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3分後。一貴さんがトイレを済ませて出てきた。なんだかさっきまでの顔つきと違うから聞いてみると、ヨークがやって来たのだという。つまりは“島川社長”になっているということだ。それなら安心できる。大人だからだ。
「そっか。ヨークが来てくれたんだね。カズ兄さんの危機の時に訪れるヨークが……」
「夏樹君。今日は誕生日おめでとう。23歳になったな。一貴君は静かにしている。この間、歯科医院に行ったときは普段通りだったんだけど、虫歯治療をしたときの記憶が蘇ってね。この通り、僕が出てきた。ウーリもいる。……夏樹君。誕生日おめでとう」
「ありがとう。朝陽にも会いたかったんだろ。あれ?ヨーク、落ち着かないね?」
「ああ、しまった。一貴君が自分が話すと言っている。……夏樹君。助けてくれ。ヨークとウーリが、僕に虫歯治療の時のことを思い出させたんだ。過去に向き合えと言っている。僕は嫌だ。もう虫歯はない。作らない。定期的にクリーニングもしている」
「ああ、やっぱり……」
俺はそうなのかと相づちを打つと、一貴さんの顔つきが元通りになった。トイレに入る前の一貴さんだ。手の掛かる人だ。俺達は一貴さんの手を引くようにして歩き出した。
さて、口腔外科210番受付はどこだったか。目の前に広がっている光景を見て、ここが検査室が並んでいる階だったと思い出して、エレベーターに乗った。そして、2階に着き、ずらっと並んだ番号を見て、一番奥にあることを思い出した。
「そうそう。ここの奥だよ。科名は出ていないんだよねえ」
「夏樹。先に行っていろ。受付を済ませてこい」
「どうしたの?」
「一貴が震えて歩けなくなっている」
「マジで?カズ兄さん。大丈夫だよーーー。あんたの抜歯じゃないんだからさ~」
本当に一貴さんが立ち止まって動けなくなっていた。それに対してお義父さんは一貴さんに、一緒に1階に下りていようかと言った。しかし、一貴さんは首を横に振って、なんとか一歩を踏み出した。そして、俺は先に行くように、黒崎に促された。
「夏樹。行ってこい」
「まだ時間があるからいいよ。はいはい。カズ兄さん。行くよ。待っている間、大丈夫かな。何か音が聞こえてきたら思い出すんじゃないの。廊下の待合にいた方が良いよね。診察室の前の待合だと、先生の話が聞こえたよね。ああ、歩けるね」
一貴さんが歩き始めたから、ヨークが歩かせているのだと思った。ここに宇宙人がいる。待合にいる人達に言いたいぐらいだ。この中にも同じように宇宙人が一緒に来ている人が居るに決まっていると思った。待合にいる人も偶然ここに集まったわけではなく、必然なのだと、ヨークが話していたからだ。
すると、ある待合の椅子に座っている人が俺の名前を呼んだ。それには会釈を返した。テレビを観たよという声には、ありがとうございますと答えた。そして、黒崎を見てかっこいいと言っている女性の声には胸がドキッとした。久しぶりに聞いた言葉だ。黒崎のことは見て欲しくない。
「ああーーー、もうーーー。あんたを見て、石みたいになっているよ。こんな時はどうするんだっけ?」
「落ち着くまで待つ。そのうち俺のことは忘れる」
「そうだったね。静かに立ち去るんだ。モテる旦那がいる人って困るよねーー」
そんなことを話しているうちに、目的地に到着した。俺は受付票を窓口の人に渡した後、中の待合に入るように案内を受けた。時計を見るとちょうど良い時間だ。
中の待合には4人で入った。各先生の部屋があり、出入り口はカーテンで仕切られているから、中の声が聞こえてきた。だから、俺が痛いと言ったり、怖がったりしている声まで、みんなに聞こえるということだ。待合のソファーも広めであり、俺達しか居ないから、遠慮無く、黒崎達3人を座らせて貰った。
「そっか。ヨークが来てくれたんだね。カズ兄さんの危機の時に訪れるヨークが……」
「夏樹君。今日は誕生日おめでとう。23歳になったな。一貴君は静かにしている。この間、歯科医院に行ったときは普段通りだったんだけど、虫歯治療をしたときの記憶が蘇ってね。この通り、僕が出てきた。ウーリもいる。……夏樹君。誕生日おめでとう」
「ありがとう。朝陽にも会いたかったんだろ。あれ?ヨーク、落ち着かないね?」
「ああ、しまった。一貴君が自分が話すと言っている。……夏樹君。助けてくれ。ヨークとウーリが、僕に虫歯治療の時のことを思い出させたんだ。過去に向き合えと言っている。僕は嫌だ。もう虫歯はない。作らない。定期的にクリーニングもしている」
「ああ、やっぱり……」
俺はそうなのかと相づちを打つと、一貴さんの顔つきが元通りになった。トイレに入る前の一貴さんだ。手の掛かる人だ。俺達は一貴さんの手を引くようにして歩き出した。
さて、口腔外科210番受付はどこだったか。目の前に広がっている光景を見て、ここが検査室が並んでいる階だったと思い出して、エレベーターに乗った。そして、2階に着き、ずらっと並んだ番号を見て、一番奥にあることを思い出した。
「そうそう。ここの奥だよ。科名は出ていないんだよねえ」
「夏樹。先に行っていろ。受付を済ませてこい」
「どうしたの?」
「一貴が震えて歩けなくなっている」
「マジで?カズ兄さん。大丈夫だよーーー。あんたの抜歯じゃないんだからさ~」
本当に一貴さんが立ち止まって動けなくなっていた。それに対してお義父さんは一貴さんに、一緒に1階に下りていようかと言った。しかし、一貴さんは首を横に振って、なんとか一歩を踏み出した。そして、俺は先に行くように、黒崎に促された。
「夏樹。行ってこい」
「まだ時間があるからいいよ。はいはい。カズ兄さん。行くよ。待っている間、大丈夫かな。何か音が聞こえてきたら思い出すんじゃないの。廊下の待合にいた方が良いよね。診察室の前の待合だと、先生の話が聞こえたよね。ああ、歩けるね」
一貴さんが歩き始めたから、ヨークが歩かせているのだと思った。ここに宇宙人がいる。待合にいる人達に言いたいぐらいだ。この中にも同じように宇宙人が一緒に来ている人が居るに決まっていると思った。待合にいる人も偶然ここに集まったわけではなく、必然なのだと、ヨークが話していたからだ。
すると、ある待合の椅子に座っている人が俺の名前を呼んだ。それには会釈を返した。テレビを観たよという声には、ありがとうございますと答えた。そして、黒崎を見てかっこいいと言っている女性の声には胸がドキッとした。久しぶりに聞いた言葉だ。黒崎のことは見て欲しくない。
「ああーーー、もうーーー。あんたを見て、石みたいになっているよ。こんな時はどうするんだっけ?」
「落ち着くまで待つ。そのうち俺のことは忘れる」
「そうだったね。静かに立ち去るんだ。モテる旦那がいる人って困るよねーー」
そんなことを話しているうちに、目的地に到着した。俺は受付票を窓口の人に渡した後、中の待合に入るように案内を受けた。時計を見るとちょうど良い時間だ。
中の待合には4人で入った。各先生の部屋があり、出入り口はカーテンで仕切られているから、中の声が聞こえてきた。だから、俺が痛いと言ったり、怖がったりしている声まで、みんなに聞こえるということだ。待合のソファーも広めであり、俺達しか居ないから、遠慮無く、黒崎達3人を座らせて貰った。
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