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みんなの笑い声が落ち着いたところで、南波さんが顔を上げた。それはキリッとした表情で、さっきまでネガティブになって泣いていた人だとは思えないぐらいだ。こういう顔も、視聴者はいつも見ているのだろう。
「南波さん、かっこいいね」
「そうかな?俺、かっこ悪いよ。何してもだめで……。あ、悠人君、また泣かさないで……」
悠人が南波さんの頭を撫でたから、また泣きそうになっている。いくら何でも、この数の前では泣きたくないのだという。ということは、放送の度に泣いていたということだろうか。俺が見たいくつかの放送の回では、そうではなかったのに。
「夏樹。門を見てこないといけなくなった」
「どうしたの?」
黒崎がお義父さんのスマホをのぞき込み、門の前に人が居ることが分かった。遠藤さんと長谷部さんだった。大きな段ボールを持っている。一体どうしたのだろうか。すると、俺に電話が入った。長谷部さんからだ。
「夏樹君。急にごめんなさい。私達はそちらで待機するわ」
「すぐに行くよ!今日から閉めっぱなしにすることにしたんだ。あ、朝陽、ありがとう」
「行ってくる」
朝陽が先に走り出して、黒崎が後からついていった。南波さんは悠人とそのまま放送に映ってもらう。そして、さっきから俺の声が入りっぱなしだから、そろそろナツキを出してという言葉が流れ始めたのだという。
「うっうっ。よかった~。俺、忘れられていなくて……」
「夏樹は夕方頃に、後ろ姿だけ出まーーす」
悠人が俺のことを伝えてくれた。とても元気にしていることと、バウムクーヘンを食べているところですと。すると今度は、久弥はまだかという言葉も流れ始めたそうだ。その久弥は今頃シャワーを浴びて、まだ切っていない長い髪の毛を乾かしているところだろう。
そこで、俺は自分のヘアースタイルのことで、あることが思い浮かんだ。長くするつもりでいるが、久弥も短くするということだし、俺も短めに切ろうかと思っている。今の長さは、後ろでなんとか結べるぐらいの長さだ。ここを越せば結んでおいて、首元を涼しく出来るが、黒崎が長くしろというから、困っている。
「ねえ、ユーリー。俺、髪の毛は長い方が良いと思う?」
「僕は今か、今より短い方が君らしいとは思う。出会ったときの髪型の印象が強い」
「そっか~。俺もそう思うんだ~。今よりも切って、涼しくしても良いかなって思っているよ」
「でも、君の場合はステージがあるだろう。髪型は会議で決められるだろう?」
「うん。そうなんだよ。背中辺りまで伸ばして、ゴージャスな感じでパーマをかけるアイデアがあるんだ。それだと、ステージ映えするんだって言われたよ。でも、長くすればするほど、うちのお母さんそっくりになるんだよ~。俺は嫌じゃないんだけど、お母さんが、ちょっとねって……」
「どうしたんだ?」
「スーパーで、ナツキのお母さんかって、聞かれるんだってさ。うち、お父さんがビールをよく飲むからさ。ビールのケースばっかり持ってカートをついているから、酒飲みだって思われていないか恥ずかしくなったんだって……。他には、惣菜ばっかり買っているとかさ……。ほら、仕事終わりでスーパーに行ったら、割引シールが貼ってあるから、そればっかり買っているんだって……」
「はははは。コロッケ3割引だったか……。それと、あんパン6個だったね……」
「そうそう。家族3人、あんパンが好物だからさ~。でも、もっと高い物を買っておかないと、あんたが恥ずかしいでしょうって、俺に言うんだ。そんなことはないよねえ」
「ああ、コロッケも好きな人は多いと思うよ。でも、髪を長くしたら、伊吹君と似なくなるよ」
「うーーん。それなら、長くしようかな……」
母と伊吹、どちらに似た方がいいかというと、母の方がいいに決まっている。テレビに出ている伊吹はよく、兄弟似ていますねと言われている。声もだ。そのそっくりな顔で変なことを喋るから、俺の方だって、ちょっとねと言いたい。
その伊吹は今日はここに乗り込んでこないと言っていた。家で寝ているそうだ。本当にそうだろうかと疑いたくなったが、ついさっき、聡太郎から連絡が入った。本当に寝ているよと。
それにホッとしていると、遠藤さんと長谷部さんがやって来て、段ボールの中を見せてくれた。そこには、1匹の子猫がスヤスヤと寝ていて、ついさっき、遠藤さんの家の前に置かれたそうた。置いた人は、さっと居なくなったという。飼って下さいという手紙と共に。
