429 / 938
13-35
しおりを挟む
俺達は静かに警察と消防の到着を待った。そして、その間に、数多くの近所の人が集まった状態になった。中には泣いている高齢の女性もいた。一貴さんも泣き出して、黒崎が涙を拭いてやっている。宏尚君の声はたった一度だけ聞こえただけだ。さすがに外までは聞こえないのか。すると、真利奈さんが首を横に振った。
「夏樹君。そうでもないのよ。この家、構造は普通だと思うだけど、室内の声が外まで聞こえるんだって噂だったのよ。だから、住人がよく変わるんだと思っていたの。外の声も聞こえるってことだろうと思っていて……。泣き止んだのかしら。どうなっているのかしら……」
「もうすぐで警察が来ると思うから、またインターフォンを鳴らさない方がいいですよ。相手が迷惑を掛けられたって主張してくるケースがあるって聞いたことがあるんです」
「そうなのね……。あ、来てくれた!」
するとその時だ。遠くの方から、パトカーのサイレンがいくつも重なって聞こえてきた。そして、その音はだんだんと近くに来て、3台のパトカーと、1台の普通車がサイレン灯を灯して、家の前に到着した。集まっている俺達と近所の人は道を空けて、下りてきた警察官に対して、通報者の黒崎が手を振った。
「あなたが通報をされた方ですか?」
「はい。黒崎です。この家の住人の同級生です。……夏樹。動画を撮っている人が居るかも知れない。画面に映らないようにしろ」
「うん。満羽ちゃん、こっちに来ようね」
「うん。あ、消防車だ!……美紀ちゃん!今助けるからね!」
すると、消防車のサイレンが近づいてきた。レスキュー車もだ。そして、家のそばに到着した。そして、数人の消防隊が下りてきた。警察官と話をしている人も居る。その間に警察がインターフォンを鳴らし、奥さんが出てくるのを待ち始めた。しかし、何度鳴らしても応答が無いようで、俺たちはまさかという思いがよぎった。まさか無理心中などでは無いかという思いだ。
そして、集まっている近所の人達がまた場所を移動した。警察と消防隊員が、ベランダにいる美紀さんのことを救出するためだ。それにはレスキュー車からハシゴが出されて、すぐにベランダに組まれた。もうすぐで助けられる。体温は大丈夫だろうか。そんなことをハラハラしながら見守っている間も、一貴さんが満羽さんと月島さんとで美紀さんに話しかけている。安心させるためだ。玄関には数人の警察官がいて、中から奥さんが出てくるのを待っている。
「夏樹。ベランダから中に入るそうだ」
「それしか無いよね……。あ、たどり着いた……」
ベランダには数人の消防隊が立ち、美紀さんに話しかけた。そして、俺にはこういう姿が見られた。ベランダに居る5体の霊体が美紀さんのそばに集まり、すっと消えていく姿をだ。そして、美紀さんに光が差した後、俺は自然と涙が流れた。月島さんに聞くと、あの光は、美紀さんと宏尚君のことを守っている先祖だということだった。
そして、彼女のことを背負うようにして装置が取り付けられた。辺りは灯りが灯されるように明るくなり、それはパトカーのサイレンからの光なのか、消防隊員が付けている灯りなのかと思った。しかし、それだけではないようだった。空は快晴で、満月だから月が大きくて、しかも、スーパームーンという月だから、夜なのに明るいのだと分かった。
そして、少し経ち、ハシゴを伝って、美紀さんのことが救出されて、みんなから自然とため息が漏れた。安堵のため息と、こういうことが起きて残念だというため息だと思った。消防隊員に背負われた美紀さんは小さく震えていて、すぐに毛布が掛けられて、救急車の担架に寝かされた。そして、彼女が満羽さんの名前を呼んだ。
「満羽ちゃん……」
「美紀ちゃん、ごめんね!宏尚君にも謝るからね!警察の人が家の中に入っていくんだって!だから、助けて貰えるよ!」
「うん……。おばさん……」
