さんが美嘉さんに文句を言ってくるんだそうですね」
「そうなんですよ。全く困ったものですよね。出来てないものを提出しろとか無茶なことを言ってくるんですよ。無理やり書かせて再提出になるこっちの身にもなってほしいものですよね。美零はお爺ちゃんの家に行っちゃって手伝わせることが出来ないし、先生も私がどれほどつらい目に遭ってるかわかってくれますよね」
「まず、レポートの件だが、期限は通常守るものだと前にも言っていると思うよ。美嘉さんのクラスの委員長からもレポートに関してはちゃんと出してもらう様にとお願いされているんだよ。話しに聞くと、レポートは一か月前に告知が出ているんだろう? その間に自分で何とかしようとは思わないのかな?」
「やろうとは思ってますけどぉ、やる気が起きないんですよね。だって、私がしなくても今までだったら美零がしてくれてたんですもの。離れてるからって、美零があたしのレポートを書かなくていいっていう理由にはならないと思うんですよね。そう思いませんか?」
「美嘉さん、何事も人任せにするのは良くありませんよ。家の中でも家事全般は全て家政婦に任せているというではありませんか。少しずつでもいいから、出来る範囲から自分でやってみてはかな?」
「先生、なにをいってるんですか? あたしがそんなことをしたら家政婦の仕事を取っちゃうことになるじゃないですか。そんなの可哀そうでしょう? あたしは家政婦の事を考えて家事全般を任せてるんですよ」
「でもせめて自分の部屋の掃除ぐらいは……」
「あたし、自分の部屋に見られて困るようなものなんて置いてないですから、家政婦が入っても困らないんですよね」
「……話を変えましょう」
「いいですけど、どうしてですか?」
「美嘉さんの進級についても、美嘉さんの担任から相談を受けています。このままでは進級は難しいとのことですよ」
「はあ!? なにそれ、意味わかんない」
この娘、本当に何もわかっていないな。他行に転校するだけの知能が残っているかも不明だ。
俺の他にもセカンドオピニオンを付けたほうが良いだろうな。むしろ俺のために付けてくれといった感じだ。
カウンセリングを受けている間のこの娘の目はぶれることが無い。つまり間違ったことをしているという自覚など全くないのだ。
俺もいい加減疲れてしまう。厄介な患者はいくらでも見てきたが、ここまで酷い患者は初めてだ。
******************************
今日、担任からこのままでは進級が危ういって言われたわ。冗談じゃない、私が何をしたっていうのよ。カウンセリングの先生にも言われたたし、でも私は何も悪いことはしてないわ。
確かに、レポートは良く再提出を喰らってるけど、結局はちゃんと提出してやってるじゃないの。それなのに進級でないとか意味が分からないわ。
「先生、このあたしがどうして進級できないんですか?」
「普段の素行の悪さを見てと、成績を見ての判断だよ。わからないのかい?」
「わかりません。なんでこのあたしが?あたしはこの学校に推薦入学で入ったんですよ? そのあたしを進級させないなんて、あたしの出身中学の顔に泥を塗るようなものですよ? いいんですか?」
「そんなものは関係ないよ。君の出身校の推薦状は確かに立派なものだったし、君の入学時のレポートも素晴らしいものだったし、面接も高評価だった。だが、蓋を開けてみればこんな結果になってしまって、こちらとしても非常に残念に思っているよ」
何よこの担任、使えないわね! あたしの出身校は名門私立校なのよ! そこの出身者であるあたしが留年なんてありえないわ。
そうだわ!
「先生、あたしに挽回のチャンスをください。完璧なレポートを書いて見せます。テーマは環境問題に関してです」
美零に書かせればいいわよね。
「ふむ。君がそこまで言うんなら、一か月後までに提出したまえ」
「わかりました。必ず提出しますので期待してくださいね」
そう言ってあたしは職員室から出る。早速美零を探さなくっちゃね。クラスにいるかしら? このあたしに無駄足を踏ませるような真似はさせないで欲しいものよね。
美零のクラスに行くと、美零は図書室にいると言われた。なによ、無駄足を踏ませるなんて美零のくせに。
仕方がないから図書室まで行って美零がどこにいるか聞くと、談話室の一室にいると言われて、扉が閉まってる部屋を一部屋ずつ見ていく。
なんで最初の部屋にいないのよ。次の部屋にもその次の部屋にも居なかったわ。このあたしに恥をかかせるなんていい度胸よね。
数部屋目でやっと美零がいる部屋に辿り着いた。そこには久艶君と玲羅と玲羅の彼氏とか言う男子生徒がいた。
「ちょっと美零!」
「な、なに? お姉ちゃん」
「話があるのよ」
「話? どういう話なのかな?」
「一か月後までに環境問題について、完璧なレポートを仕上げなさい。そうしないとこのあたしが留年することになるのよ。そんな恥をかかせないで頂戴よね」
「レポート? それはお姉ちゃんが自分で書かないと意味がないんじゃないのかな?」
