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車のそばに行くと、黒崎達がまだ笑っていた。どうしたのだろう。そして、その理由を聞いて呆れた。一貴さんがお腹いっぱいになったはずなのにもう空いてきたと言って、ここに来るまでにクラブハウスサンドイッチをテイクアウトして、車の中で食べたところなのだという。そして、喉に詰まりかけて、とっさに黒崎が俺の名前を呼んだそうだ。一貴さんのことを助けるようにと言うためにだ。しかし、俺は後部座席には乗っていない。まるで、昨日の安斎さんの反対の話だ。
「カズ兄さん、大丈夫だったのかよ?」
「ああ。珈琲で流し込めた。君達が来るのを見て圭一が笑ったから、僕もさっきの自分がおかしくなったんだ。僕も君の名前を呼ぼうとしていたんだ」
「ふうん。修輔君!って呼べるようになったら良いねえ~」
「夏樹。ユーリー。車に乗ろう」
ここでいると寒いからと言って、黒崎が俺達に車に乗るように促してきた。ここの書店に入ってみたいと思ったが、また今度にしようと思った。一貴さんを寝かせた方が良いからだ。すると、その本人から店に入らなくて良いのかと聞いてくれたから、ううんと言って、首を横に振った。
「いいんだよ。家に帰ろうよ。ママの話もしたいし。それに、横になった方が良いよ。ユーリー、乗ろうよ」
俺はユーリーの手を引くようにして車に乗り込んだ。温かい手だ。話をすると面白くて、とぼけたことも言うのに、高圧的な面があるなんて思えなくて、そういう彼になる機会がなかったら良いのにと思った。さっきのママの前では笑顔のままでいた。ママに霊能力があると分かったときには普段の彼の顔に戻っていた。しかし、驚いていなかった。知っていたのだろうか。
車がゆっくりと発進した。そこで、俺はまずユーリーに聞いてみることにした。ママの霊能力のことをだ。
「ユーリー。ママの霊能力のことを知っていたの?」
「ああ。母さんから聞いてあった。詳しいことは聞いていない。兄さんが勉強部屋にと庭に家を建てて貰った時、どの場所が良いのかを言ったのが真琴さんだと聞いている。僕が聞いたエピソードはそれだけだ」
「そっか……。黒崎さん、カズ兄さん。ママの霊能力のこと、知らなかったんだよね?」
黒崎と一貴さんに話しかけると、黒崎が頷いた。そして、一貴さんも同じ反応だ。
「ああ。俺は知らなかった」
「僕もだ。でも、うちの母さんが何か言っていた気がする。烏丸さんが指定した日に、僕の成人式の写真を撮るんだって……。その頃はもう黒崎家を出ていたから、離婚する前に日を決めていたのか……」
「そうなんだね。お義父さんさ、昨日、代々、当主の前に霊能者が現われていたのに、自分の代では来なかったって言っていたよね。アレクシスさんの勉強部屋の位置とか選んだなら、霊能者だと思うんだ。どうしてそう言ったのかな?」
「それは、俺達に隠すためだ。さっき、親父に電話で聞いてある。言うつもりは無かったそうだ。もう出て行った人だからだそうだ。今頃、朝陽にも伝わっているだろう。二葉が親父のそばに居て、電話をかわって貰った。ユーリーが言うには、まるで月島さんのようだと伝えてある」
「ママ、インドのムンバイに旅行に行きたいんだって言っていたよ。もうあんた達に会えないって思っていたけど、お土産を渡したいって言ってくれたよ。その前に会ったら?」
「そうだな……」
黒崎が気のない返事をした。そして、こう言った。会いたくないのだと。しかし、それは笑い声が含まれていたから、俺達が帰ってくるまでにまだ何かあったのだろうと察した。
「黒崎さん。他にも何かあったんだろ?」
「ああ。拓海兄さんのことだ。あの人がデートに誘ったことがあるそうだ。考えを読まれて、脈があると思われたに違いないと思うと、おかしくてたまらなかった。一貴、そうだったろう?」
「ああ。その話をしていたところだ。もしかしたら、そうなのかっていう話だ。いや、拓海君は男性が恋愛対象なんだ。でも、好感を持っていたんじゃないかって……」
「ここにいないのに、噂をするのは悪いよ~」
「夏樹。うちの母親に魅力が無いと言いたいのか?あんな人とか思うのか?思ってもいいんだぞ。俺もそう思っている」
「そういう意味じゃないよ。そういうことってデリケートなことだろ。あんただって、噂されたら嫌だろ?ねえ、ユーリー」
