青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 2月8日、日曜日。午前10時。

 宮川さんの家で起きた出来事から2週間が経った。警察と消防が来た後、2人の子供が救出されて、黒崎と真利奈さんが警察署で事情が聞かれた。それは数回あった。そして、黒崎は拘留中の宮川さんに会いに、警察署に出向いた。しっかりしろと励ますためだ。

 宮川さんは逮捕された後、まだ警察署にとどめ置かれている。取り調べのためだ。逮捕時の興奮状態から薬物の使用を疑われて、その後、家宅捜査が行われて、その際に麻薬が見つかった。その後は面会ができない状態になり、黒崎は心配をしている。

 この逮捕は大きく新聞報道されて、テレビのニュースでも扱われた。小学校教師による子供の虐待と薬物使用の件では、宮川さんの勤務先の学校では騒ぎになり、受け持っていたクラスの子供達はショックを受けていたそうだ。

 美紀さんがベランダに出されたのは今回が初めてのことだったが、言うことを聞かない宏尚君に対しては、宮川さんが強く叱りつけて、日頃から金槌を振り上げられて、まるで威嚇のようにされていたことが分かった。奥さんは宮川さんの言うことを聞くしか無くて、その行為を止められなかったし、宮川さんの命令で美紀さんのことをベランダに出して、鍵を閉めた。2人に怪我は無かったが、心の傷が大きく、宏尚君はまだ入院をしている。美紀さんは2日後に退院ができた。

 美紀さんは施設で保護されている。逮捕された両親の代わりに世話が出来る状態の身内がいなくて、誰も会いに来ていない状態だ。宮川さんの義理の父親である国会議員の本山さんと、宮川さんのお母さんは体調不良で入院しているからだ。そして、奥さんの方の親は遠方で、今は息子さんのところで生まれた赤ちゃんの面倒を見る時間が必要で、孫に会いに来れないという回答だったという。出生後に病気をして、やっと退院できた状態なのだという。そして、何よりも娘である奥さんが実家の親との面会を拒み、美紀さんは会えない状態だ。

 美紀さん達は親元に帰される見込みは無く、早急に里親が探された。都内にある施設は今の校区内には空きがなく、学校を転校しないといけないかも知れない状態だった。そこで、同じ校区内で見つからないかと思っていたら、なんと、田川永さんの家の目と鼻の先の家に住んでいる、橋本さん夫婦が候補に挙がった。

 2人は同級生夫婦であり、36歳同士でまだ若く、身体も頑丈だということだ。ニュースを見て今回の件を知り、また、田川家の方から話をされて、美紀さん達を迎えたいと言った。

 偶然にも、旦那さんは、黒崎製菓の営業企画部の橋本部長の従兄弟だった。そういうこともあり、縁があるということで、里親に選ばれそうだ。しかし、橋本さん夫婦は里親の研修会に出て、研修を終えたばかりで里親の経験が初めてであり、双子を迎えるのは難しいのではないかと心配する親戚の声があったそうだが、2人はやってみせると言った。

 これで学校を転校しなくてもいい。環境も整えられ始めている。しかし、学校の件では、そうでもない事情になった。美紀さんがまだ登校できなかった頃に、ニュースを見て事情を知った同じ学校の5年生達が美紀さん達に会いに来たそうだ。しかし、欠席しているからということで、第一発見者とあだ名を付けられた満羽さんが彼女らに取り囲まれて、色々と事情を聞かれたそうだ。いじめだ。そういうことだ。

 しかし、満羽さんはしっかりと対応し、答えられないと言って、5年生達を拒絶した。そこで髪の毛を引っ張られるという暴行を受けて、田川さん一家が怒りに震えて、学校を転校させると言った。優月さんも一緒にだ。

 そこで、美紀さん達のことも心配した橋本さん夫婦が、2人も転校させると言った。夫婦が城川学園の卒業生であることから、その学校が良いということになった。そこで、満羽さんと優月さんも、お伴することにした。

 しかし、受け入れ先の城川学園はどうだろうか。生徒に馴染めるだろうか。そんな心配をした俺達だったが、学校のことでは蓮子さんが動き、古くからの親しい人がこの学校の卒業生であり、親戚の子が在校生であることから、まずは保護者に話がされて、彼女達が入学してきたら優しくしましょうという声が集まり、いつでも受け入れ可能という状況になった。橋本さん夫婦が里親になれば、その学校に行ける。そういうわけもあって、里親に決まりそうだ。

 しかし、美紀さん達としては今のままの学校の方がいいと言ったそうだ。しかし、ここにいてもいじめられるだけだと思い、新天地を歩こうという勇気が出てきているそうだ。

 今の小学校に入る直前に名前の読みを変えられてしまったのは、国会議員ののおじいさんが孫の評判を気にしたからだ。宏尚君が乱暴な子だと幼稚園で言われてしまい、友達から除け者にされたそうだ。そんな孫を恥ずかしいと言い、宮川さん夫婦に命じて引っ越しをさせて、名前の読みまで変えさせたことが分かった。その宏尚君は病室では落ち着いていて、しっかりとした口調で受け答えが出来るのだという。
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