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すると、朝稽古を終えたユーリーに会った。寒いのに、上半身裸だ。それを見て、一貴さんが興奮すると言い、蹴飛ばしたくなってしまった。
「カズ兄さん。藤沢に告げ口するよ~」
「黙っておいてくれ。いいじゃないか。ああーー、デザインが思い浮かぶよ。逞しい胸筋のラインを活かしたシャツだ。いや、シャツだと隠れてしまう。アンダーウェアがいい……」
「はいはい。縫ってあげたら?」
「もちろんそうしたい。いい男が同じ屋根の下に居る環境は素敵だ。圭一のことも好みなんだが、僕はユーリーの方が良い。いや、夏樹君、気にしないでくれ。あくまでも僕の好みだ……」
「いいんだよ。あんたが誰を好きでもさ……」
一貴さんがうっとりとした顔で、ユーリーの上半身を眺め始めた。こうなると動かなくなる。俺達は歩いているだけで運動しているわけではなく、寒くなっている。もうお義父さんの家に入りたい。ユーリーだって入りたいはずだ。一貴さんから眺められながら、俺達と話しているのだから。
「ユーリー。毎朝、お疲れ様!」
「ありがとう。今さっき考えていたんだけど、どうやって圭一は、お母さんの新しい恋人の存在を知ったんだろうか?」
「え?」
ユーリーの質問に答えられなかった。黒崎は何でも知っている。単純に、俺はそう思っていた。そういえば、どうして知ったのだろうか。まさか、尾行していたのだろうか。
「黒崎さんが尾行していたんじゃないかな?相手はお医者さんだって言っていたから、病院から出てくるのを見て、ホームページに載っている経歴から年齢を割り出したとしか考えられないよ……。ん?カズ兄さん、何か知っているのかよ?」
「僕は知っているんだよ。夏樹君の予想ははずれだよ。お母さんのSNSを見たんだよ。ほら、SNSで自分の誕生日の写真をアップする人が居るだろう。友達が開いてくれた誕生日パーティーとかのね。そこから年齢が分かったんだろう。名前も知っているんじゃないか?それで、写っている写真の感じから、付き合っているって分かったんだろう」
「ああ……」
朝陽が驚いた顔をした。そして、自分が遊んでいた相手のこともそうやって調べたのかと言い出した。きっとそうなのだろう。
「そうだと思うよ。……え?カズ兄さん。マジで?朝陽のことを尾行していたって聞いたのかよ?黒崎さん、いつ尾行したのかな?平日は会社に居るし、仕事が終わったら、まっすぐにうちに帰ってくるんだ。副社長になった後、わりと定時で帰れるようになってさ。……あ、そうか。会食で遅くなる日があるから、そういう時にやっていたのかな。でもね、どこの店に着いたよって、ビデオ通話をしているんだよ。前は常務だったから、遅くなる日が多くてさ。朝陽のことは、そういう遅い時間に後ろを付いて行っていたんじゃないかな?」
「わあ……」
「黒崎家は奇々怪々だもん。あの人って、気配を消して歩けるんだ。だから、秘密は作らない方が良いよ。朝陽の学校の成績だって暗記しているんだ。俺の成績もね。二葉は成績のことを話さないから、知らないとは思うけど……。でも、お義父さんには大学の成績の報告をすることになっているから、聞いているかも。どうしたの?」
「お兄ちゃんのことが怖くなったんだ。でも、俺の父親かも知れない先生のことは調べなかったんだな……。何も知らないって言っていたからさ……」
「そうだね……」
「でも、俺、お兄ちゃんのことが好きだよ。尊敬だってしているよ」
「そっか……」
もしかしてという思いは、黒崎の中にあった。しかし、事情を聞くのはママからだ。黒崎は待っていたのだろうか。そして、彼はママから聞きたいことがあるが、話してくれるのを待っていることがある。お義父さんとどんな喧嘩があったかということだ。ママは、お義父さんの悪口を、黒崎には一切言っていないそうだ。出て行くときも、事情は分からなかった。ママが居なくなる前の晩に、ただ一言、ママとお出かけしないかと聞かれたそうだ。そこで黒崎は、夜は子供が出かけられる場所は無いよと、残念に思いながら答えて、ママは泣いていたそうだ。
俺はお義父さんの家を見つめた。明るい日差しが降り注ぎ、今日は良い天気だ。ユーリーはマズいことを口にしてしまったと慌てており、それを慰めながら家の中に入った。
