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ユーリーがママと会ったのは小さな頃以来だと言うが、去年のお正月にホテルの宿泊プランで縁日に行った時に、ママに会っている。しかし、俺とユーリーがママが店頭で持っていたアクセサリーケースと荷物をひっくり返してしまい、慌てて拾い上げたから、ユーリーはママと話をしていない状況だった。
ごめんなさいと謝る俺達に、ママは、いいのよと言って笑っていた。そこで、ママはユーリーだと気づいたかも知れないが、ユーリーの方はそうではなかった。記憶の中の人とは大きく違っていたそうだ。
ユーリーが言うには、その時のママは親しみやすい感じの人だったそうだ。だから、全然分からなかったという。小さい頃に会ったママは一言も話さない人であり、笑顔も無かったという。そして、とても綺麗な人だと思ったそうだ。さらには、絵本に出てくる魔女のようだと思ったそうだ。
そのことを思い出していると、黒崎があることを思いだしたと言い出した。小学生の時にお義父さんと二人で行ったお寺の宿坊体験の時のことだそうだ。
「俺は宿坊体験に行く前の日に、ママに部屋に呼び出されてある。“今回は拓海君が同行しないが、私が家から見ている”と言っていた。喘息の発作は出ないはずだということも言っていた。家から見ているというのは、本当のことだったのかも知れない」
「黒崎さん。笑っているね。俺は笑えないよ。霊能力があるなんて知って驚いて、嘘みたいだと思っているんだ。ねえ、帰ったら黒豆を食べて、ママに電話してよ」
「ああ。そうする。今年は面白い正月だ。聖河のことで親父も俺達も心配になって、どうなることやらと思っていたが、思わぬ話が出てきたものだ。いや、夏樹。そんなに俺は笑っているのか?」
「笑っているよ~」
「面白いからだ。親父があの人と付き合い始めたきっかけだったとはな……。何かあるとは思っていた。親父は隠し続けるつもりだった。聖河は今頃、月島さんの家に着いた頃か」
「そうだね。そんな時間だね」
俺はスマホの時計を見た。夕方頃になったら、お義父さんが聖河さんに電話を掛けて、どうだったかと聞くそうだ。お母さんの状態はどうなのかということをだ。黒崎家で争いごとが起こったり、身内に何かあったりしたときには、ママが相談に乗っていたのだろうか。
黒崎家の女主人。ユーリーが言うように一筋縄ではいかない人だとしたら、けっこう頼られていたのでは無いかと思った。だから、お義父さんの家から出て行くときには、何も出来なかった人扱いをされたというママの話は違うことになる。力になっていたし、家のことだってやっていたと思う。それでも居づらくなるというのは、お義父さんとの仲がよっぽどうまくいっていないという事だったのだろう。
ママと再婚した後は、お義父さんは恋人達の家に遊びに行かなくなった。しかし、息子達には父親として会いに行っていた。いずれは養子となり、黒崎家の力を大きくさせる一員としてだ。その集まりがもうすぐで開かれる。ママも出ていたという法事だ。
「黒崎さん。ママのこと、好きになった?二葉もそうだといいな。朝陽もね」
「それなんだが、俺が気持ちは変わらない。あの人のことは嫌いだ。二葉は驚いていた。朝陽の反応もそうかも知れない。一貴、帰ったら何を食うんだ?まだ食べたいそうだったな」
「黒豆の甘煮を食べさせて貰う。ハマりそうだ。僕も煮てみたい。料理を始めてみようか」
「やめておいたら?」
せっかく一貴さんがやる気になっているのに、俺は嫌みを返してしまった。そういうわけで、一貴さんがさらにやりたいこととか今年の抱負を語り出して、その内容がへんてこで、俺達は肩を揺すって笑い続けた。
