58 / 265
6-6
しおりを挟む
伊吹からは、その後で本題に入った。俺が嫌っている外見のことだ。伊吹は俺と瓜二つぐらいに似ているのに、通りがかりに因縁をつけられることも、正門まで変な男が追いかけてくる目にも遭っていない。それの理由をストレートに聞いたのを覚えている。”そうか。気づいていないのか”と、えらく驚かれた。
(夏樹はなーー。笑うと可愛いぞ。いっぱい人が寄ってくる)
(痴漢しか寄ってこないよ……)
(今のおまえはなー。負のオーラを漂わせている。だから妙な奴が寄ってくる。……開明高校を受験しろ。問題児でも受け入れてもらえるから、お前にピッタリだ。同じような子がいるぞ?話を聞いてもらえ。当事者にしか分からないことがある。お兄ちゃんでも分からない。バカヤロウだから)
(うん!)
(いいか?俺からのアドバイスは一つ。……お前は笑顔で勝負だ!)
優等生の笑顔をしていたから、黒崎から興味を持たれたのだろか。本人は否定したようでそうでない。ここで向かい合って座っている人は、心を閉ざした男性ではない。過去に住んでいる。
「何か食べないか?外は寒いからデザートを頼もうか」
「あのさ……」
「どうした?」
「優等生のふりをしていたから、俺のことが気になったんだろ?それがなかったら、病室では ”お大事に。ご迷惑をおかけしました” って言って帰っていたかも?」
「そうかもしれない。俺も同じだぞ。黒崎家に留まっていれば出会っていない。だが、同じようにデートに誘っていたとは思う。子供に還ってもいいぞ。ただし 、”20歳の夏樹”が子供に還るんだぞ?大泣きしろ。それこそ慣れている。ノウハウが確立されている」
「なんだよ……。ガラにもなく笑わすなよ……」
これは18歳当時の俺の言い方だ。久しぶりに出た。黒崎も同じ事を思ったようで、吹き出して笑った。
「今でも変わっていない。ステージの後、わあわあ泣いていただろうが」
「うん……っ」
「悠人君のことは心配ない。裕理の親父さんの早瀬孝則さんが既に動いた。悠人君の親父さんも守っている。黒崎製菓グループを使おうとしただろう?」
「うん。姑息な手段を使おうとしていたよ……」
「必要になれば俺が動かす。これでも姑息なことをやって来た。その発想が出来るようになった分、成長した証だ。今までのお前は正論でやって来た。ズルいこともやれ。……今回の記事を止めたところで、困る奴はいない。ゴシップだ。ネタはどこでもある」
返事は出来なかった。悠人は今頃どうしているだろう?なんて自分は力が足りないのか。胸の奥から込み上げてくるものを、言葉にして吐き出している間、黒崎が寄り添ってくれていた。
(夏樹はなーー。笑うと可愛いぞ。いっぱい人が寄ってくる)
(痴漢しか寄ってこないよ……)
(今のおまえはなー。負のオーラを漂わせている。だから妙な奴が寄ってくる。……開明高校を受験しろ。問題児でも受け入れてもらえるから、お前にピッタリだ。同じような子がいるぞ?話を聞いてもらえ。当事者にしか分からないことがある。お兄ちゃんでも分からない。バカヤロウだから)
(うん!)
(いいか?俺からのアドバイスは一つ。……お前は笑顔で勝負だ!)