「カズ兄さん。藤沢に告げ口するよ~」
「黙っておいてくれ。いいじゃないか。ああーー、デザインが思い浮かぶよ。逞しい胸筋のラインを活かしたシャツだ。いや、シャツだと隠れてしまう。アンダーウェアがいい……」
「はいはい。縫ってあげたら?」
「もちろんそうしたい。いい男が同じ屋根の下に居る環境は素敵だ。圭一のことも好みなんだが、僕はユーリーの方が良い。いや、夏樹君、気にしないでくれ。あくまでも僕の好みだ……」
「いいんだよ。あんたが誰を好きでもさ……」
一貴さんがうっとりとした顔で、ユーリーの上半身を眺め始めた。こうなると動かなくなる。俺達は歩いているだけで運動しているわけではなく、寒くなっている。もうお義父さんの家に入りたい。ユーリーだって入りたいはずだ。一貴さんから眺められながら、俺達と話しているのだから。
「ユーリー。毎朝、お疲れ様!」
「ありがとう。今さっき考えていたんだけど、どうやって圭一は、お母さんの新しい恋人の存在を知ったんだろうか?」
「え?」
ユーリーの質問に答えられなかった。黒崎は何でも知っている。単純に、俺はそう思っていた。そういえば、どうして知ったのだろうか。まさか、尾行していたのだろうか。
「黒崎さんが尾行していたんじゃないかな?相手はお医者さんだって言っていたから、病院から出てくるのを見て、ホームページに載っている経歴から年齢を割り出したとしか考えられないよ……。ん?カズ兄さん、何か知っているのかよ?」
「僕は知っているんだよ。夏樹君の予想ははずれだよ。お母さんのSNSを見たんだよ。ほら、SNSで自分の誕生日の写真をアップする人が居るだろう。友達が開いてくれた誕生日パーティーとかのね。そこから年齢が分かったんだろう。名前も知っているんじゃないか?それで、写っている写真の感じから、付き合っているって分かったんだろう」
「ああ……」
朝陽が驚いた顔をした。そして、自分が遊んでいた相手のこともそうやって調べたのかと言い出した。きっとそうなのだろう。
「そうだと思うよ。……え?カズ兄さん。マジで?朝陽のことを尾行していたって聞いたのかよ?黒崎さん、いつ尾行したのかな?平日は会社に居るし、仕事が終わったら、まっすぐにうちに帰ってくるんだ。副社長になった後、わりと定時で帰れるようになってさ。……あ、そうか。会食で遅くなる日があるから、そういう時にやっていたのかな。でもね、どこの店に着いたよって、ビデオ通話をしているんだよ。前は常務だったから、遅くなる日が多くてさ。朝陽のことは、そういう遅い時間に後ろを付いて行っていたんじゃないかな?」
「わあ……」
「黒崎家は奇々怪々だもん。あの人って、気配を消して歩けるんだ。だから、秘密は作らない方が良いよ。朝陽の学校の成績だって暗記しているんだ。俺の成績もね。二葉は成績のことを話さないから、知らないとは思うけど……。でも、お義父さんには大学の成績の報告をすることになっているから、聞いているかも。どうしたの?」
「お兄ちゃんのことが怖くなったんだ。でも、俺の父親かも知れない先生のことは調べなかったんだな……。何も知らないって言っていたからさ……」
「そうだね……」
「でも、俺、お兄ちゃんのことが好きだよ。尊敬だってしているよ」
「そっか……」
もしかしてという思いは、黒崎の中にあった。しかし、事情を聞くのはママからだ。黒崎は待っていたのだろうか。そして、彼はママから聞きたいことがあるが、話してくれるのを待っていることがある。お義父さんとどんな喧嘩があったかということだ。ママは、お義父さんの悪口を、黒崎には一切言っていないそうだ。出て行くときも、事情は分からなかった。ママが居なくなる前の晩に、ただ一言、ママとお出かけしないかと聞かれたそうだ。そこで黒崎は、夜は子供が出かけられる場所は無いよと、残念に思いながら答えて、ママは泣いていたそうだ。
俺はお義父さんの家を見つめた。明るい日差しが降り注ぎ、今日は良い天気だ。ユーリーはマズいことを口にしてしまったと慌てており、それを慰めながら家の中に入った。
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