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 その夜は久しぶりにエイリスの寝室を訪ねた。


「何をそんなに緊張してる?」


「だって……」


 エイリスに軽く笑われてそっぽを向く。


「こっちへ来い」

 
 腕を引っ張られて、エイリスに優しくベッドに押し倒される。


「久しぶりだな。君を抱くのは」


「もう触れてはもらえないのかと思ってました」


 ティアナの言葉にエイリスは怪訝な顔をして聞いてきた。


「なぜ?」


 問われて少し恥ずかしく思いながら本音を口にする。


「その、初めてのことだったので比較はできないんですけど私の反応がおかし
かったのかとー」


「ふっ、そんなこと」


「そんなことって……。私は本当に悩んで」


 軽く笑われてティアナは頬を膨らませる。


「俺に触れて欲しかったのか?」


 どこか意地悪く言われてティアナは頬を膨らませる。


「知りません」


「悪かった、怒らないでくれ」


 ティアナの髪を優しく撫でながら言われても、いじけてしまう。


「ティアナ」


 低く色香のある低音で名前を呼ばれて、ティアナはゾクッとする。


 一度心を開いたエイリスは、遠慮なくグイグイときた。


「どうした?」


「エイリス様って意地悪だったんですね」


「ティアナはこんなに可愛かったんだな」


「っつー……」


 また揶揄われた。顔を真っ赤にするティアナに、エイリスは楽しそうに笑み
を浮かべる。


「もっとお前の色んな顔を見せてくれ」


 ティアナは言葉にならず押し黙った。


 一人だったら恥ずかしすぎて地団駄を踏んでいただろう。


 大人しくなったティアナに、エイリスは真剣な顔つきになる。


 優しくキスをされてティアナもそれに応えた。


 何度も啄ばむキスを繰り返しながら、エイリスはティアナのネグリジェのリ
ボンを外していく。


「あ、あの……」


「ん?」


「灯りを消しませんか?」


 ティアナに指摘されて今気づいたというように相槌を打つ。


「ああ。俺は構わない」


 言いながらエイリスはさらに紐を緩めて、ネグリジェがあっという間にはだけてしまった。


「つー……!」


 明るい光の中、ティアナは肌を晒す格好になった。


 じっと食い入るようにエイリスはティアナの身体を見詰めている。


「エ、エイリス様っ……!!」


 ティアナはさっと胸元を両手で隠した。


「今更恥ずかしがることはないだろう。君の身体はすでに見ている」


 しれっと言ってのけるエイリスに、ティアナは頬を朱に染める。


「あ、あの時は暗かったから」


「俺はもっとじっくり見たい」


 ティアナの両手をエイリスはあっさりと解いてしまった。


 ふくよかな乳房がエイリスの目前に晒される。


(そ、そんなに見ないで)


 食い入るように視線を注がれて、恥ずかしさの余り涙目になる。


「綺麗だ」


 感嘆のため息を吐いたエイリスは、乳首をはむと口に含んだ。


「っつー……!?」


 信じられない光景にティアナは悲鳴を上げそうになる。


「エ、エイリスさまっ……」


 恥ずかしがるティアナのことを無視して、エイリスはちゅ、ちゅ、と音を立
てながら乳首を愛撫している。


 乳輪をなぞって舌先で乳首を突かれると、ティアナは身を竦ませた。


「最初のときは初めてだったから遠慮したが、今夜はしない」


 覚悟をしておくようにーと耳元で魅惑的に囁かれて、ティアナの耳に熱が帯
びた。










 





 

 





 






 


 


 
 
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