青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 すると、俺のスマホに着信が入った。一貴からだ。俺は父達に待つように伝えて、電話に出た。普段の俺なら先に帰らせるところだ。しかし、沙耶が居る今、嫌な予感がした。

「どうしたんだ?」
「今、警察署に来ている。逮捕されそうだ!」
「なんだって?」

 驚いて、また大きな声が出た。父が驚いた顔をしている。夏樹達もだ。そこで、一貴からの”逮捕されそうだ”という知らせを伝え、電話で話を続けることにした。すると、電話の向こうが騒がしくなり、一貴が焦った声で警察官らしき人物に応対している声が聞こえてきた。

「一貴。まずは落ち着け……」
「いや、それが落ち着けない。……え?僕は逮捕されないのか?違うのか。いや、そうなんだろう?どっちなんだ?……六槍君。どうなっているんだ?」
「もしもし!六槍です!黒崎さん。僕が代わりにお話しします!」
「ああ、頼む。すまない……」

 一貴が秘書の六槍に電話をかわり、一貴が警察官らしき人物と話し始めた。俺はまた頭が痛くなった。一体、何をしたというのか。今日は撮影だったはずだ。3時間前に電話したときの朝陽は何も言っていなかった。そこで、沙耶に会話を聞かせた。

「実は、今日の撮影の広告のモデルが薬物のことで事情聴取を受けることになりまして……。友人が大麻所持で捕まったからです。しかし、今日の撮影にはそのことを事務所にも僕たちにも報告せずに撮影に来まして、無事に終わったんですが……。撮影が終わった頃に警察官が現場に来まして、モデルを連れて行きました。島川社長にも同行願いたいということでして、今、警察署に来ています……」
「ちょうど弁護士がそばにいる。向かわせる。沙耶、いいか?」
「いいわよ。どこの警察署ですか?」
「えーーっと……」
「黒崎家の近くですね。よかった。私、今、近くなんです。タクシーですぐに向かいます。……あら、あなたも来るの?」
「俺も向かう。夏樹、ここからタクシーを呼んでくれ。いや、二葉、今すぐタクシーを2台呼べ。みんなで行こう……」

 俺と沙耶だけで警察署に向かおうとしたが、嫌な予感というのは当たりそうで、父達にも来るようにしてもらった。大勢で詰めかけることになるが、一貴なら恥ずかしがらないだろう。今頃大慌てで、手を焼くだろうから、みんながいた方がいい。とくに父がそばに居た方が良さそうだ。家宅捜索を受けるかも知れない。夏樹の所属事務所にも知らせる必要がある。家族が警察署で事情を聴かれているのだと。

「夏樹。今すぐに長谷部さんに連絡しろ。お兄ちゃんの一人が警察署で事情を聴かれているんだと。広告のモデルの友達が大麻所持で捕まったからだと……」
「うん!……もしもし、長谷部さん。急な知らせなんだけど……」

 夏樹が長谷部さんに電話を始めた。タクシーはすぐに迎えに来るそうだ。一旦家に戻った後で車で向かってもいいのだが、その時間が惜しかった。そして、二葉には山崎さんに、今夜の鍋が延期になりそうだと伝えさせた。帰る時間が分からないこともだ。そして、父には晴海兄さんに電話を掛けて貰うことにした。一貴が警察署にいるのだと。そして、俺は沙耶と話している六槍との会話を聞いた。

「黒崎さん。今日のところは社長に容疑が掛かっているわけではなく、モデルが警察からの要請を無視し続けていたから、現場まで迎えが来たそうです。そこで、モデルの所属事務所の社長と、撮影をさせていた島川社長にも事情を聞きたいということです」
「そうか。一貴は何もやっていないんだろう?モデルと付き合ってもいないのか?」
「ええ。何も関係ないそうです。僕も同席して、会食は二度しました。社長は薬物には関わっていないし、そんなことになっているとは知らなかったと話しています」
「そうか。タクシーが来た。今から向かうと伝えてくれ」
「はい」

 タクシーが到着した。さっそく乗り込み、警察署に向かった。夏樹は俺の隣にいる。しっかりした口調で長谷部さんに話し、悠人にも報告を始めた。その落ち着きぶりに感心し、ホッとして、ため息をつきながら、車のシートに背を預けた。
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