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そこで、俺はベッドサイドのテーブルに置いてあるスマホを手に取った。ステージで撮った自分の顔をアイコンにしたいと思った。去年11月のコンサートのやつだ。仕事でカメラマンに撮って貰った写真もあるが、あれは仕事で使うためのものであり、私用は認められていない。コンサートの分は構わない。俺が自分でステージで撮ったからでもある。
「俺、ステージの写真にするよ。だって、お母さんがダコスってファミレスのパフェをアイコンにしているんだ。万理は桜の花だもん。でも、空の写真でも良いと思うけど……」
「物を設定すると良いそうだ。人物も良い。ステージの写真にしておけ」
「うん。ああ、ユーリーとカズ兄さんもアイコンを変えたんだね。2人ともシュークリームとプリンだよ。お兄ちゃんが言ったの?」
「ああ、提案させて貰った。シュークリームは包むという意味がある。プリンが卵がたくさん使われている。シュークリームにも使ってあるけどな」
「お兄ちゃんのシュークリーム、食べたいよ。あ……」
迂闊なことを口にしてしまった。伊吹の得意料理の一つだ。食べきれないほどたくさんのシュークリームが我が家に届くことになってしまう。伊吹の作るシュー生地もカスタードクリームもふんわりしていて美味しい。牧場ミルクという商品名の牛乳を使ってある。そこで、大学のカフェのカフェラテを思い出した。みんな、学食で昼ご飯を食べるはずだったのに、予定が変わってしまった。また別の日に連れて行こうと思った。そう思えるぐらいに気持ちが回復している。
「お兄ちゃん。俺にシュークリームを作ってよ。黒崎さんだって、一つぐらいは食べると思うんだ」
「そのことだけどな。ユリウスさんから聞いたんだが、ドイツではエミリアさんの店でパフェを食べたそうだ。クッキーもだ。甘い物を食べないのは好き嫌いじゃない。本人の意志だ。そこで、黒崎さんにも甘い物を食べて貰うことにしたんだ。お前の言うとおり、シュークリームを焼いて持っていこうと思っていた」
「ありがとう。食べたくなったんだ。うち、家族数が多いからさ」
「ああ、持って行く。来月で良いか?」
「もちろんいいよ。今日も明日も忙しいんだからさ。……そろそろ出る?」
「ああ。空港でゆっくりめに土産を選ぶことにする。高血圧のおじいちゃんなら、甘い物なら何でも食べても良さそうだ。おばあちゃんも医者から禁止されていないようだ。まあ、俺が話してくるから、お前はゆっくりしていろ。こういうことは長男の俺がすると良いんだ。長男っていうのは、そういうものだ。そうですよね?ユリウスさん……」
「ああ。うちの兄さんを見ているとそう思う。次男は気楽とまでは言わないけど、気が抜けるタイミングがある」
ユーリーが微笑んだ。一貴さんもだ。そして、部屋から出ていく伊吹のことを見送った。ベッドにはさっきまで座っていた伊吹の温もりがある。きっと、待合室にいる聡太郎達と話した後、長谷部さんに俺のことを頼んで病院を出るのだろう。
「聡太郎君、ご飯、どうするのかな……」
「食事に誘う。この近くにあるうなぎ屋で食べた後、隣でカツサンドをテイクアウトしてもいい」
「うん。そうしてあげて……」
ユーリーの提案に頷いて、ホッとした。聡太郎は伊吹と同じ家に住んでいるとはいえ、しばらく別々の食事をしていたことは知っている。料理が全く作れない聡太郎の食事の世話をしているのは伊吹だ。大事な手を怪我させてはならないし、腱鞘炎のこともあるから、伊吹は聡太郎にキッチンに立たせない。そういうわけで、2人の食事はテイクアウトが多かったそうだ。フレンドリーラブリーという店のモーニングセットや、アフタヌーンセット、ディナーセットだ。月替わりでメニューが変わるから、変化に富んでいる。しかも野菜多めのメニューがセットになっているから、健康にも良い。しかし、俺達の家からは少し離れているから、なかなか買いに行けない。