「あたしにそんな余裕があると思ってるの? あたしは忙しいのよ。あんたがやりなさいよ」
「あらぁ、何に忙しいのかしら?レポートもろくに提出しないような人の何が忙しいのか、是非じっくり聞きたいものだわぁ」
玲羅の奴が話しに入って来た。本当に邪魔な奴。
「とにかく、環境問題についてのレポート、完璧に仕上げないさいよ! これは姉としての命令よ!」
「そんな……」
「美零、こんな女の命令なんて聞く必要はないわよ、どうせ自分で見え切って先生に完璧なレポートを提出しますとか言ったに決まってるわ。自業自得よ」
「そ、そうだよね。ごめんねお姉ちゃん、私、お姉ちゃんのレポートは今後も書かないよ」
「なんですって! この役立たずが!」
そう言った瞬間、美零が胸を抑えて息苦しそうにし始めた。
「美零! 大丈夫か? ゆっくり呼吸をしろ」
「ちょっと! 美零に向かってなんてことをいうのよ!」
「そうだぞ、役立たずはお前の方だろう?」
なによ、今まで黙ってた玲羅の彼氏まで話に交じってきて、本当に何なのよ。
結局その日は美零の体調が悪いってことで話が続けられなくて、レポートの話は出来なくなってしまった。
その後も、美零はどこに居てもあたしの顔を見ると眩暈を起こしたり、過呼吸を起こすようになって、話が全く進まないまま、レポート提出の期限が来てしまった。
「天野井、今日がレポートの提出期限だが、レポートは出来ているのかな?」
「それは……出来てません。もうちょっと待ってくれませんか?」
「それは、妹さんに押し付けるまで待ってほしいという事かな?」
「なっ」
「噂になっているんだよ。もちろん我々教師陣の耳にも入って来ている。妹さんの体調不良の原因も君だそうじゃないか」
なによ、まるであたしが悪いみたいじゃないの!
「君みたいな生徒はこの学校にはふさわしいとは思えないな。もっと君に相応し学校があるんじゃないのかい? 留年する前に転校するという手もあるから、考えたほうが良いんじゃないかな」
「そんな! あたしはこの学校が気に入ってるんですよ!」
せっかく入学したのに転校とか冗談じゃないわ!
「しかし、このまま君を置いておいてもこの学校の利益になるとは思えないんだよ。むしろ、優秀な妹さんの害になっているようでは、こちらとしても手を打たせてもらわなければいけないね」
「なんですかそれ! 意味が分からない! このあたしをどっか別の学校に押し付けようとか考えてるってことですか!?」
「夏休みが終わるまでに考えておくことだね」
冗談じゃないわ! このあたしが転校? ありえないわよ! 転校するんなら美零の方でしょう!?
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夏休みが終わって、秋休みに入る前に、お姉ちゃんは学校から姿を消した。
なんでも先生方で推薦状をかいて転校させられたらしい。
カウンセリングの先生からも転校するように言われたのも利いたのかもね。それにしても、お姉ちゃんのいない学校はこうも空気が清々しいものなのね。
「美零」
「あら玲羅、どうしたの?」
「貴女のお姉ちゃん、転校先でも早速問題を起こしてるみたいよ?」
「え、情報早くない?」
「偶然SNSの知り合いの学校に転校したのよ。とんでもない転校生が来たって話てて、写真まで送って来たんだけど、色男に秋波を送ってる写真でさぁ。懲りないわよねえ」
「流石はお姉ちゃん。カウンセリングの意味が全くないね。おじいちゃん達に無駄なお金をいつまでも使わせるのもなんだし、もうやめるように言おうかな」
「それがいいんじゃない?」
あーあ、お姉ちゃんは結局このまま変わらないで生きていくんだろうな。
お父さんとお母さんが保釈金を払って出て来ても、かわらないだろうし、払わなくても一年ぐらいで戻ってくるとはいえ、元の職場に戻れるとは思えないんだよね。
なんと言っても私への児童虐待で逮捕されたって知ってるわけだし。
まあ、私はお爺ちゃんたちに親権が移ったからほとんど関係ない話しなんだけどね。
まあ、頑張って生きればいいんじゃないの?三人とも(笑)
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楽しい作品を有難うございました( ^ω^ )
お読みいただきありがとうございました(*´▽`*)
うわー( ̄▽ ̄;)
どこまでもサイコパスなグズ姉。
カウンセラーの代金はバカ親の資産から出しましょう!
お祖父さんが出す必要はありません‼️
次はぜひバカ親sideをお願いします(。-人-。)
親サイドですかぁ
胸糞悪い話しにしかならなさそうですねえw
家政婦は、馬鹿両親が馬鹿姉に掛かりっ切りで妹の世話が出来ないから雇ったんじゃないの?馬鹿姉が寮に入っていた時、自分達だけなら家政婦いらないんじゃないの?それとも、自分達は、裕福なんだってアピールなのかな?
家政婦も妹の世話よりも姉の世話をするようになっていたので雇い続けていたんじゃないかと思います。
寮に入ってからは自分たちの世話をさせてたんじゃないでしょうかw