休憩室の端っこ

seitennosei

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お互いの鼓動まで聞こえてきそうなくらいに静かな部屋。
海くんは無言でフィルムを剥ぎ、箱から連なっているゴムを取り出すすと、ビリッと一つ外した。
そして切れ目から破ろうとして「あっ」と何かに気付く。
その場ですくっと立ち上がると、手を伸ばし電気の紐を2回引っ張り、照明を豆球のみの状態にした。
気を取り直したように、薄暗くなった中でゴソゴソと身支度を始める。
散々あの明かりの下で人の痴態を見ておきながら、自分は薄暗くするんかい!と思いつつも、実際に明るいところでアレを出されたら恥ずかしくて反応に困るのも事実…。
雑に布団を敷き、支度に手間取る海くんの背中を見る。
ムードの欠片も無い。
それでも、これからこの人と繋がるんだと思うと、急に胸がいっぱいになって涙が出そうになる。
既成事実とか、身体でどうにかするとかに気を取られていたが、純粋に海くんと触れ合えることが幸せだ。
乱雑に敷かれた布団をぼんやり見ていると声をかけられる。
「一花さん。」
いつの間にか全裸になった海くんが薄明かりの下正座してこちらを見ている。
その周りには、先程放ったメガネや、脱ぎ散らした服、ゴミ箱に上手く入らなかったゴムの袋が散乱していた。
人が感慨にふけっている間に、一人でやる気満々すぎるだろう。
腹を括れば意外と大胆になる一面と、相変わらず真面目で、スタンバイが正座だなんて部分が同居していて、そのギャップがまた愛おしい。
顔を綻ばせながら海くんを見ていると、段々とこの暗がりにも目が慣れてきて見えてしまった。
正座している海くんの下腹部から意外と立派なものが生えている。
そして今まで既成事実を作ることに気をとられてすっかり忘れていたが、私、男の人と身体を重ねるの3年振りなんだった。
気持ち的にではなく、物理的に入るのだろうか、アレ。
急に怖気付いて後ずさりする私に何かを察したのか、海くんはスっと距離を詰めて来た。
「一花さん?」
肩と腰を捕まれ、ゆっくりと布団に押し倒される。
「やっぱり止めるとかなしだから。」
「海くん、あの、ちょっとまって。」
グッと胸を押して時間を稼ぐが、優しく手首を捕まれ容易く剥がされる。
「裸眼だし、暗いし、どうせ見えないから。」
海くんは有無を言わさず私のTシャツを脱がせた。
咄嗟に両手で胸を隠すが、再度優しく剥がされる。
「海くん。あのね、いいんだけど、ちょっと、ちょっとまって。」
身を捩って抜け出そうと試みるも、両手は布団に押し付けられていて逃げられない。
「泣いても止めないって言ったよ。」
今までに見たこともない程無邪気に笑っている。
だけどその可愛い笑顔の下で、雄々しく立ち上がるモノを私の短パンの裾から侵入させ、下着越しに擦り付けてくる。
少しでも隙を見せたら押し入って来そうな強さで擦り付けられ、ショーツの染みがじわっと広がった。
自制しないと私の腰も動いてしまいそうになる。
「どうせ上手くできないし、好きにさせてもらうから。」
そう宣言して海くんが胸の突起を唇で優しく挟んだ。
「はっ…あっ。」
下半身に気を取られている間に、別の場所に快感を与えられ声が抑えられない。
そのままチュッと吸われ、唇に挟まれ逃げ場がない突起を舌で転がされる。
「や、あ、あぁっ。」
刺激に合わせて洩れる声が止まらない。
「…ああっ。」
突然甘く噛まれ仰け反って反応してしまう。
あんなの入るのかと不安になっている気持ちとは裏腹に、身体が海くんを求めて止まない。
「一花さん、腰動いてるけど…。ここももう触っていい?」
余りの恥ずかしさに返事も出来ない。
両手で顔を隠しながら、コクコクと頷きなんとか肯定の意志を見せる。
海くんは私の脚を持ち上げて短パンとショーツをゆっくりと纏めて脱がしていく。
自分の服はあれだけ適当に脱ぎ捨てていたのに、私の身体を丁寧に扱う姿にゾワゾワと幸福感が襲う。
無意識に腰を浮かせて脱がせ易くしている自分に気付き、また羞恥する。