美紀さんが真利奈さんのことを呼んだ。真利奈さんはそばに居て、毛布にくるまれている美紀さんは手を伸ばすことができなくて、涙を流し始めた。そんな美紀さんに、真利奈さんがもう大丈夫だと言った。そして、美紀さんが救急車の中に運ばれていった。
「……おい!」
「止まって下さい!」
「え……」
すると、玄関から物音がした後、大柄な男性が飛び出してきた。警察官が静止させようと取り囲んでいる。しかし、一人の男性警察官に攻撃するように何度も身体を押し、門の外まで出てきた。そして、逮捕された。公務執行妨害だ。そういうことだと思った。
そして、すぐに警察官と消防隊員が家の中に入り、男の子を救出したという報告が聞こえてきた。怪我はしていないだろうか。俺達がそっと見守っている中、担架が運び込まれて、毛布にくるまれている宏尚君が救出されて家の中から出てきた。その姿にも光が灯っていた。
「宏尚君!」
「満羽!」
満羽さんが飛び出して宏尚君のそばに行こうとして、真利奈さんが止めた。宮川さんが暴れ始めたからだ。そして、数人の警察官によって宮川さんが警察車両に乗せられた。さらに家の中から女性が出てきたが、女性警察官と男性警察官に付き添われて歩き、その足下はフラついているようだった。
その姿を見守り、そして、俺達は辺りが静かになるまで待ち、事情を説明するということで、真利奈さんと黒崎が警察官と話を始めた。そして、場所を警察署に移すことになった。俺は満羽さんと一貴さんとで手を繋ぎ、今日のことを忘れられないと思って、唇を引き締めた。
「夏樹君。そうでもないのよ。この家、構造は普通だと思うだけど、室内の声が外まで聞こえるんだって噂だったのよ。だから、住人がよく変わるんだと思っていたの。外の声も聞こえるってことだろうと思っていて……。泣き止んだのかしら。どうなっているのかしら……」
「もうすぐで警察が来ると思うから、またインターフォンを鳴らさない方がいいですよ。相手が迷惑を掛けられたって主張してくるケースがあるって聞いたことがあるんです」
「そうなのね……。あ、来てくれた!」
するとその時だ。遠くの方から、パトカーのサイレンがいくつも重なって聞こえてきた。そして、その音はだんだんと近くに来て、3台のパトカーと、1台の普通車がサイレン灯を灯して、家の前に到着した。集まっている俺達と近所の人は道を空けて、下りてきた警察官に対して、通報者の黒崎が手を振った。
「あなたが通報をされた方ですか?」
「はい。黒崎です。この家の住人の同級生です。……夏樹。動画を撮っている人が居るかも知れない。画面に映らないようにしろ」
「うん。満羽ちゃん、こっちに来ようね」
「うん。あ、消防車だ!……美紀ちゃん!今助けるからね!」
すると、消防車のサイレンが近づいてきた。レスキュー車もだ。そして、家のそばに到着した。そして、数人の消防隊が下りてきた。警察官と話をしている人も居る。その間に警察がインターフォンを鳴らし、奥さんが出てくるのを待ち始めた。しかし、何度鳴らしても応答が無いようで、俺たちはまさかという思いがよぎった。まさか無理心中などでは無いかという思いだ。
そして、集まっている近所の人達がまた場所を移動した。警察と消防隊員が、ベランダにいる美紀さんのことを救出するためだ。それにはレスキュー車からハシゴが出されて、すぐにベランダに組まれた。もうすぐで助けられる。体温は大丈夫だろうか。そんなことをハラハラしながら見守っている間も、一貴さんが満羽さんと月島さんとで美紀さんに話しかけている。安心させるためだ。玄関には数人の警察官がいて、中から奥さんが出てくるのを待っている。
「夏樹。ベランダから中に入るそうだ」
「それしか無いよね……。あ、たどり着いた……」
ベランダには数人の消防隊が立ち、美紀さんに話しかけた。そして、俺にはこういう姿が見られた。ベランダに居る5体の霊体が美紀さんのそばに集まり、すっと消えていく姿をだ。そして、美紀さんに光が差した後、俺は自然と涙が流れた。月島さんに聞くと、あの光は、美紀さんと宏尚君のことを守っている先祖だということだった。
