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アヤノが来た後、俺は喘息で入院することなく過ごそうと決めた。しかし、一度だけ、2週間入院した。アヤノは病室に来られないから、俺の不在中は父が面倒を見てくれた。晴海兄さんもだ。俺達は散々すれ違っていたというのに、アヤノを連れているときだけは会話があった。
(散歩に行くのか?うん。たったそれだけの会話が嬉しかった……)
家のアルバムにはアヤノが写っている写真が何枚もある。アヤノの母犬のシンシアと、モミジもいた。俺は池のそばでアヤノを抱き、笑っていた。池には近づいてはいけないと言われていたが、拓海兄さんが一緒に居るときは見てもいいと言われていて、禁止されている場所に行けることが嬉しかった。
すると、アンが足下に来た。喉が渇いたのかも知れない。もう30分もここにいる。
「アン、喉が渇いたのか?戻ろうか」
「そうしよう。ここは乾燥しているんだな。湿気対策の成果か」
「そうだろう。風通しがいいようにしてある。俺も喉が渇いた」
アルバムを手に取り、倉庫から出た。すると、太陽の光が降り注いできた。今日と明日は晴れの予報だ。風に乗って木の匂いが運ばれてきた。ユーリーが目を細めて、空を見上げている。
「良い朝だな。そろそろ、神社に出発する頃じゃないか?」
「ああ、そうだろう。どうした、アン、落ち着かないな。滅多に来ることがない場所だからか?」
「どれどれ?アンの気持ちを聞いてみよう。”お腹が空いたの。フライドチキンの匂いがするわ。食べてみたかったの"だそうだ」
「なんだそれは……」
ユーリーが女性口調で言い始めて笑った。昨日の夕食のメニューだ。アンにはフードとササミを煮た物が出された。食べたいというのは本当だろう。こっそり食べさせて腹を壊すと、夏樹に叱られる。アンもつらい。
「アン、それはいけないことだ。お前は消化の良い物を食べないといけない。アイスクリームもいけない」
「はははは。僕が食べているのを奪ったな。ほんの少し食べただけで済んだ。チョコレート味が好きなようだ」
「甘い物が好きだ。匂いで分かるみたいだ。夏樹が買ってきたスイートポテトを食べたがっていた」
「ああ、冷蔵庫を見上げていたんだろう。スイーツを食べるタイミングを覚えているんだろう。隆さんがそう言っていた」
「あれ以来、夏樹がスイートポテトを買ってこない。目の前で食べることになるからだ……」
「ワン!」
すると、アンが一声吠えた。父が家から出てきたからだろう。ほんの少しの足音で分かるのか。それとも、風に乗ってきた匂いで分かったのか。
「アン、行ってもいいぞ」
「……」
アンが尻尾を振りながら、2、3歩前に歩き進んで立ち止まった。そして、跳ねている。父から見えるように。俺がいるから、そばから離れないということだろうか。
「俺なら大丈夫だぞ。親父のところに行ってやれ。なんだ、早いな」
「足の調子がいいそうだ」
「そうなのか……」
父が思ったよりも早く俺達の元に来た。手には給水ボトルがある。アンの水だ。散歩中はいつも持っている。途中でアンの喉が渇くからだ。
「こうやって好かれるのか……」
「はははは!」
アンが父の元に走って行った。そして、水を飲んでいる。俺達もそばに行き、杖を付いていない父をイジってやった。それはいかにも親子らしくて、俺が欲しがった情景だった。
(散歩に行くのか?うん。たったそれだけの会話が嬉しかった……)
家のアルバムにはアヤノが写っている写真が何枚もある。アヤノの母犬のシンシアと、モミジもいた。俺は池のそばでアヤノを抱き、笑っていた。池には近づいてはいけないと言われていたが、拓海兄さんが一緒に居るときは見てもいいと言われていて、禁止されている場所に行けることが嬉しかった。
すると、アンが足下に来た。喉が渇いたのかも知れない。もう30分もここにいる。
「アン、喉が渇いたのか?戻ろうか」
「そうしよう。ここは乾燥しているんだな。湿気対策の成果か」
「そうだろう。風通しがいいようにしてある。俺も喉が渇いた」
アルバムを手に取り、倉庫から出た。すると、太陽の光が降り注いできた。今日と明日は晴れの予報だ。風に乗って木の匂いが運ばれてきた。ユーリーが目を細めて、空を見上げている。
「良い朝だな。そろそろ、神社に出発する頃じゃないか?」
「ああ、そうだろう。どうした、アン、落ち着かないな。滅多に来ることがない場所だからか?」
「どれどれ?アンの気持ちを聞いてみよう。”お腹が空いたの。フライドチキンの匂いがするわ。食べてみたかったの"だそうだ」
「なんだそれは……」
ユーリーが女性口調で言い始めて笑った。昨日の夕食のメニューだ。アンにはフードとササミを煮た物が出された。食べたいというのは本当だろう。こっそり食べさせて腹を壊すと、夏樹に叱られる。アンもつらい。
「アン、それはいけないことだ。お前は消化の良い物を食べないといけない。アイスクリームもいけない」
「はははは。僕が食べているのを奪ったな。ほんの少し食べただけで済んだ。チョコレート味が好きなようだ」
「甘い物が好きだ。匂いで分かるみたいだ。夏樹が買ってきたスイートポテトを食べたがっていた」
「ああ、冷蔵庫を見上げていたんだろう。スイーツを食べるタイミングを覚えているんだろう。隆さんがそう言っていた」
「あれ以来、夏樹がスイートポテトを買ってこない。目の前で食べることになるからだ……」
「ワン!」
すると、アンが一声吠えた。父が家から出てきたからだろう。ほんの少しの足音で分かるのか。それとも、風に乗ってきた匂いで分かったのか。
「アン、行ってもいいぞ」
「……」
アンが尻尾を振りながら、2、3歩前に歩き進んで立ち止まった。そして、跳ねている。父から見えるように。俺がいるから、そばから離れないということだろうか。
「俺なら大丈夫だぞ。親父のところに行ってやれ。なんだ、早いな」
「足の調子がいいそうだ」
「そうなのか……」
父が思ったよりも早く俺達の元に来た。手には給水ボトルがある。アンの水だ。散歩中はいつも持っている。途中でアンの喉が渇くからだ。
「こうやって好かれるのか……」
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