青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 黒崎がエプロン姿でステーキを焼いている姿を、佳代子さん達と眺めた。安斎さんがかっこいいわと言ってため息をつき、黒崎には視線が集まった。そんな中でも緊張せずに肉を焼くことが出来る黒崎は、周りの人から向けられる視線に慣れているのだと、俺と付き合い始める前に打ち明けてくれた。 

 どこに行っても見られていて、しかも、高校生にしか見えない子を連れているから、ホテルのレストランでもそうなっていた。俺はその時、黒崎の雰囲気が怖いからだと思っていた。かっこいい人だとは思っていたが、怖さの方が勝っていた。しかし、違うと分かるようになっていった。今では優しい人だと分かり、包容力もあるから、女性達に大人気だ。 

「夏樹。食っているのか?」 
「鋭いねえ。そこから見えるのがすごいよ。取り囲まれているのに」 
「お前の声が聞こえてきているからだ。ほら、食え。まるごと一枚だ」 
「そんなに食べられないよ。半分こにしようよ。そうだ、ゆうとー、半分食べてよ」 
「むにゃむにゃ。いいよ」 

 早瀬さんの隣で大食いをしていた悠人が分厚いステージ肉を一枚ペロリと平らげて、黒崎の元にステーキを取りに行ってくれた。俺は待っている。すると、悠人が半分に切って、俺の皿に移してくれた。 

「ありがとう。ああ、お義父さんが2枚目を食べてる。すごいなあ。もうすぐで84歳なのに。え?焼きおにぎりも食べたところなの?わあーーー」 

 お義父さんの食欲に驚いた。隣には聖河さんがいて、カットフルーツや他の料理を食べていた。もちろん、お肉も食べたそうだ。2人の前にはビールグラスがあり、何杯目を飲んだのか分からない状態だ。しかし、2人とも酔っていないからすごいと思った。そして、晴海さんが招待客と話し込み、シャンパンを開ける音が鳴った。それを彼がついでいき、わいわいとわいわいと話し声が賑やかになっていっている。 

「黒崎さーん。お肉を焼くのを代わろうか?」 
「いや、構わない。もう肉が無くなった。俺の分はある。晴海さんの分もだ。さあ、食うか。お前、飯も食え。パンでも良いぞ」 
「お肉とフルーツだけで十分だよ~。デザートのケーキもあるんだよね?」 
「一口サイズのケーキがある。ああ、久弥さん、飲んでいますか?」 

 黒崎が俺の隣に座っている久弥に声をかけた。すると、久弥がワイングラスを持ち上げた。4杯目だ。 

「ありがとう。美味しいワインを飲ませて貰っています。フランスのワインなんですね。知り合いがワインを作っていて、毎年飲んでいるんですが、味が似ています。軽くて美味しい」 
「畑が同じかも知れません。佐々木和夫さんでしょう?先週、テレビに出ていました」 
「そうです。へえー、黒崎さんはワインにも詳しいんですね。さすがはレストランの元経営者だ」 
「この家で覚えさせられました。焼酎と日本酒も。ワイナリーの見学にも参加したことがあります」 
「そうなのかーー。大きな家だから……」 

 すると、一貴さんがそばに来て、話に入ってきた。そのおかげで、レストランの経営や、黒崎製菓では接待に役立っているだろうとツッコミを入れたことで、笑いが起きた。 
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