「そうだな。僕も思う。真琴さんは元気だと言っていたよ。圭一に電話を掛けたとき、まるで月島君みたいだって言葉で理解してくれて助かった。僕はどう言えばいいのか、少しだけ慌てていたから……」
ユーリーがため息をついた。そして、ママに会った時は緊張していたのだと言いだしたから、俺は彼の肩をさすった。
「カズ兄さん、大丈夫だったのかよ?」
「ああ。珈琲で流し込めた。君達が来るのを見て圭一が笑ったから、僕もさっきの自分がおかしくなったんだ。僕も君の名前を呼ぼうとしていたんだ」
「ふうん。修輔君!って呼べるようになったら良いねえ~」
「夏樹。ユーリー。車に乗ろう」
ここでいると寒いからと言って、黒崎が俺達に車に乗るように促してきた。ここの書店に入ってみたいと思ったが、また今度にしようと思った。一貴さんを寝かせた方が良いからだ。すると、その本人から店に入らなくて良いのかと聞いてくれたから、ううんと言って、首を横に振った。
「いいんだよ。家に帰ろうよ。ママの話もしたいし。それに、横になった方が良いよ。ユーリー、乗ろうよ」
俺はユーリーの手を引くようにして車に乗り込んだ。温かい手だ。話をすると面白くて、とぼけたことも言うのに、高圧的な面があるなんて思えなくて、そういう彼になる機会がなかったら良いのにと思った。さっきのママの前では笑顔のままでいた。ママに霊能力があると分かったときには普段の彼の顔に戻っていた。しかし、驚いていなかった。知っていたのだろうか。
車がゆっくりと発進した。そこで、俺はまずユーリーに聞いてみることにした。ママの霊能力のことをだ。
「ユーリー。ママの霊能力のことを知っていたの?」
「ああ。母さんから聞いてあった。詳しいことは聞いていない。兄さんが勉強部屋にと庭に家を建てて貰った時、どの場所が良いのかを言ったのが真琴さんだと聞いている。僕が聞いたエピソードはそれだけだ」
「そっか……。黒崎さん、カズ兄さん。ママの霊能力のこと、知らなかったんだよね?」
黒崎と一貴さんに話しかけると、黒崎が頷いた。そして、一貴さんも同じ反応だ。
「ああ。俺は知らなかった」
「僕もだ。でも、うちの母さんが何か言っていた気がする。烏丸さんが指定した日に、僕の成人式の写真を撮るんだって……。その頃はもう黒崎家を出ていたから、離婚する前に日を決めていたのか……」
「そうなんだね。お義父さんさ、昨日、代々、当主の前に霊能者が現われていたのに、自分の代では来なかったって言っていたよね。アレクシスさんの勉強部屋の位置とか選んだなら、霊能者だと思うんだ。どうしてそう言ったのかな?」
「それは、俺達に隠すためだ。さっき、親父に電話で聞いてある。言うつもりは無かったそうだ。もう出て行った人だからだそうだ。今頃、朝陽にも伝わっているだろう。二葉が親父のそばに居て、電話をかわって貰った。ユーリーが言うには、まるで月島さんのようだと伝えてある」
「ママ、インドのムンバイに旅行に行きたいんだって言っていたよ。もうあんた達に会えないって思っていたけど、お土産を渡したいって言ってくれたよ。その前に会ったら?」
「そうだな……」
黒崎が気のない返事をした。そして、こう言った。会いたくないのだと。しかし、それは笑い声が含まれていたから、俺達が帰ってくるまでにまだ何かあったのだろうと察した。
「黒崎さん。他にも何かあったんだろ?」
「ああ。拓海兄さんのことだ。あの人がデートに誘ったことがあるそうだ。考えを読まれて、脈があると思われたに違いないと思うと、おかしくてたまらなかった。一貴、そうだったろう?」
「ああ。その話をしていたところだ。もしかしたら、そうなのかっていう話だ。いや、拓海君は男性が恋愛対象なんだ。でも、好感を持っていたんじゃないかって……」
「ここにいないのに、噂をするのは悪いよ~」
「夏樹。うちの母親に魅力が無いと言いたいのか?あんな人とか思うのか?思ってもいいんだぞ。俺もそう思っている」
「そういう意味じゃないよ。そういうことってデリケートなことだろ。あんただって、噂されたら嫌だろ?ねえ、ユーリー」
「そうだな。僕も思う。真琴さんは元気だと言っていたよ。圭一に電話を掛けたとき、まるで月島君みたいだって言葉で理解してくれて助かった。僕はどう言えばいいのか、少しだけ慌てていたから……」
ユーリーがため息をついた。そして、ママに会った時は緊張していたのだと言いだしたから、俺は彼の肩をさすった。
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