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俺は高校生の時に、黒崎の密着取材のテレビ番組に少しだけ映ったことがある。黒崎が同性がパートナーだと公表した時だ。黒崎製菓に入る直前のことであり、黒崎からすると、会社の合併の宣伝と、俺のことを独占したいがために取った行動だった。大学に入る前に、俺には黒崎というパートナーがいるのだと、公表したかったそうだ。当時の俺は黒崎の言うことをしっかり聞き、後ろ姿だけ映った。一緒に暮らしていることが分かるようにだ。
その番組の再放送は、一度だけされたことがある。その時は突然の取材は来なかった。家まで押しかけるという形でのことだ。しかし、俺がデビューすることになり、押しかけ取材が来てしまった。もちろん、黒崎とお義父さんが紳士的に対応してくれた。
「あれでうちの近所が引き締まったんだって、遠藤さんが言っていたんだ。結束が高まったんだって……。防犯意識とかも……」
「久しぶりに取材陣が来る場所になったからだろう。昔が遠藤さんの家には、バンドマンが泊まりに来ていた。久弥さんが一週間滞在したときには、押しかけ取材も来ていたそうだ。それから何年も経って、すっかり当時のことを忘れて、窓を開けっぱなしで寝るようになっていた……」
「そうだったんだよねえ。ここって、住人しか歩かないからさ。しかも、昔から住んでいる人ばかりだもんね。……あのさ、あの子、可愛いよね」
「ああ、安斎さんの親戚の子か。三輪車に乗って、うちの前まで来てくれたんだろう」
「うん。安斎さんが後ろを付いてきてさ。TDDをテレビで観たんだって言ってさ……」
それは昨日のことだ。安斎さんの親戚の3歳の女の子が、俺に会いに来てくれた。そして、かっこいいねと言ってくれたから嬉しかった。本当は久弥と悠人にも会いたかったそうだ。しかし、別々の家にいるんだよと説明すると、なるほどと頷いていたのが面白かった。一緒に暮らしているのだと思っていたらしい。
「俺の最年少ファンかもしれないんだって、安斎さんが言ってくれたんだ。コンサート限定グッズのタオルハンカチを使っているだって、見せてくれたんだよ。ちゃんと俺のことを、ボーカルのナツキだって分かっているんだよ~」
「テレビではメイクをしているのを見ていても、お前だと分かったのか。声で分かったんじゃないのか?」
「そうだね。そうかもしれないね。歌ってみたら、喜んでくれたんだ。にこって笑ったんだよ。可愛いって思ってさ~。俺なんか、伊吹お兄ちゃんの後ろしか付いていかなかったからさ、ろくなことをしていないと思うんだ。全然、良い子じゃなかったんだよ」
「伊吹君に三輪車の乗り方を教わったんだろう?彼がそう言っていた」
「そうなんだよ。二人で遠くまで行ってさ~。お母さんが探しに来て、怒られたんだ~」
それは懐かしい思い出だ。伊吹とは探検をした。近所の犬に吠えられたり、三輪車が倒れたりした。俺は擦り傷を負い、母に手当てをしてもらい、もう怪我はしないと決めていた。しかし、次は転んで擦りむき、小さいながらも後悔ばかりしていた。
「そう言えば、伊吹お兄ちゃんは怪我をしたことがないんだよ。まず転ばないし、慎重だし……」
「そう、彼は慎重だ。ずうずうしいところはあるが、叩いた石橋を渡らないときがあるそうだ。お前も見習え。俺もそうする」
「へえーー。あんたがお兄ちゃんのことをリスペクトするなんて、珍しいね。日頃からコケ下ろされているから、恨みに思っていたんじゃないの?うひゃひゃひゃ……」
俺はそう言って、黒埼の足を軽く蹴ってやった。そして、予想通りに蹴り返されて、また蹴った。その繰り返しの中、黒崎から”泣かすぞ”と言われてしまい、大人しくした。
その番組の再放送は、一度だけされたことがある。その時は突然の取材は来なかった。家まで押しかけるという形でのことだ。しかし、俺がデビューすることになり、押しかけ取材が来てしまった。もちろん、黒崎とお義父さんが紳士的に対応してくれた。
「あれでうちの近所が引き締まったんだって、遠藤さんが言っていたんだ。結束が高まったんだって……。防犯意識とかも……」
「久しぶりに取材陣が来る場所になったからだろう。昔が遠藤さんの家には、バンドマンが泊まりに来ていた。久弥さんが一週間滞在したときには、押しかけ取材も来ていたそうだ。それから何年も経って、すっかり当時のことを忘れて、窓を開けっぱなしで寝るようになっていた……」
「そうだったんだよねえ。ここって、住人しか歩かないからさ。しかも、昔から住んでいる人ばかりだもんね。……あのさ、あの子、可愛いよね」
「ああ、安斎さんの親戚の子か。三輪車に乗って、うちの前まで来てくれたんだろう」
「うん。安斎さんが後ろを付いてきてさ。TDDをテレビで観たんだって言ってさ……」
それは昨日のことだ。安斎さんの親戚の3歳の女の子が、俺に会いに来てくれた。そして、かっこいいねと言ってくれたから嬉しかった。本当は久弥と悠人にも会いたかったそうだ。しかし、別々の家にいるんだよと説明すると、なるほどと頷いていたのが面白かった。一緒に暮らしているのだと思っていたらしい。
「俺の最年少ファンかもしれないんだって、安斎さんが言ってくれたんだ。コンサート限定グッズのタオルハンカチを使っているだって、見せてくれたんだよ。ちゃんと俺のことを、ボーカルのナツキだって分かっているんだよ~」
「テレビではメイクをしているのを見ていても、お前だと分かったのか。声で分かったんじゃないのか?」
「そうだね。そうかもしれないね。歌ってみたら、喜んでくれたんだ。にこって笑ったんだよ。可愛いって思ってさ~。俺なんか、伊吹お兄ちゃんの後ろしか付いていかなかったからさ、ろくなことをしていないと思うんだ。全然、良い子じゃなかったんだよ」
「伊吹君に三輪車の乗り方を教わったんだろう?彼がそう言っていた」
「そうなんだよ。二人で遠くまで行ってさ~。お母さんが探しに来て、怒られたんだ~」
それは懐かしい思い出だ。伊吹とは探検をした。近所の犬に吠えられたり、三輪車が倒れたりした。俺は擦り傷を負い、母に手当てをしてもらい、もう怪我はしないと決めていた。しかし、次は転んで擦りむき、小さいながらも後悔ばかりしていた。
「そう言えば、伊吹お兄ちゃんは怪我をしたことがないんだよ。まず転ばないし、慎重だし……」
「そう、彼は慎重だ。ずうずうしいところはあるが、叩いた石橋を渡らないときがあるそうだ。お前も見習え。俺もそうする」
「へえーー。あんたがお兄ちゃんのことをリスペクトするなんて、珍しいね。日頃からコケ下ろされているから、恨みに思っていたんじゃないの?うひゃひゃひゃ……」
俺はそう言って、黒埼の足を軽く蹴ってやった。そして、予想通りに蹴り返されて、また蹴った。その繰り返しの中、黒崎から”泣かすぞ”と言われてしまい、大人しくした。
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