青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

文字の大きさ
79 / 938

5-28

しおりを挟む
 めったに吠えないアンの声に、俺達も驚いた。結局は、みんなこの心霊スポットが怖かったということだ。ユーリーもだろう。そのことに対して、またみんなが驚いた。怖がっていなさそうなのにと。次に声を上げたのは、ノアだ。大成と寄り添うように立ち、カタカタと震えている。一体どうしたのだろう。

「ノア~、どうしたの?」
「怖いんだ!さっきから背筋が寒くてね……。ユーリー、何か感じない?」
「いや、僕は何も……。アンが怖がっているから、オバケが近くにいるのかな?おおーー、鳥肌が立っている。ほら、夏樹、触ってごらんよ。僕の右腕を……。アンが触ってくれって言っていたんじゃないのか?彼女も鳥肌が立っていたに違いない……」
「またそんなことを言って、驚かさないでよ……。どれどれ……。あ、ほんとだ!すごい鳥肌!俺にそうなっているかな?何もないよ……。オバケ探知機はどうなっているんだよ?」
「緑色だ。君が近くに来たら、この色になる。サーモグラフィーみたいだね。はははは!」
「おい……。みんな怖がっているぞ」

 ユーリーが言ったことで、黒崎が冗談をやめておけと言った。こういう場所では事故が起こるとか、誰かが亡くなっているのだろうから、静かにした方がいいということだ。それを聞いて、俺達はシュンとなった。そして、笑った。つまりは黒崎も怖いのだろうと思ってのことだ。みんなそうだろう。

 するとその時だ。お義父さんの車が走ってきて、後部座席の早瀬さんと悠人が手を振ってきた。晴海さん達の車も到着した。駐車場はまだ空いているから良かったと思った。そんなことを思っていると、ノアが真羽に話しかけた。車の窓越しだ。怖いと言っている。早く来てくれと急かしてもいる様子だった。

「分かったよ!今夜の運転手の俺が守ってやる!」
「よかった……」
「元気を出せよ~。俺の方が落ち込む番なんだぞ?ああ、言ったの?大成に。玉砕!?そうか!俺にもチャンスがあるっていうことだな~。大成!俺と付き合おうぜ!」
「大成!OKしちゃダメだよ!NO、NO、NO、NO!」
「だったら俺と付き合おうよ。ノア。もう一回、告白するけど?」
「いや、もういいよ……。君は情熱的すぎるから……」

 ノアが顔を赤くしたから、大成が笑った。やめてくれと言っている。そして、安心したような顔にもなった。友情が続いていく安堵感だろうと思って、胸が熱くなった。

 そして、車が停められるのを見て、かっこいいと思った。特に真羽だ。お義父さんの車を運転してきたという。車の免許を取って、まだ一年しか経っていないのに、スイスイと車を停めている。こういうのに憧れている俺は、車の運転ができない。免許を取りに行きたいぐらいだ。

 しかし、お義父さんも晴海さんも黒崎も反対するから、やめておいている。理由は、俺のよく転ぶからだ。一貴さんは反対ではなくて、自動車学校に行くだけならやってみてもいいのでは?と言ってくれている。しかし、免許を取った後は乗らないということを勧められている。よく転ぶからだよと、黒崎達と同じ事を言っていた。二葉も同じ意見だ。悠人も同じ意見だから、運転は諦めることにしている。彼らも俺と同じく、まだ自動車学校には行かないそうだ。

「ふたばーー、怖くなかった?ここまで来るのに……」
「怖くないよ。晴海兄さんの運転だから。お父さん……、えーーっと、おじいちゃんの運転は怖いんだ。だから、真羽君が途中で運転を代わってくれたんだって。怖かったって、そういう意味だろ?……え?オバケが出なかったかっていう意味なのか。うーーん。何か見たかもしれない。さっきから俺、鳥肌が立っているんだ!聖河さんもだってさ」
「2人までそんなことを言うのかよ?ユーリーとノアの鳥肌を触ってみてよ。俺は何もないよ。黒崎さんもだよ~」

 そう言って、アンを抱いている黒崎のニットの裾をまくり上げて、確認した。いつも通りだ。一番何か感じそうな人なのに。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

黒獅子の愛でる花

なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。 中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。 深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。 サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。 しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。 毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。  そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。 王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。 王妃は現在、病で療養中だという。 幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。 サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

守り守られ

ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師 患者 瀬咲朔 腸疾患・排泄障害・下肢不自由 看護師 ベテラン山添さん 準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん 木島 尚久 真幌の恋人同棲中

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

きっと必ず恋をする~初恋は叶わないっていうけど、この展開を誰が予想した?~

野々乃ぞみ
BL
渡辺 真詞(わたなべ まこと)は小さい頃から人ではないモノが見えた。 残念ながら話もできたし、触ることもできた。 様々なモノに話しかけられ、危ない目にもあってきた。 そんなとき、桜の下で巡(めぐる)に出会った。 厳しいけど優しい巡は特別な存在になった。 きっと初恋だったのに、ある日忽然と巡は消えた。 それから五年。 地元から離れた高校に入った十六歳の誕生日。 真詞の運命が大きく動き出す。 人とは違う力を持つ真詞が能力に翻弄されつつも、やっと再会した巡と恋をするけど別れることになる話。(前半) 別れを受け入れる暇もなくトレーニングが始まり、事件に巻き込まれて岬に好かれる話。(後半) ・前半 巡(人外)×真詞 ・後半 岬(人間)×真詞 ※ 全くの別人ではありませんが、前半と後半で攻めが変わったと感じるかもしれません。 ※ キスを二回程度しかしないです。 ※ ホラーではないつもりですが、途中に少し驚かすようなシーンがあります。ホラーのホの字もダメだという方は自己判断でお願いします。 ※ 完結しました。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

処理中です...