そして、彼女のことを背負うようにして装置が取り付けられた。辺りは灯りが灯されるように明るくなり、それはパトカーのサイレンからの光なのか、消防隊員が付けている灯りなのかと思った。しかし、それだけではないようだった。空は快晴で、満月だから月が大きくて、しかも、スーパームーンという月だから、夜なのに明るいのだと分かった。
そして、少し経ち、ハシゴを伝って、美紀さんのことが救出されて、みんなから自然とため息が漏れた。安堵のため息と、こういうことが起きて残念だというため息だと思った。消防隊員に背負われた美紀さんは小さく震えていて、すぐに毛布が掛けられて、救急車の担架に寝かされた。そして、彼女が満羽さんの名前を呼んだ。
「満羽ちゃん……」
「美紀ちゃん、ごめんね!宏尚君にも謝るからね!警察の人が家の中に入っていくんだって!だから、助けて貰えるよ!」
「うん……。おばさん……」
美紀さんが真利奈さんのことを呼んだ。真利奈さんはそばに居て、毛布にくるまれている美紀さんは手を伸ばすことができなくて、涙を流し始めた。そんな美紀さんに、真利奈さんがもう大丈夫だと言った。そして、美紀さんが救急車の中に運ばれていった。
「……おい!」
「止まって下さい!」
「え……」
すると、玄関から物音がした後、大柄な男性が飛び出してきた。警察官が静止させようと取り囲んでいる。しかし、一人の男性警察官に攻撃するように何度も身体を押し、門の外まで出てきた。そして、逮捕された。公務執行妨害だ。そういうことだと思った。
そして、すぐに警察官と消防隊員が家の中に入り、男の子を救出したという報告が聞こえてきた。怪我はしていないだろうか。俺達がそっと見守っている中、担架が運び込まれて、毛布にくるまれている宏尚君が救出されて家の中から出てきた。その姿にも光が灯っていた。
「宏尚君!」
「満羽!」
満羽さんが飛び出して宏尚君のそばに行こうとして、真利奈さんが止めた。宮川さんが暴れ始めたからだ。そして、数人の警察官によって宮川さんが警察車両に乗せられた。さらに家の中から女性が出てきたが、女性警察官と男性警察官に付き添われて歩き、その足下はフラついているようだった。
その姿を見守り、そして、俺達は辺りが静かになるまで待ち、事情を説明するということで、真利奈さんと黒崎が警察官と話を始めた。そして、場所を警察署に移すことになった。俺は満羽さんと一貴さんとで手を繋ぎ、今日のことを忘れられないと思って、唇を引き締めた。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
きっと必ず恋をする~初恋は叶わないっていうけど、この展開を誰が予想した?~
野々乃ぞみ
BL
渡辺 真詞(わたなべ まこと)は小さい頃から人ではないモノが見えた。
残念ながら話もできたし、触ることもできた。
様々なモノに話しかけられ、危ない目にもあってきた。
そんなとき、桜の下で巡(めぐる)に出会った。
厳しいけど優しい巡は特別な存在になった。
きっと初恋だったのに、ある日忽然と巡は消えた。
それから五年。
地元から離れた高校に入った十六歳の誕生日。
真詞の運命が大きく動き出す。
人とは違う力を持つ真詞が能力に翻弄されつつも、やっと再会した巡と恋をするけど別れることになる話。(前半)
別れを受け入れる暇もなくトレーニングが始まり、事件に巻き込まれて岬に好かれる話。(後半)
・前半 巡(人外)×真詞
・後半 岬(人間)×真詞
※ 全くの別人ではありませんが、前半と後半で攻めが変わったと感じるかもしれません。
※ キスを二回程度しかしないです。
※ ホラーではないつもりですが、途中に少し驚かすようなシーンがあります。ホラーのホの字もダメだという方は自己判断でお願いします。
※ 完結しました。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる