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その後妻は数年前に亡くなった。最後は病院のベッドの上であり、永さんと奥さんが最後が看取ったそうだ。意地悪な後妻だったのに、手厚い看護を受けられて、しかも、最後の瞬間に誰かがいたなんて、なんて恵まれた人なのかと、呆れる思いがしたそうだ。
そして、どうして、自分は義母の病室に居るのか、そして、どうして父の代わりに葬儀を出すことにしたのか、さらに法事を行い、モヤモヤした気持ちを抱える自分のことを妻が支えてくれて、彼女がいるから文句を言ったら罰が当たると思ったそうだ。しかし、色んな人にこの話をしたくなり、満羽も知ってるのだという。
「跡取り息子のような扱いじゃないか。女の子なのに……」
「いいのよ。大事な話だから、今のうちに聞いておいた方がいいのよ。どうしてお母さんは、おじいちゃんとおばあちゃんから、まるで本当の娘のように接されているのかを、満羽には知ってもらたかったから。悲しい思い出があるから、人に意地悪をすることがどんなにいじましくて、悲しいことなのかって、教えてくれたの。それは一昨日のことよ。宏尚君達のことをいじめようと方針を固めた満羽に義父は大事な話をするって言って、その話をしてくれたの。そこで、よく考えて、謝りに行くということにしたのよ」
「お前は宮川に謝らなくてもいいだぞ。さっさと息子がやったことに対処すれば良かった。なにが、たまたま当たっただけだ。大人しいっていう優月ちゃんのことを狙わせたんじゃないか。すまない。恨み言だ」
「いいのよ。義父が同じ事を私に言ったの。だから、転校させようっていう話が出ているの。でも、2人とも慣れている学校だから、今になって変わるのはどうかしらって思っているの」
「中学受験をさせるんだろう?」
「ええ、その予定。4月から塾に通わせるの。うちの旦那が心配しているのは、高学年になった時のクラスの子の様子よ。今はまだ小さいけど、急に変わるじゃない。ガラッとね。だから、女の子の多い学校がいいって、旦那が言うのよ。だから、その学年になる前に私立小学校に変えようって言われたの」
「そうだな。乱暴な子はより乱暴になる。性欲との戦いだ。子孫を残したいという思いから身体が変わってきて、女の子は強い雄の子供を欲しがり、男は女を欲しがる。そこでカーストが出来上がる。まるで大人の世界だ」
「それ、あなたが中学生の時に話してくれた事よね。学生時代の友達はまやかしかも知れないぞって、拓海お兄さんが教えてくれたっていう話だったわね。大人になった後で出来た仲間の方が居やすい。俺はそう思うって。でも、あなたは沙耶ちゃんと桑園くんと付き合いが続いているから、良かったじゃない」
「お前もいるぞ。同級生の結婚披露宴に出たのは、そんなに多くない。ほとんどが大学時代の知り合いばかりだ」
「出席してくれたとき、嬉しかったのよ。私、中学と高校の友達と付き合いがなかったから」
「それもアリだ。お前、今は知り合いが多いだろう。知っているんだぞ。沙耶だって、お前のことを気にしていた。仲が良かったじゃないか。永さんと披露宴で会うと知った時、うちの親父が喜んでいたらしい。俺はその時はもう家を出ていたからな。それでも俺のことを知っていた」
「そうだって聞いたわ。義父だって喜んでいたのよ。黒崎さんのお宅の息子がきてくれるなんてって。今度とは言わずに、家に遊びに来てよ。満羽は少し乱暴な言葉遣いも聞き慣れているから、素を出してくれて良いのよ。義父が満羽の前で野球の中継を見ながら、“打て、コノヤローー”“ばかやろう”って、テレビに向かって言っているから……」
「そうか。永さんの罵声か。それを聞きながら宿題をやっているのか。習い事は何をさせているんだ?」
「ピアノを習わせていたわ。でも、やめたの。自分には向いていないって言うから。旦那が、無理をさせたくないって言ったの。私も旦那も、音楽は得意な方じゃなかったから、似たんだと思うの」
「そうか。春から塾通いをさせるなら、忙しくなる。身体を休めさせることも大事だぞ」
「ええ。でも、満羽ったら、家でゴロゴロしているわよ。おじいちゃんがそうしろって言うからって。全く……」
「いいな。俺もいたい家だ。ああ、もうすぐか……」
住宅街を歩いて行くと、夏樹が月島さんから何かを話しかけられていた。そして、俺はざわざわした気持ちになった。鳥肌も立った。それを不思議と正直に口にすると、真利奈がこう言った。事故物件なんて言いたくないけど、宮川君の住んでいる家はよく住人が変わるって有名な家よと。何かあっての一軒家の賃貸住宅だと察した。何かがあると思った。
そして、どうして、自分は義母の病室に居るのか、そして、どうして父の代わりに葬儀を出すことにしたのか、さらに法事を行い、モヤモヤした気持ちを抱える自分のことを妻が支えてくれて、彼女がいるから文句を言ったら罰が当たると思ったそうだ。しかし、色んな人にこの話をしたくなり、満羽も知ってるのだという。
「跡取り息子のような扱いじゃないか。女の子なのに……」
「いいのよ。大事な話だから、今のうちに聞いておいた方がいいのよ。どうしてお母さんは、おじいちゃんとおばあちゃんから、まるで本当の娘のように接されているのかを、満羽には知ってもらたかったから。悲しい思い出があるから、人に意地悪をすることがどんなにいじましくて、悲しいことなのかって、教えてくれたの。それは一昨日のことよ。宏尚君達のことをいじめようと方針を固めた満羽に義父は大事な話をするって言って、その話をしてくれたの。そこで、よく考えて、謝りに行くということにしたのよ」
「お前は宮川に謝らなくてもいいだぞ。さっさと息子がやったことに対処すれば良かった。なにが、たまたま当たっただけだ。大人しいっていう優月ちゃんのことを狙わせたんじゃないか。すまない。恨み言だ」
「いいのよ。義父が同じ事を私に言ったの。だから、転校させようっていう話が出ているの。でも、2人とも慣れている学校だから、今になって変わるのはどうかしらって思っているの」
「中学受験をさせるんだろう?」
「ええ、その予定。4月から塾に通わせるの。うちの旦那が心配しているのは、高学年になった時のクラスの子の様子よ。今はまだ小さいけど、急に変わるじゃない。ガラッとね。だから、女の子の多い学校がいいって、旦那が言うのよ。だから、その学年になる前に私立小学校に変えようって言われたの」
「そうだな。乱暴な子はより乱暴になる。性欲との戦いだ。子孫を残したいという思いから身体が変わってきて、女の子は強い雄の子供を欲しがり、男は女を欲しがる。そこでカーストが出来上がる。まるで大人の世界だ」
「それ、あなたが中学生の時に話してくれた事よね。学生時代の友達はまやかしかも知れないぞって、拓海お兄さんが教えてくれたっていう話だったわね。大人になった後で出来た仲間の方が居やすい。俺はそう思うって。でも、あなたは沙耶ちゃんと桑園くんと付き合いが続いているから、良かったじゃない」
「お前もいるぞ。同級生の結婚披露宴に出たのは、そんなに多くない。ほとんどが大学時代の知り合いばかりだ」
「出席してくれたとき、嬉しかったのよ。私、中学と高校の友達と付き合いがなかったから」
「それもアリだ。お前、今は知り合いが多いだろう。知っているんだぞ。沙耶だって、お前のことを気にしていた。仲が良かったじゃないか。永さんと披露宴で会うと知った時、うちの親父が喜んでいたらしい。俺はその時はもう家を出ていたからな。それでも俺のことを知っていた」
「そうだって聞いたわ。義父だって喜んでいたのよ。黒崎さんのお宅の息子がきてくれるなんてって。今度とは言わずに、家に遊びに来てよ。満羽は少し乱暴な言葉遣いも聞き慣れているから、素を出してくれて良いのよ。義父が満羽の前で野球の中継を見ながら、“打て、コノヤローー”“ばかやろう”って、テレビに向かって言っているから……」
「そうか。永さんの罵声か。それを聞きながら宿題をやっているのか。習い事は何をさせているんだ?」
「ピアノを習わせていたわ。でも、やめたの。自分には向いていないって言うから。旦那が、無理をさせたくないって言ったの。私も旦那も、音楽は得意な方じゃなかったから、似たんだと思うの」
「そうか。春から塾通いをさせるなら、忙しくなる。身体を休めさせることも大事だぞ」
「ええ。でも、満羽ったら、家でゴロゴロしているわよ。おじいちゃんがそうしろって言うからって。全く……」
「いいな。俺もいたい家だ。ああ、もうすぐか……」
住宅街を歩いて行くと、夏樹が月島さんから何かを話しかけられていた。そして、俺はざわざわした気持ちになった。鳥肌も立った。それを不思議と正直に口にすると、真利奈がこう言った。事故物件なんて言いたくないけど、宮川君の住んでいる家はよく住人が変わるって有名な家よと。何かあっての一軒家の賃貸住宅だと察した。何かがあると思った。
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