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すると、お義父さんがユーリーに声をかけた。ありがとうと。彼は今、一貴さんのことを励ましているところだ。傍らに立っていた六槍さんには朝陽と散歩に出させて、二人で話す機会を作っていた。一貴さんが二人に何かしたわけではない。大木さんからの伝言をすっかり忘れていたことと、その後で気がついたのだが、藤沢からの電話を取り逃していたことで、落ち込んでいる。慌ててかけ直していたが、用事があるようで、すぐに電話を切られてしまった。
「ユーリー。せっかくの修輔君からの電話だったのに。僕の失敗をどう思う?」
「物忘れもすれ違いも、神様の思し召しだ。また話せるときが来る。君には大木さんという繋がりが出来たんだ。いい人じゃないか。忘れていたんでしょうって、ツッコミをしてくれたんだから……」
「ああ。完璧な島川社長の仮面が外れてしまいそうだ。僕はこれでも社長なんだ。頑張ってきたんだ。何でもそつなくこなして、弱みなんか見せていなかった。それなのに、うっかり忘れていたことに気づかれるなんて……。プラセルとこの家の中だけしか、僕の普段の姿を知られていないはずなのに……」
「今までもツッコミを入れたかった人が居るんじゃないか?その第一号になったのが大木さんだ。殻が破られたんだ。……ん?株価が下がるって言いたいのか?」
「ああ。また役員達から叱られる。僕が何か良いことをしようと思って動くとこうなる。翌週には株価が下がるというジンクスもある。今回は違うと思ったのに……」
「たまたまじゃないのか?たしかに下がっているみたいだけど……」
ユーリーがスマホで証券会社のホームページを開いている。プラセルの株が下がっているそうだ。午前中の番組の影響なのか、株を売る人が多かったようだ。俺は株取引をしないからよく分からないが、お義父さんとユーリーの意見としては、たまたまだと思って良いという話だった。しかし、一貴さんは悲しんでいる。さっき、役員さんから電話を貰っていた。オンライズの宣伝になったから良かったと。株価はまだ見ていなかったようで、ツッコミは受けなかった。
「ユーリー。僕はどうしたら良いと思う?恋の行く先は不安定で、見通しが立たない状況だ。修輔君がいればそれでいいと思うこともあったけど、株価を前にすると、そうではいけないと思うようになった。元の僕の姿になった」
「どの姿も一貴さんだ。藤沢君だって忙しいんだろう。嫌いな相手には電話を掛けてこないはずだ。するっと抜けていく藤沢君か……。手に入らない相手か……。分かるよ、その気持ち……」
「それは、昔、好きだった子か?それとも、今でも好きな相手か?そして、南波君のことか?まさか、多々良君という人じゃないだろうな……」
「まるで僕が気が多いみたいじゃないか。多々良君には叱られたよ。そういうのやめたらどうかって……。僕に連絡してくるなって言われたところだ。でも、すぐに許して貰えたけど……。この家に遊びにおいでよって誘いを掛けたら、怒りが解けた」
「それ、南波君が聞いたら嫌がるぞ」
「そうだよ、ユーリー……」
いくらお友達コースになったとは言え、南波さんが聞いたらなんというだろうか。多々良さんは長谷部さんがよく知っている人で、テレビ局の方とのやり取りが多いそうだ。だから、悠人のコマーシャルのPRにも関わっていて、その関係で遠藤さんの家に来ていたそうだ。そこで、ユーリーと知り合ったというわけだ。
彼の怒りを収めて貰う条件として、俺に会いたいと言ってくれたそうだ。それで怒りを解いて貰えるなら会いたいと思っている。黒崎だって珍しく、いいぞと言った。しかし、南波さんの気持ちが大事だと思うから、どうしようかと思っている。すると、黒崎がユーリーに声をかけた。南波さんに正直に話せという。お友達コースでしかあり得ないのだと。
「圭一。僕もそう思っている。口説いたことは水に流してくれると言っていた。そのことを南波君に話す」
「ついでに、多々良君に付き合う人ができたということも報告しておけ。自分がキューピッドになったんだと……」
「そうだ、その通りだ。僕が口説いたから、相手が本気を出したんだ。そのカレシと一緒に来てもらう。修羅場にはならない。南波君も一緒に居てくれるといいんだけどなあ……」