「南波さん、かっこいいね」
「そうかな?俺、かっこ悪いよ。何してもだめで……。あ、悠人君、また泣かさないで……」
悠人が南波さんの頭を撫でたから、また泣きそうになっている。いくら何でも、この数の前では泣きたくないのだという。ということは、放送の度に泣いていたということだろうか。俺が見たいくつかの放送の回では、そうではなかったのに。
「夏樹。門を見てこないといけなくなった」
「どうしたの?」
黒崎がお義父さんのスマホをのぞき込み、門の前に人が居ることが分かった。遠藤さんと長谷部さんだった。大きな段ボールを持っている。一体どうしたのだろうか。すると、俺に電話が入った。長谷部さんからだ。
「夏樹君。急にごめんなさい。私達はそちらで待機するわ」
「すぐに行くよ!今日から閉めっぱなしにすることにしたんだ。あ、朝陽、ありがとう」
「行ってくる」
朝陽が先に走り出して、黒崎が後からついていった。南波さんは悠人とそのまま放送に映ってもらう。そして、さっきから俺の声が入りっぱなしだから、そろそろナツキを出してという言葉が流れ始めたのだという。
「うっうっ。よかった~。俺、忘れられていなくて……」
「夏樹は夕方頃に、後ろ姿だけ出まーーす」
悠人が俺のことを伝えてくれた。とても元気にしていることと、バウムクーヘンを食べているところですと。すると今度は、久弥はまだかという言葉も流れ始めたそうだ。その久弥は今頃シャワーを浴びて、まだ切っていない長い髪の毛を乾かしているところだろう。
そこで、俺は自分のヘアースタイルのことで、あることが思い浮かんだ。長くするつもりでいるが、久弥も短くするということだし、俺も短めに切ろうかと思っている。今の長さは、後ろでなんとか結べるぐらいの長さだ。ここを越せば結んでおいて、首元を涼しく出来るが、黒崎が長くしろというから、困っている。
「ねえ、ユーリー。俺、髪の毛は長い方が良いと思う?」
「僕は今か、今より短い方が君らしいとは思う。出会ったときの髪型の印象が強い」
「そっか~。俺もそう思うんだ~。今よりも切って、涼しくしても良いかなって思っているよ」
「でも、君の場合はステージがあるだろう。髪型は会議で決められるだろう?」
「うん。そうなんだよ。背中辺りまで伸ばして、ゴージャスな感じでパーマをかけるアイデアがあるんだ。それだと、ステージ映えするんだって言われたよ。でも、長くすればするほど、うちのお母さんそっくりになるんだよ~。俺は嫌じゃないんだけど、お母さんが、ちょっとねって……」
「どうしたんだ?」
「スーパーで、ナツキのお母さんかって、聞かれるんだってさ。うち、お父さんがビールをよく飲むからさ。ビールのケースばっかり持ってカートをついているから、酒飲みだって思われていないか恥ずかしくなったんだって……。他には、惣菜ばっかり買っているとかさ……。ほら、仕事終わりでスーパーに行ったら、割引シールが貼ってあるから、そればっかり買っているんだって……」
「はははは。コロッケ3割引だったか……。それと、あんパン6個だったね……」
「そうそう。家族3人、あんパンが好物だからさ~。でも、もっと高い物を買っておかないと、あんたが恥ずかしいでしょうって、俺に言うんだ。そんなことはないよねえ」
「ああ、コロッケも好きな人は多いと思うよ。でも、髪を長くしたら、伊吹君と似なくなるよ」
「うーーん。それなら、長くしようかな……」
母と伊吹、どちらに似た方がいいかというと、母の方がいいに決まっている。テレビに出ている伊吹はよく、兄弟似ていますねと言われている。声もだ。そのそっくりな顔で変なことを喋るから、俺の方だって、ちょっとねと言いたい。
その伊吹は今日はここに乗り込んでこないと言っていた。家で寝ているそうだ。本当にそうだろうかと疑いたくなったが、ついさっき、聡太郎から連絡が入った。本当に寝ているよと。
それにホッとしていると、遠藤さんと長谷部さんがやって来て、段ボールの中を見せてくれた。そこには、1匹の子猫がスヤスヤと寝ていて、ついさっき、遠藤さんの家の前に置かれたそうた。置いた人は、さっと居なくなったという。飼って下さいという手紙と共に。
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