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その時は黒崎が俺のことを見守るように、ベッドのそばで書類を読んでいた。緊張感で寝返りを打つ度に身体のあちこちの凝りが痛くてたまらず、これがストレスということなのだと学ばされてもらった。胃だって痛かった。
CMが終わったところで、黒崎達が立ち上がった。これから買い物に行くために。アンも行く気満々だ。カチャカチャと足の爪の音を立てて、玄関に行ってしまった。これで留守をさせるわけにはいかないだろう。黒崎と俺のどちらかがアンと一緒に店の外で待っていればいい。アンが一緒に行きたがっているときは、そうしている。今日はユーリーがいると分かっているようで、いつもよりも機嫌が良いみたいだ。
普段の買い物の時はどうしているかというと、家で留守番をしてもらっている。ごめんねと言いながら。黒崎があれやこれやと買いたい物に口を出すから、一緒に行くしかない。一度車の中で待たせたことがあるのだが、かえって寂しい思いをさせたようで、家の中で待ってもらうことにしている。そこで、お義父さんがうちで預かるよと言ってくれたから、買い物の度にお願いしている。ユリウスもいるから寂しくないようだ。
そのお義父さんだが、最近になって、猫を欲しがっている。遠藤さんが子猫を保護して、飼い始めたからだ。名前はフリージアちゃんという。茶虎柄の猫で、ふんわりとした尻尾が特徴的だ。大きな目でウルウルと見つめられて、お義父さんが虜になってしまった。リクは最初、子猫におっかなびっくりだったそうだが、今は自ら遊ばせているという。リクのお腹にもたれ掛かって寝ているところも見せてもらったことがある。黒崎家の誰もが犬も猫も好きだから、誰かが飼い始めそうだと思っている。
「黒崎さーーん。ユーリーがお茶っ葉を買ってくれるってさ。お菓子もだって。お義父さんも誘おうか?」
「親父は出かけている。昨日、知り合いが事故で搬送されたそうだ。アーティスト支援団体のメンバーだ。タクシーに乗車中に、ぶつかってきた車がいたそうだ……」
「それは大変だよね……。もうすぐで帰ってくるんだね。怪我はしていないんだね。よかったねえ」
「ああ。腕を打ったぐらいで済んだと連絡があったそうだ。親父は彼の家に遊びに行っている」
「そうなんだね。もう家に帰れたなら良かったよ。お義父さんの家の茶葉も買ってもらおうよ~。そうしてくれって言っているよ。そういうわけにはいかないのかよ?いいじゃん。おごってもらおうよ~。お義父さんだって嬉しいと思うよ」
「ユーリー、いいのか?」
「もちろんだ。何かさせてくれ。一貴さんを泣かせた罰を受けたい……。絵本の読み聞かせで泣かれるとは思っていなかった……」
それは一昨日の出来事だ。最近よく眠れない一貴さんのために、ユーリーが眠れる絵本というのを持って来ていたから読み聞かせた結果、一貴さんが涙ぐんでしまった。そして、驚いたユーリーが慰めようと、別の絵本を持ってくると、今度はわあわあ泣いてしまったそうだ。
情緒不安定気味なのだという。プラセルの経営は好調だし、新規路線のブランドの評判も良くて、良い記事を書いてもらえたという。そして、“最近修輔君が僕に冷たい”と言っていたそうだ。
失恋ではないだろう。藤沢はモデルの仕事が半端なく詰まっていて、話が出来ていないと、俺に電話が入っていた。友人として、一貴さんのことが心配なのだと言っていた。
「さあ、出よう。アン、リードを付けるから待ってくれ。ああ、良い子だ……」
バタバタと走り回って玄関に来たアンのリードを持ち、黒崎が家を出た。それに続くようにして、俺達も外に出た。空は快晴だ。しかし、昼から雨が降る予報だ。晴れたままならいいなと話しながら、みんなで商店街へ向かった。
CMが終わったところで、黒崎達が立ち上がった。これから買い物に行くために。アンも行く気満々だ。カチャカチャと足の爪の音を立てて、玄関に行ってしまった。これで留守をさせるわけにはいかないだろう。黒崎と俺のどちらかがアンと一緒に店の外で待っていればいい。アンが一緒に行きたがっているときは、そうしている。今日はユーリーがいると分かっているようで、いつもよりも機嫌が良いみたいだ。
普段の買い物の時はどうしているかというと、家で留守番をしてもらっている。ごめんねと言いながら。黒崎があれやこれやと買いたい物に口を出すから、一緒に行くしかない。一度車の中で待たせたことがあるのだが、かえって寂しい思いをさせたようで、家の中で待ってもらうことにしている。そこで、お義父さんがうちで預かるよと言ってくれたから、買い物の度にお願いしている。ユリウスもいるから寂しくないようだ。
そのお義父さんだが、最近になって、猫を欲しがっている。遠藤さんが子猫を保護して、飼い始めたからだ。名前はフリージアちゃんという。茶虎柄の猫で、ふんわりとした尻尾が特徴的だ。大きな目でウルウルと見つめられて、お義父さんが虜になってしまった。リクは最初、子猫におっかなびっくりだったそうだが、今は自ら遊ばせているという。リクのお腹にもたれ掛かって寝ているところも見せてもらったことがある。黒崎家の誰もが犬も猫も好きだから、誰かが飼い始めそうだと思っている。
「黒崎さーーん。ユーリーがお茶っ葉を買ってくれるってさ。お菓子もだって。お義父さんも誘おうか?」
「親父は出かけている。昨日、知り合いが事故で搬送されたそうだ。アーティスト支援団体のメンバーだ。タクシーに乗車中に、ぶつかってきた車がいたそうだ……」
「それは大変だよね……。もうすぐで帰ってくるんだね。怪我はしていないんだね。よかったねえ」
「ああ。腕を打ったぐらいで済んだと連絡があったそうだ。親父は彼の家に遊びに行っている」
「そうなんだね。もう家に帰れたなら良かったよ。お義父さんの家の茶葉も買ってもらおうよ~。そうしてくれって言っているよ。そういうわけにはいかないのかよ?いいじゃん。おごってもらおうよ~。お義父さんだって嬉しいと思うよ」
「ユーリー、いいのか?」
「もちろんだ。何かさせてくれ。一貴さんを泣かせた罰を受けたい……。絵本の読み聞かせで泣かれるとは思っていなかった……」
それは一昨日の出来事だ。最近よく眠れない一貴さんのために、ユーリーが眠れる絵本というのを持って来ていたから読み聞かせた結果、一貴さんが涙ぐんでしまった。そして、驚いたユーリーが慰めようと、別の絵本を持ってくると、今度はわあわあ泣いてしまったそうだ。
情緒不安定気味なのだという。プラセルの経営は好調だし、新規路線のブランドの評判も良くて、良い記事を書いてもらえたという。そして、“最近修輔君が僕に冷たい”と言っていたそうだ。
失恋ではないだろう。藤沢はモデルの仕事が半端なく詰まっていて、話が出来ていないと、俺に電話が入っていた。友人として、一貴さんのことが心配なのだと言っていた。
「さあ、出よう。アン、リードを付けるから待ってくれ。ああ、良い子だ……」
バタバタと走り回って玄関に来たアンのリードを持ち、黒崎が家を出た。それに続くようにして、俺達も外に出た。空は快晴だ。しかし、昼から雨が降る予報だ。晴れたままならいいなと話しながら、みんなで商店街へ向かった。
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