優等生の笑顔をしていたから、黒崎から興味を持たれたのだろか。本人は否定したようでそうでない。ここで向かい合って座っている人は、心を閉ざした男性ではない。過去に住んでいる。
「何か食べないか?外は寒いからデザートを頼もうか」
「あのさ……」
「どうした?」
「優等生のふりをしていたから、俺のことが気になったんだろ?それがなかったら、病室では ”お大事に。ご迷惑をおかけしました” って言って帰っていたかも?」
「そうかもしれない。俺も同じだぞ。黒崎家に留まっていれば出会っていない。だが、同じようにデートに誘っていたとは思う。子供に還ってもいいぞ。ただし 、”20歳の夏樹”が子供に還るんだぞ?大泣きしろ。それこそ慣れている。ノウハウが確立されている」
「なんだよ……。ガラにもなく笑わすなよ……」
これは18歳当時の俺の言い方だ。久しぶりに出た。黒崎も同じ事を思ったようで、吹き出して笑った。
「今でも変わっていない。ステージの後、わあわあ泣いていただろうが」
「うん……っ」
「悠人君のことは心配ない。裕理の親父さんの早瀬孝則さんが既に動いた。悠人君の親父さんも守っている。黒崎製菓グループを使おうとしただろう?」
「うん。姑息な手段を使おうとしていたよ……」
「必要になれば俺が動かす。これでも姑息なことをやって来た。その発想が出来るようになった分、成長した証だ。今までのお前は正論でやって来た。ズルいこともやれ。……今回の記事を止めたところで、困る奴はいない。ゴシップだ。ネタはどこでもある」
返事は出来なかった。悠人は今頃どうしているだろう?なんて自分は力が足りないのか。胸の奥から込み上げてくるものを、言葉にして吐き出している間、黒崎が寄り添ってくれていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
竜人息子の溺愛!
神谷レイン
BL
コールソン書店の店主レイ(三十七歳)は、十八歳になったばかりの育て子である超美形の竜人騎士であるルークに結婚を迫られていた。
勿論レイは必死に断るがルークは全然諦めてくれず……。
だが、そんな中で竜国から使者がやってくる。
そしてルークはある事実を知らされ、レイはそれに巻き込まれてしまうのだが……。
超美形竜人息子×自称おじさん
不夜島の少年~兵士と高級男娼の七日間~
四葉 翠花
BL
外界から隔離された巨大な高級娼館、不夜島。
ごく平凡な一介の兵士に与えられた褒賞はその島への通行手形だった。そこで毒花のような美しい少年と出会う。
高級男娼である少年に何故か拉致されてしまい、次第に惹かれていくが……。
※以前ムーンライトノベルズにて掲載していた作品を手直ししたものです(ムーンライトノベルズ削除済み)
■ミゼアスの過去編『きみを待つ』が別にあります(下にリンクがあります)
【完結】君の手を取り、紡ぐ言葉は
綾瀬
BL
図書委員の佐倉遥希は、クラスの人気者である葉山綾に密かに想いを寄せていた。しかし、イケメンでスポーツ万能な彼と、地味で取り柄のない自分は住む世界が違うと感じ、遠くから眺める日々を過ごしていた。
ある放課後、遥希は葉山が数学の課題に苦戦しているのを見かける。戸惑いながらも思い切って声をかけると、葉山は「気になる人にバカだと思われるのが恥ずかしい」と打ち明ける。「気になる人」その一言に胸を高鳴らせながら、二人の勉強会が始まることになった。
成績優秀な遥希と、勉強が苦手な葉山。正反対の二人だが、共に過ごす時間の中で少しずつ距離を縮めていく。
不器用な二人の淡くも甘酸っぱい恋の行方を描く、学園青春ラブストーリー。
【爽やか人気者溺愛攻め×勉強だけが取り柄の天然鈍感平凡受け】
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
デコボコな僕ら
天渡清華
BL
スター文具入社2年目の宮本樹は、小柄・顔に自信がない・交際経験なしでコンプレックスだらけ。高身長・イケメン・実家がセレブ(?)でその上優しい同期の大沼清文に内定式で一目惚れしたが、コンプレックスゆえに仲のいい同期以上になれずにいた。
そんな2人がグズグズしながらもくっつくまでのお話です。
恋人はメリーゴーランド少年だった~永遠の誓い編
夏目奈緖
BL
「恋人はメリーゴーランド少年だった」続編です。溺愛ドS社長×高校生。恋人同士になった二人の同棲物語。束縛と独占欲。。夏樹と黒崎は恋人同士。夏樹は友人からストーカー行為を受け、車へ押し込まれようとした際に怪我を負った。夏樹のことを守れずに悔やんだ黒崎は、二度と傷つけさせないと決心し、夏樹と同棲を始める。その結果、束縛と独占欲を向けるようになった。黒崎家という古い体質の家に生まれ、愛情を感じずに育った黒崎。結びつきの強い家庭環境で育った夏樹。お互いの価値観のすれ違いを経験し、お互いのトラウマを解消するストーリー。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる