青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 18時。

 さっきまでのんびりしていた俺達だったが、今は騒がしくなっている。南波さんが番組を中止しようとしたが、黒崎の勧めにより、放送を続けた。小瀬さんも放送を続けている。すると、ニュース速報を見た視聴者から、犯人逮捕のことや、掲示板サイトに女性が逮捕されたそうだという書き込みがあったというコメントが出てきた。倉林利香くらばやしりかと、倉林ななせという名前も出された。

 てっきり姉妹だと思った俺だったが、黒崎が違うと言ったから、知っている人なのだと分かった。二葉の中学時代の友達なのだという。成人式に一緒に行ったグループの中の2人であり、倉林利香さんは年賀状に書き殴りをしてきた子で、倉林ななせさんは家の間取りなどをそっくりそのまま真似をして、服まで真似をして写真を送ってきた子だそうだ。

 ななせさんの方は、旧姓を長橋と言ったが、結婚後に、偶然にも利香さんと同じ倉林姓になったそうだ。出席番号が倉口姓と近いことから、中学入学時のクラスで席が前後になったことがきっかけで、まず最初に利香さんと親しくなったと聞いていると、黒崎が俺に教えてくれた。

 二葉は呆然としている。朝陽が背中をさすり、まずは椅子に座らせて、励ましているところだ。やや過呼吸気味になっているから、寝かせようかとも言い出した。

「ストーブの前にシートを移動させたよ!」
「うん!あ、悠人君、ありがとう!」
「彼を寝かせようよ」

 俺と悠人が二葉の身体を支えるようにして椅子から立たせて、シートの上に寝かせた。枕として、南波さんが使っている上着を頭に下に敷かせて貰った。南波さんのスマホカメラは少しも移動していない。小瀬さんもだ。ずっと同じ場所を映している。その前を行ったり来たりする俺達の姿があり、コメント欄は数多くの文字が流れていった。

 大丈夫か?誰か倒れたの?そういう問いかけに対し、悠人が頷いた。そして、今は言えないのだと言った。ということは、犯人は黒崎製菓の関係者なのかという問いかけがされて、自称会社員と報道されているというコメントが流れた。ニュースサイトに出ているし、テレビでもやっているのだという。

 利香さんは会社員で、ななせさんは主婦だと報道しているチャンネルもあるという。別のチャンネルでは、利香さんが自称会社員になっていたそうだ。年齢はどちらも25歳だ。そして、双子なのか、親戚同士なのかというコメントもあった。さらに、黒崎製菓ではないのでは?というコメントと、地元に住んでいる同級生と見られる人からの掲示板サイトへの書き込みに、利香さんは栄養士として病院に勤務しており、もう一人もそうだったが、今は倉林建設会社の社員だと書いてあったのを見たというコメントが流れた。そして、黒崎製菓の社員を殺害するという書き込みを見つけたという人まで現われて、掲示板のURLが流れた。

 さっそく俺はその掲示板サイトを見た。たしかに書いてある。11月10日の日付になっている。二葉が黒崎製菓に勤務しているのを知っている、地元に居るときからの友達は志乃さんだけだ。そして、今住んでいる住所を知らせたのは、志乃さんと医者になった友達だけだという。住所からネットを調べたら、お義父さんの家の門の写真が出てきて、黒崎製菓の関係者だとは分かる。俺のことの記事が出てくるからだ。

 二葉はショックを受けている。たった今、志乃さんから電話が入った。利香さん達には、二葉の今の住所を話していないそうだ。そうなると、倉林さん達に教えたのは、医者の友達しかいない。黙っておいてくれとは言っていないそうだ。年賀状がママの家に届くから、そろそろ年末に向けて年賀状の準備が必要で、利香さん達に伝えようとは思っていったそうだ。

 今年の1月にここに引っ越してきた二葉だが、志乃さんにはすぐに知らせており、医者の友達には10月の終わり頃に報告したそうだ。黒崎が、志乃さんだけにしか言うなと言ったからだ。それは、二葉の友達関係は良いとは言えないという判断を黒崎がしたからだ。

 しかし、二葉としては、悩みを打ち明けてくれた医者の友達には住所を言いたくて、知らせたのだという。郵便物の転送期間切れになれば、手紙は差出人に戻っていくだろう。来月のお正月までは大丈夫だが、毎年年賀状を送ってきてくれるから、言わないといけないとも思っていたことも知った。
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