そして、どれぐらいの時間が経った頃だろうか、車が見慣れた住宅街の坂を上がり始めた。もうすぐで黒崎家に到着する。俺は一貴さんの話し相手をさせられているユーリーのことを助けることもせずに、窓の外を眺めた。そして、見慣れた電柱と家の屋根が見えてきて、ホッとため息をついた。
ごめんなさいと謝る俺達に、ママは、いいのよと言って笑っていた。そこで、ママはユーリーだと気づいたかも知れないが、ユーリーの方はそうではなかった。記憶の中の人とは大きく違っていたそうだ。
ユーリーが言うには、その時のママは親しみやすい感じの人だったそうだ。だから、全然分からなかったという。小さい頃に会ったママは一言も話さない人であり、笑顔も無かったという。そして、とても綺麗な人だと思ったそうだ。さらには、絵本に出てくる魔女のようだと思ったそうだ。
そのことを思い出していると、黒崎があることを思いだしたと言い出した。小学生の時にお義父さんと二人で行ったお寺の宿坊体験の時のことだそうだ。
「俺は宿坊体験に行く前の日に、ママに部屋に呼び出されてある。“今回は拓海君が同行しないが、私が家から見ている”と言っていた。喘息の発作は出ないはずだということも言っていた。家から見ているというのは、本当のことだったのかも知れない」
「黒崎さん。笑っているね。俺は笑えないよ。霊能力があるなんて知って驚いて、嘘みたいだと思っているんだ。ねえ、帰ったら黒豆を食べて、ママに電話してよ」
「ああ。そうする。今年は面白い正月だ。聖河のことで親父も俺達も心配になって、どうなることやらと思っていたが、思わぬ話が出てきたものだ。いや、夏樹。そんなに俺は笑っているのか?」
「笑っているよ~」
「面白いからだ。親父があの人と付き合い始めたきっかけだったとはな……。何かあるとは思っていた。親父は隠し続けるつもりだった。聖河は今頃、月島さんの家に着いた頃か」
「そうだね。そんな時間だね」
俺はスマホの時計を見た。夕方頃になったら、お義父さんが聖河さんに電話を掛けて、どうだったかと聞くそうだ。お母さんの状態はどうなのかということをだ。黒崎家で争いごとが起こったり、身内に何かあったりしたときには、ママが相談に乗っていたのだろうか。
黒崎家の女主人。ユーリーが言うように一筋縄ではいかない人だとしたら、けっこう頼られていたのでは無いかと思った。だから、お義父さんの家から出て行くときには、何も出来なかった人扱いをされたというママの話は違うことになる。力になっていたし、家のことだってやっていたと思う。それでも居づらくなるというのは、お義父さんとの仲がよっぽどうまくいっていないという事だったのだろう。
ママと再婚した後は、お義父さんは恋人達の家に遊びに行かなくなった。しかし、息子達には父親として会いに行っていた。いずれは養子となり、黒崎家の力を大きくさせる一員としてだ。その集まりがもうすぐで開かれる。ママも出ていたという法事だ。
「黒崎さん。ママのこと、好きになった?二葉もそうだといいな。朝陽もね」
「それなんだが、俺が気持ちは変わらない。あの人のことは嫌いだ。二葉は驚いていた。朝陽の反応もそうかも知れない。一貴、帰ったら何を食うんだ?まだ食べたいそうだったな」
「黒豆の甘煮を食べさせて貰う。ハマりそうだ。僕も煮てみたい。料理を始めてみようか」
「やめておいたら?」
せっかく一貴さんがやる気になっているのに、俺は嫌みを返してしまった。そういうわけで、一貴さんがさらにやりたいこととか今年の抱負を語り出して、その内容がへんてこで、俺達は肩を揺すって笑い続けた。
そして、どれぐらいの時間が経った頃だろうか、車が見慣れた住宅街の坂を上がり始めた。もうすぐで黒崎家に到着する。俺は一貴さんの話し相手をさせられているユーリーのことを助けることもせずに、窓の外を眺めた。そして、見慣れた電柱と家の屋根が見えてきて、ホッとため息をついた。
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