青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 それはキシヤマ味噌の懸賞で絵本のプレゼントをするとか、寄付をするとか、イラストレーターを募集して支援するなどの活動だ。しかし、それは迷っているのだという。そして、すでにTDDのスポンサー企業だし、悠人がコマーシャルに出ているから、ミュージシャンの支援をと思ったが、それも迷っているという。それにはお義父さんが微笑みかけて、いや、一緒にやって下さいと言った。

「いやーー、僕たちは他のことをしたいと思っています。そこで、こちらに滞在中のユリウス・バーテルスさんが出版社にお勤めだと噂を聞きまして、そこで、当社では、本のことをしたいと思いました。夏樹君は絵本のコラム連載をしているし、お兄さんは中山社長です。そこで絵本をという流れになったのですが、中山社長がいますから、僕たちの出番がありません。飛躍している企業であるブロッコリー社に対抗するなんて、出来ません」
「いや、ブロッコリー社は歓迎するでしょう。キシヤマさんがくれば百馬力です」
「いえ、とんでもないことです。アーティスト支援も電子書籍分野も百人力だ。そこで、ナレーション担当の方の支援をしようと思ったんです。夏樹君は心霊番組のナレーションを担当されるとか……。僕は知っているですよ。本決まりだろうかそうでなかろうが、常に情報は集めています。そうしたところ、今回の生放送のことを聞きまして、馳せ参じたわけです」
「なるほど……」
「こんなに声も姿も美しい社員さんを拝見できまして、僕は何て運が良いのかと思いました!」
「そうですか。はははは、南波君。月島さんのそばに来てくれ」
「はい!」

 南波さんがカメラの前から離れて、月島さんのそばにいった。俺の方はラーメンが出来上がり、食べ始めたところだ。地面に置いてあるスマホで番組のコメントを見ていると、振り向いてという文字がある。そして、さっきから聞こえている声は誰なのか聞きたいという言葉もあった。

 そこで、悠人が、キシヤマ味噌の月島さんだよと言った。すると、その人はイケメンなのかという言葉があり、見せてくれという言葉が連発した。そして、あのドイツ人男性とか、ユリウスさんをというリクエストも入った。南波さんと付き合うことになったことは伏せている。

 その南波さんがニコニコと笑っている。月島さんがもう一度、美しい社員さんだと褒めても、恥ずかしがらずに、背筋をピンと伸ばして、ありがとうございますと答えている。そして、お義父さんが少しだけ眉をひそめた。さらに、南波さんのことを自分の方に引き寄せるように移動させて、僅かに距離を離した。どうしたのだろうか。

 そして、その訳を知った。月島さんが眼鏡の度が合わなくなっていて、よく顔が見えないと言い、南波さんの顔を近くで見ようとしたからだ。今もそうしようとして、追いかけるようにして近くに移動した。南波さんは動かない。しかし、お義父さんがまた引き離した。

「はははは。月島君。彼には決まった人が居る。カップルになった相手がいるから、いけないことだ」
「そうなんですか?小瀬君、どういうことだ?僕のことを覚えているだろう?君のことなんだろう?」
「僕は違います」

 小瀬さんが南波さんを庇うようにして隣に立った。そして、お義父さんがそれは内緒ですと言って笑うと、この中に居るのですねと、月島さんが肩を落とした。

「うっうっ。カップルになったということは、今日のことなんでしょう?僕は運が悪いのか良いのか分からない!ああーーーー、なんてことだ!」
「やば!」

 南波さんが咄嗟にキャッチしたから事なきを得たが、月島さんが、お義父さんが飲んでいた、そばのテーブルに置いてあったお茶をひっくり返そうとした。なんだか一貴さんに似ている。

 すると、お義父さんの家の方から歩いてきているユーリーが、どうしたのかと声をかけてきた。大きな声だ。南波さんに何かあったのだと察したのだろうか。お伴している二葉と朝陽も驚いている。

 それには黒崎が返事をして、なんでもないことだと言った。そして、南波さんのことを背中に庇うようにして、月島さんの前に立ったから、ユーリーが絵本を朝陽に預けて、走って来た。そして、その姿を見つめている月島さんが少しだけ顔を赤くして、嬉しそうに微笑んだ。
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