ユーリーは南波さんと付き合うと決めているようだが、彼には他にも出会いがあり、難しい気がした。それは、高野さんの存在だ。小瀬さんの本気度を知り、応援してくれると言い、南波さんを誘って、3人で食事をしようと、レストランを予約してくれたそうだ。ただし、今夜では無く、明日の予約だそうだ。そこで、ユーリーが元気を出して、まだ自分にもチャンスがあると奮起している。
「ユーリー。せっかくの修輔君からの電話だったのに。僕の失敗をどう思う?」
「物忘れもすれ違いも、神様の思し召しだ。また話せるときが来る。君には大木さんという繋がりが出来たんだ。いい人じゃないか。忘れていたんでしょうって、ツッコミをしてくれたんだから……」
「ああ。完璧な島川社長の仮面が外れてしまいそうだ。僕はこれでも社長なんだ。頑張ってきたんだ。何でもそつなくこなして、弱みなんか見せていなかった。それなのに、うっかり忘れていたことに気づかれるなんて……。プラセルとこの家の中だけしか、僕の普段の姿を知られていないはずなのに……」
「今までもツッコミを入れたかった人が居るんじゃないか?その第一号になったのが大木さんだ。殻が破られたんだ。……ん?株価が下がるって言いたいのか?」
「ああ。また役員達から叱られる。僕が何か良いことをしようと思って動くとこうなる。翌週には株価が下がるというジンクスもある。今回は違うと思ったのに……」
「たまたまじゃないのか?たしかに下がっているみたいだけど……」
ユーリーがスマホで証券会社のホームページを開いている。プラセルの株が下がっているそうだ。午前中の番組の影響なのか、株を売る人が多かったようだ。俺は株取引をしないからよく分からないが、お義父さんとユーリーの意見としては、たまたまだと思って良いという話だった。しかし、一貴さんは悲しんでいる。さっき、役員さんから電話を貰っていた。オンライズの宣伝になったから良かったと。株価はまだ見ていなかったようで、ツッコミは受けなかった。
「ユーリー。僕はどうしたら良いと思う?恋の行く先は不安定で、見通しが立たない状況だ。修輔君がいればそれでいいと思うこともあったけど、株価を前にすると、そうではいけないと思うようになった。元の僕の姿になった」
「どの姿も一貴さんだ。藤沢君だって忙しいんだろう。嫌いな相手には電話を掛けてこないはずだ。するっと抜けていく藤沢君か……。手に入らない相手か……。分かるよ、その気持ち……」
「それは、昔、好きだった子か?それとも、今でも好きな相手か?そして、南波君のことか?まさか、多々良君という人じゃないだろうな……」
「まるで僕が気が多いみたいじゃないか。多々良君には叱られたよ。そういうのやめたらどうかって……。僕に連絡してくるなって言われたところだ。でも、すぐに許して貰えたけど……。この家に遊びにおいでよって誘いを掛けたら、怒りが解けた」
「それ、南波君が聞いたら嫌がるぞ」
「そうだよ、ユーリー……」
いくらお友達コースになったとは言え、南波さんが聞いたらなんというだろうか。多々良さんは長谷部さんがよく知っている人で、テレビ局の方とのやり取りが多いそうだ。だから、悠人のコマーシャルのPRにも関わっていて、その関係で遠藤さんの家に来ていたそうだ。そこで、ユーリーと知り合ったというわけだ。
彼の怒りを収めて貰う条件として、俺に会いたいと言ってくれたそうだ。それで怒りを解いて貰えるなら会いたいと思っている。黒崎だって珍しく、いいぞと言った。しかし、南波さんの気持ちが大事だと思うから、どうしようかと思っている。すると、黒崎がユーリーに声をかけた。南波さんに正直に話せという。お友達コースでしかあり得ないのだと。
「圭一。僕もそう思っている。口説いたことは水に流してくれると言っていた。そのことを南波君に話す」
「ついでに、多々良君に付き合う人ができたということも報告しておけ。自分がキューピッドになったんだと……」
「そうだ、その通りだ。僕が口説いたから、相手が本気を出したんだ。そのカレシと一緒に来てもらう。修羅場にはならない。南波君も一緒に居てくれるといいんだけどなあ……」
ユーリーは南波さんと付き合うと決めているようだが、彼には他にも出会いがあり、難しい気がした。それは、高野さんの存在だ。小瀬さんの本気度を知り、応援してくれると言い、南波さんを誘って、3人で食事をしようと、レストランを予約してくれたそうだ。ただし、今夜では無く、明日の予約だそうだ。そこで、ユーリーが元気を出して、まだ自分にもチャンスがあると奮起している。
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