青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 食事の時間はたっぷりと用意されていて、2時間もあった。そういうわけで、母の周りには叔父さん達が集まり、お寺の中のように話に花が咲いている。そして、祭壇のの花が小さいと文句を言っていた恒明叔父さんが聖河さんのそばに座り、弟の忠明叔父さんも取り込むようにした。話題にしているのは、どうしても今日聞いておきたいことだという。なんだろうか。

「夏樹。あの叔父さん達は自分の寿命のことで不安になっている。それで診察を受けたいんだろう」
「黒崎さんっ。いけないことを言うなよ~。でも、どうしたのかな?」
「内田さんとの話し合いの結果だよ。私が2人に伝えておいた。聖河の味方が出来る人だ」
「そっか……。それなら静かにしておかないといけないね」

 お義父さんが理由を教えてくれたから、俺達は話し声を小さくした。聖河さんは昨日、実のお父さんの家である内田家に訪ねていき、おばあさんからの遺産相続のことで話し合いを済ませてきたところだ。その内容は聖河さんから聞いてある。

 聖河さんに譲られるはずだった土地にショッピングモールや道路が出来ることは、最初はお父さんは黙っていたそうだ。そこで、もう調べてありますと聖河さんが言うと、お父さんと親戚達は驚き、そして、またしらばっくれようとしたそうだ。話し合いの場にはおばあさんも居て、そんな自分の息子達のことを静観していた様だったという。

 そこで、いつまで経っても建設計画のあるショッピングモールのことで何も言おうとしない息子達に呆れた様子で、おばあさんが聖河さんに話しかけた。そういうわけなのだと。しかし、その土地はあなたに譲るという意志は変わらないから、今から譲ると言った。そこで、聖河さんが土地の売買などをして、財産として受け取ってくれという。

 そして、まだ計画の段階だから分からない部分があるが、立ち退いた土地の代わりにショッピングモールの目の前に宅地ができて、その土地が手に入るだろうということだった。もちろんそこは家が建てられる広さがあり、小さいがマンションにするという人も居るという。ご近所さんになる予定の人達の話だそうだ。

 そこで、聖河さんは譲られるのを断った。いくらショッピングモールが目の前という便利さがあるとはいえ、住み始めると通勤するには遠いからだ。すると、おばあさんがこう言った。宅地を売れば良いじゃないのと。そうすれば今まで掛かった学費相当分の財産になると言ったそうだ。まるで月島さんの話のように。

 そこで聖河さんは実のお父さんとの関わりを立ちたくて、何も要らないと言ったそうだ。その代わり、お父さんとは一切縁を切りたいのだと切り出した。山岸家からの祟りなどと言われて気分が悪いし、昔母にした仕打ちのことが許せないのだと。何が生まれてくる子供のために僕のことを認知ができなかったのだと言い出したのか、ふざけるなと言った。

 そして、聖河さんはこう言った。時々母が体調が悪くなるときがあり、それこそ、内田家からの生き霊のせいなんだろうと言ってやったそうだ。これからもっとおかしな事が起きることも言ってやったという。

 元旦の翌日に聖河さんがお母さんと訪ねた月島さんの家で相談し、色々と見てもらい、話を聞いてあるそうだ。実のお父さんも親戚の人達も、祟りという言葉を信じ切っているようだと。そこを突いていけばいいと聞いてあり、腹が立つからその通りにしたそうだ。それで気持ちがスッキリしたそうだ。

 とにかく何も要らない。そう言って帰ろうとした聖河さんに、実のお父さんがこう言った。都内にある10世帯が入っているアパートを譲ると。そこは古いが頑丈に建ててあるから、しばらく建て直しは必要ではないという。それについては、アパート経営よりも売る方が簡単だと、おばあさんが言ったそうだ。

 そこでまた、学費にして頂戴と言われて、聖河さんは困ってしまった。そこで、母に譲って貰えませんかと言った。養育費の代わりだ。これは聖河さんの意志では無く、月島さんのアドバイスだ。この返事次第で天の動きが変わるということだった。聖河さんとしては、ためしにどうなるか聞いてみたくて、口にしたそうだ。
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