9 / 308
1ー8
しおりを挟む
シスターとライには、またアリアに会いに来ること約束して私達は教会を出た。
別れ際、ルード様にはデルと呼ぶようお願いされた。家名で呼ばれるのは苦手らしい。チラッと見えたウィルの笑顔がちょっと怖かった理由が分からない。
「またねリル。学院に行く日は、あとで手紙で知らせるから。」
「うん待ってるね。またねウィル。」
私たちは笑顔で別れた。次に会える日が楽しみだ。
自分の部屋に着いて一息つく。今日は本当に色々な事があった。
ラナとネルには今日のお礼を伝え、お父様の今後の予定を確認して来てもらう。
ラナが入れてくれたお茶を飲んでいるとルーデルが部屋に入ってきた。どうやらお父様が呼んでいるらしい。
「お父様、失礼いたします。」
執務室に入ると、お父様は秘書達に囲まれながら忙しそうに仕事をしていた。
「リル。そこに座ってちょっと待ってて。」
執務机の前のソファに座ると、お父様の従者がすぐお菓子とお茶を出してくれた。
「リル、今日は色々あったみたいだね。リングドン家の三男に会ったんだって?」
お父様は書類を置くと私の向かいのソファに座った。お父様に情報が伝わるのが早い。
「はい。そのことでお父様に報告したいことがあります。」
私は孤児の兄妹に会ったこと、リングドン子爵家のウィルフレイ様にご助力いただいたこと、医療魔法の解析魔法を成功させたこと、薬師の2人のことを順番にお父様に説明した。
「うーん。」
お父様はいつになく難しい顔をしていた。
「リルはどうしたい?」
「私は誰にでも使えるように医療魔法の魔道具化を進めていきたいです。でも私には医学の知識はありません。ですから身近に意見を求められる相手がいてくれると助かります。」
「セルゲイ・ルードの息子か。」
「ルード騎士爵様は、魔法騎士なんですよね?有名な方なんですか?」
「そうだね。爵位こそ低位の騎士爵ではあるけれど、国王陛下にも認められた優秀な魔法騎士なんだ。この件はちょっとお父様に任せてもらおうかな。リングドン家にも話を通さなきゃならないし。心配はしなくて大丈夫だよ。」
流石は頼りになるお父様です。
「問題はリングドン家の息子か。」
ん?
「医療魔法の方は今までの方法で進めていこうか。魔道具化はレイズと話し合っておくから、後で解析魔法を見せてあげて。」
レイズは、お父様が手がける魔道具部門の責任者で、変わり者の天才。他国の魔道具商会に捨てられたところを拾ってきたらしい。
レイズの所にはリヴァン先生にも一緒に行ってもらおう。レイズは興奮し出すと私では対処できない。
「ではお父様、医療魔法の件はリヴァン先生と報告書を纏めておきますね。少しお時間ください。それと近日中に学院に行こうと思います。」
「分かった。学院に行く日がはっきり決まったら教えて。」
「わかりました。」
私は静かにドアを閉めて、執務室を後にした。
疲れた。今日は本当に長い一日だった。手紙は明日にして早く休もうと、私はふらふらしながらベッドへ向かった。
別れ際、ルード様にはデルと呼ぶようお願いされた。家名で呼ばれるのは苦手らしい。チラッと見えたウィルの笑顔がちょっと怖かった理由が分からない。
「またねリル。学院に行く日は、あとで手紙で知らせるから。」
「うん待ってるね。またねウィル。」
私たちは笑顔で別れた。次に会える日が楽しみだ。
自分の部屋に着いて一息つく。今日は本当に色々な事があった。
ラナとネルには今日のお礼を伝え、お父様の今後の予定を確認して来てもらう。
ラナが入れてくれたお茶を飲んでいるとルーデルが部屋に入ってきた。どうやらお父様が呼んでいるらしい。
「お父様、失礼いたします。」
執務室に入ると、お父様は秘書達に囲まれながら忙しそうに仕事をしていた。
「リル。そこに座ってちょっと待ってて。」
執務机の前のソファに座ると、お父様の従者がすぐお菓子とお茶を出してくれた。
「リル、今日は色々あったみたいだね。リングドン家の三男に会ったんだって?」
お父様は書類を置くと私の向かいのソファに座った。お父様に情報が伝わるのが早い。
「はい。そのことでお父様に報告したいことがあります。」
私は孤児の兄妹に会ったこと、リングドン子爵家のウィルフレイ様にご助力いただいたこと、医療魔法の解析魔法を成功させたこと、薬師の2人のことを順番にお父様に説明した。
「うーん。」
お父様はいつになく難しい顔をしていた。
「リルはどうしたい?」
「私は誰にでも使えるように医療魔法の魔道具化を進めていきたいです。でも私には医学の知識はありません。ですから身近に意見を求められる相手がいてくれると助かります。」
「セルゲイ・ルードの息子か。」
「ルード騎士爵様は、魔法騎士なんですよね?有名な方なんですか?」
「そうだね。爵位こそ低位の騎士爵ではあるけれど、国王陛下にも認められた優秀な魔法騎士なんだ。この件はちょっとお父様に任せてもらおうかな。リングドン家にも話を通さなきゃならないし。心配はしなくて大丈夫だよ。」
流石は頼りになるお父様です。
「問題はリングドン家の息子か。」
ん?
「医療魔法の方は今までの方法で進めていこうか。魔道具化はレイズと話し合っておくから、後で解析魔法を見せてあげて。」
レイズは、お父様が手がける魔道具部門の責任者で、変わり者の天才。他国の魔道具商会に捨てられたところを拾ってきたらしい。
レイズの所にはリヴァン先生にも一緒に行ってもらおう。レイズは興奮し出すと私では対処できない。
「ではお父様、医療魔法の件はリヴァン先生と報告書を纏めておきますね。少しお時間ください。それと近日中に学院に行こうと思います。」
「分かった。学院に行く日がはっきり決まったら教えて。」
「わかりました。」
私は静かにドアを閉めて、執務室を後にした。
疲れた。今日は本当に長い一日だった。手紙は明日にして早く休もうと、私はふらふらしながらベッドへ向かった。
36
あなたにおすすめの小説
【完結】領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【完結】きみの騎士
* ゆるゆ
恋愛
村で出逢った貴族の男の子ルフィスを守るために男装して騎士になった平民の女の子が、おひめさまにきゃあきゃあ言われたり、男装がばれて王太子に抱きしめられたり、当て馬で舞踏会に出たりしながら、ずっとすきだったルフィスとしあわせになるお話です。
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
王女と男爵令嬢
青の雀
恋愛
赤ん坊の時に、取り違いにあってしまった王女アクエリアスは、5歳の時に乙女ゲームのt悪役令嬢に転生してきたことを知り、「人生詰んだ」とガッカリしていた。
前世は、アラサーのキャリアウーマンとして活躍していた村崎紫子
もう一人の王女に婚約者も、王女としての地位もすべて奪われ、断罪され父の手により処刑される運命をなんとしても変えたい。
奮闘していくうちに、乙女ゲームの原作とまったく違う展開になっていく。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
幼い頃から天の声が聞こえるシラク公爵の娘であるミレーヌ。
この天の声にはいろいろと助けられていた。父親の命を救ってくれたのもこの天の声。
そして、進学に向けて騎士科か魔導科を選択しなければならなくなったとき、助言をしてくれたのも天の声。
ミレーヌはこの天の声に従い、騎士科を選ぶことにした。
なぜなら、魔導科を選ぶと、皇子の婚約者という立派な役割がもれなくついてきてしまうからだ。
※完結しました。新年早々、クスっとしていただけたら幸いです。軽くお読みください。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
戦姫のトロイメライ~断罪される未来が視えたので先に死んだことにしました
志熊みゅう
恋愛
十三歳の誕生日、侯爵令嬢エディット・ユングリングは、自分が死ぬ瞬間を"夢"に視た。
卒業舞踏会で、婚約者であるフィーラ帝国・第一皇子マティアス殿下から、身に覚えのない罪で断罪され、捕らえられる。傍らでは見知らぬピンクブロンドの令嬢が不敵に微笑む。貴族牢のある北の古城に連行される途中、馬車ごと“死の谷”へと落ちていった――そんな妙に生々しい夢。
マティアス殿下は聡明で優しく、エディットを大切にしているように見えた。だから誰もその"夢"のことを気に留めなかった。しかし、兄の怪我、愛猫の死、そして大干ばつ――エディットの"夢"は次々と現実になっていく。ある日、エディットは気づく。この"夢"が、母の祖国・トヴォー王国の建国の軍師と同じ異能――"未来視"であることに。
その頃、一年早く貴族学院に入学したマティアス殿下は、皇宮から解放され、つかの間の自由を知った。そして、子爵令嬢ライラに懸想するようになる。彼女は、"夢"の中で冷酷に微笑むあの令嬢に瓜二つ。エディットは自分が視た"夢"が少しずつ現実になっていくことに恐怖した。そんな時に視た、黒髪の令息が「愛しているよ」と優しくはにかむ、もう一つの『未来』。エディットは決心する。
――断罪される未来を変えたい。もう一つの未来を自分で選び取る。
彼女は断罪される前に、家族と共に自らの死を偽装し、トヴォー王国へと身を隠す。選び取った未来の先で、エディットは『戦姫』として新たな運命の渦に飲まれていく――。
断罪の未来を捨て、愛する者のために戦う令嬢の恋愛ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる