青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 みんなが神社の中で落ち着いている。まだ気温が低くて、ダウンジャケット姿の人が多い。時々おみくじを引いている人が居る。その中に高山さんがいて、凶を引いてしまったと言い、大慌てになっていた。隣にはミカさんがいて、俯いている。悪い内容だったのだろうか。

「マジで凶なんですか?」
「ああ、ミカさんは大凶だ」
「え?大凶なんて入っているの?もう一回、引き直したらいいかも……。うちのお母さんはそうしているんだ。……え?そんなにウケるの?うちの実家って、やっぱり変なの?」

 俺の話し声に周りから笑いが起こった。なるべく静かに話しているつもりだったのに、声が大きかったようだ。そして、俺にも引けというから、さっそくやってみよう。

「えーーっと。あ、俺、恋愛おみくじがいいな。そっちはまだ空いていないんだね。じゃあ、みんなと同じやつを引くよ。えーーっと、100円玉は……」
「なつきーー。俺が持っているよ。はい。100円玉。200円だよ」
「ありがとう。後で返すからね~。ああ、ジュースで良いの?分かった。あんみつ風味のフルーツジュースを自販機で買うよ。ホールの自動販売機って、不思議なラインナップだよね~。まるでうちの大学みたい。ちゃりん……」

 おみくじの機械の前に立ち、100円玉を2個入れた。すると、ガタンと音がした後、おみくじが出てきた。さっそくそれを取り、中を開いた。大吉だ。

「やったーー。俺、大吉だよ。ゆうとーー。君も引けよ」
「俺は来たときに引いたんだ。小吉だったよ。旅行運が良かったよ。まずまずの結果で満足だよ」
「ネガティブな悠人らしくないなあ。大吉じゃなかったら、心配するんじゃないのかよ?」
「俺は欲張らないことにしたんだ。健吾さんも小吉だったんだ」
「親子だねえ……」

 このおみくじをどうしようかと考えた。持って帰りたい。スタッフさん達は、すでにずらっと結ばれている細いロープに結びつけている。悠人達はどうするだろうか。すると、俺と同じく、持って帰るという。

「そうだね!記念になるね……」
「うん。あ、高山さんも持って帰るんだねーー。ミカさんも?」
「うん。僕たちもそうする。なかなか無いよね。大凶、凶なんて……」
「おーーい。帰るぞーーー」
「はーーい」

 すると、高宮さんから号令が掛かった。一斉にみんなが帰り支度を始めた。俺達と同じようにおみくじを持って帰るスタッフと、結びつけるスタッフに分かれて、境内の中が賑やかになった。真っ暗な木にはライトがともされているから、足下が見えやすい。そして、俺達が駐車場に向かう前、さっきと同じ神主さんが足下を照らしてくれた。

 俺の隣には高宮さんが歩いている。午前9時のお祓いの時は、ホールで仕事中だ。昨日、監督と一緒にお祓いを受けてきたと言っていた。現場に何かあるといけないから、持ち場を離れないためだ。聡太郎と大和も連れて行っていた。その2人とは今日、3曲目から5曲目で共演する。今度この神社に来る時は、次のバンドの結成時になる。その時は、琉芯も入れての5人になる。

「ああーー、とにかく、今日と明日、成功させないと……」
「次のバンドのことを考えているのか?きっと成功する。ほら、身体が軽いだろう?」
「うん。不思議だよ。子供の頃に初詣で神社に行った後、伊吹お兄ちゃんがオバケを連れて帰ってくることがあってさ。自然と足が遠のいていたんだ……」
「ああ、家の中で見たという話か。不思議だね……」
「うん……」

 すると、ピンと張った空気がまろやかになった。外の匂いがした。今、鳥居をくぐって外に出たからだ。車が通り過ぎていった。朝になり、街が再び動き出したのを実感した。
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