思わずそのことをつぶやくと、一貴さんが明日買ってくると言ってくれた。早瀬さんの家から近いから、遊びに行くときによく寄っている。こうして頻繁に早瀬さんのところにお邪魔して面倒を見てもらっているから、何かお礼をしないといけない。それだけ一貴さんが手が掛かる人だからだ。
「俺、ステージの写真にするよ。だって、お母さんがダコスってファミレスのパフェをアイコンにしているんだ。万理は桜の花だもん。でも、空の写真でも良いと思うけど……」
「物を設定すると良いそうだ。人物も良い。ステージの写真にしておけ」
「うん。ああ、ユーリーとカズ兄さんもアイコンを変えたんだね。2人ともシュークリームとプリンだよ。お兄ちゃんが言ったの?」
「ああ、提案させて貰った。シュークリームは包むという意味がある。プリンが卵がたくさん使われている。シュークリームにも使ってあるけどな」
「お兄ちゃんのシュークリーム、食べたいよ。あ……」
迂闊なことを口にしてしまった。伊吹の得意料理の一つだ。食べきれないほどたくさんのシュークリームが我が家に届くことになってしまう。伊吹の作るシュー生地もカスタードクリームもふんわりしていて美味しい。牧場ミルクという商品名の牛乳を使ってある。そこで、大学のカフェのカフェラテを思い出した。みんな、学食で昼ご飯を食べるはずだったのに、予定が変わってしまった。また別の日に連れて行こうと思った。そう思えるぐらいに気持ちが回復している。
「お兄ちゃん。俺にシュークリームを作ってよ。黒崎さんだって、一つぐらいは食べると思うんだ」
「そのことだけどな。ユリウスさんから聞いたんだが、ドイツではエミリアさんの店でパフェを食べたそうだ。クッキーもだ。甘い物を食べないのは好き嫌いじゃない。本人の意志だ。そこで、黒崎さんにも甘い物を食べて貰うことにしたんだ。お前の言うとおり、シュークリームを焼いて持っていこうと思っていた」
「ありがとう。食べたくなったんだ。うち、家族数が多いからさ」
「ああ、持って行く。来月で良いか?」
「もちろんいいよ。今日も明日も忙しいんだからさ。……そろそろ出る?」
「ああ。空港でゆっくりめに土産を選ぶことにする。高血圧のおじいちゃんなら、甘い物なら何でも食べても良さそうだ。おばあちゃんも医者から禁止されていないようだ。まあ、俺が話してくるから、お前はゆっくりしていろ。こういうことは長男の俺がすると良いんだ。長男っていうのは、そういうものだ。そうですよね?ユリウスさん……」
「ああ。うちの兄さんを見ているとそう思う。次男は気楽とまでは言わないけど、気が抜けるタイミングがある」
ユーリーが微笑んだ。一貴さんもだ。そして、部屋から出ていく伊吹のことを見送った。ベッドにはさっきまで座っていた伊吹の温もりがある。きっと、待合室にいる聡太郎達と話した後、長谷部さんに俺のことを頼んで病院を出るのだろう。
「聡太郎君、ご飯、どうするのかな……」
「食事に誘う。この近くにあるうなぎ屋で食べた後、隣でカツサンドをテイクアウトしてもいい」
「うん。そうしてあげて……」
ユーリーの提案に頷いて、ホッとした。聡太郎は伊吹と同じ家に住んでいるとはいえ、しばらく別々の食事をしていたことは知っている。料理が全く作れない聡太郎の食事の世話をしているのは伊吹だ。大事な手を怪我させてはならないし、腱鞘炎のこともあるから、伊吹は聡太郎にキッチンに立たせない。そういうわけで、2人の食事はテイクアウトが多かったそうだ。フレンドリーラブリーという店のモーニングセットや、アフタヌーンセット、ディナーセットだ。月替わりでメニューが変わるから、変化に富んでいる。しかも野菜多めのメニューがセットになっているから、健康にも良い。しかし、俺達の家からは少し離れているから、なかなか買いに行けない。
思わずそのことをつぶやくと、一貴さんが明日買ってくると言ってくれた。早瀬さんの家から近いから、遊びに行くときによく寄っている。こうして頻繁に早瀬さんのところにお邪魔して面倒を見てもらっているから、何かお礼をしないといけない。それだけ一貴さんが手が掛かる人だからだ。
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