じっくり時間をかけて私の脚からショーツを完全に抜いた後、ふくらはぎの辺りに頬を寄せ海くんが呟く。
「いつも綺麗な脚だって思ってた。」
「へ?」
思いもしない言葉に色気のない声が出る。
「ははっ…。キモイな…、俺。」
自傷気味に笑い、一糸まとわぬ私を上から眺める。
「脚、開いて。」
優しい口調でお願いしてくるが、こちらが動く前に既に膝に置いた手で割開いている。
私は抵抗せず開き、その間に海くんを招き入れる。
「触るよ。」
腿の辺りから中心に向かって手が滑ってくる。
慣れない手つきでゆっくり進む手に焦らされ、腰がワナワナと持ち上がる。
「はっ…。」
クチッと水音をたて、やっと指がソコに触れる。
長いこと疼きに耐えていたそこは、トロトロにとろけ切っている。
海くんはヌチヌチと室内に水音を響かせながら感触を確かめる。
「わ…こんなに、濡れるもんなんだ…。」
戸惑いながら指を1本差し入れ、ゆっくり動かしてくる。
「あっ…、わかんない…。っぅ…。今までこんなに…濡れたことない…。」
言い終わる前にどんどん声が小さくなっていく。
恥ずかしさで死ねる。
もう好きだって、貴方は特別だって言っているようなものだ。
「なんだよ、それ。」
埋まっていた指が引き抜かれる。
「あー、ごめん。もう無理だ。」
海くんは乱暴に言い放つと、私の入口に自身の固くなっているモノを当てがった。
「一花さんが煽ったんだからね?」
私の顔を見据えグッと腰を進め、一気に奥まで侵入する。
「海くん、ちょっとま、やあっ…っはぁ。」
久しぶりだからゆっくりお願いしようとしていたのに、強引に最奥までこじ開けられる。
行き場のない手を海くんの背中に回す。
「はっ…。何だこれ…。やばい…。」
海くんははじめての感覚に戸惑い、動けないでいるようだった。
身体を倒し、私を抱きしめながらお互いが落ち着くのを待っている。
当初の不安は他所に、私の身体は海くんを簡単に受け入れた。
自分でも身体が悦んでいるのがわかる。
まだ律動してもいないのに海くんのモノを絞るように収縮する。
「あー、もうわけわかんない。ごめん。」
私の耳元で低く囁くと腰が動き出した。
抱きしめた体制のまま、はじめての律動はたどたどしく、スムーズにはいかない。
それでも奥の辺りをグリグリと長く刺激してくるので、頭がおかしくなりそうに気持ちが良い。
「や、かいくん…、はぁ あ、奥ばっか駄目ぇ…。」
背中にしがみつき懇願する。
「ねえ、ホントに…。奥…、もう駄目だからぁ…、あぁ。」
最初に言った通り、どんなに泣いても喚いても止まってくれない。
「ごめん…。一花さんが駄目って言うところ、訳わかんないくらい気持ちいい…。」
吐息混じりに海くんは自分勝手なことを言う。
駄目駄目言いながら、私も無意識に腰が揺れ、積極的に奥に押し付けている。
「あ、あ…、海くん、海くん、…かいくぅん…。」
堪らなくなり何度も名前を呼ぶ。
「何で…。そんな声で…、名前…。」
海くんは腰を止めることなく、顔を歪ませる。
「俺なんて…、好きでもないくせに…。」
そして泣きそうな顔で吐き捨てる。
意味がわからない。
私はあまりのショックで愕然とするも、続けざまに襲ってくる快感に流され気の利いた言葉が出てこない。
「ふっ…、海くん…。ひっ、あぁ…、かいくん…。」
尚も彼の名を呼び続ける私に怒りをぶつけるように乱暴に動き出す。
腰を掴み、無理矢理奥に叩きつけてられ、悲鳴を上げ強い快感に成すすべがなく翻弄される。
いつ終わるのかわからない刺激に曝されて、急激に身体が強ばってつま先まで力が入りだした。
怖い。
自分で制御出来ない身体の変化に恐怖を覚える。
「かいくん、まってぇ。…なんか、おかし…。いやっ…。」
目の前が真っ白になり、背中が仰け反る。
膣がギュッときつく痙攣し、海くんのモノを締め付ける。
「はっ…、やばっ。」
そう呟き、海くんも私の中でビクビク跳ね吐精した。
ゴムに阻まれ直接飲み込むことはできないはずなのに、私の膣は暫く海くんから精を吸い出そうと収縮し続けた。
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