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お大事に。先生からそう言って送り出されるようにして診察室から出てきた。待合を見ると、一貴さんが黒崎の方にすがりついて目を閉じていた。よっぽど怖かったのだろう。
「お義父さん。カズ兄さん、泣いていてたの?」
「いや、震えただけで泣いていない。5歳の時に虫歯が出来たことがある。歯科医院に連れて行った。全く、あの人はこの子に虫歯を作ってしまって……。このとおり、今でも怖がっている」
あの人とは、蓮子さんのことだ。虫歯治療の怖い記憶とは、その頃の物だったのか。それなら怖かっただろう。大人でも怖い人が居るのに、小さかったらなおさらだ。
すると、一貴さんが顔を上げた。そして、俺に、どうだったかと聞いていたから、大丈夫だよと答えた。
「夏樹君。今の痛みはどうだ?」
「今はまだ麻酔が効いているから痛くないよ。3時間ぐらい効いているんだって。葉月から聞いたんだけど、麻酔が切れる前に痛み止めを飲んでおいた方が良いんだってさ。切れたら痛みがどーーんと来るから、その前にって……。さあ、外に出ようよ」
「そうか。薬を受け取らないといけないな。急いで行こう」
「カズ兄さん。ゆっくりでいいよ。まだ麻酔が切れるまで時間があるからさ。黒崎さん。カズ兄さんを引き剥がすよ……」
「ああ。離れてくれない。一貴。もう終わった。お前は虫歯治療をしなくていい」
「よいっしょっと……。カズ兄さん、大丈夫だってば……」
やれやれと思いながら一貴さんのことを立たせて、待合から出た。すると、すぐに受付から呼ばれて、精算機で使うバーコードを渡された。処方箋はすでに先生から受け取ってある。今から一階に戻って会計を済ませて、薬局で薬を受け取って終わりだ。薬を飲むための水をコンビニで買っておかないといけない。
「黒崎さん。コンビニに寄ろうよ。お水を買いたいんだ」
「そうだったな。本当に痛みはないのか?」
「まだ無いよ。感覚が無いから話すづらい感じ。舌を噛まないようにしないといけなくて……」
「すまない。喋らせてしまった」
「いいんだよ」
俺達は口腔外科を出て、一階に下りた。会計の準備が出来たら番号がモニターに表示されるそうだ。しかし、まだ俺の番が来ない。その間に水を買いに行こうとしたら、黒崎が買いに行ってくれた。俺はお義父さんと一貴さんとで椅子に座り、待った。
「2人とも、トイレは行かなくていいの?カズ兄さん、カフェオレ、全部飲んだ?」
「トイレはまだいい。カフェオレは半分飲んだ。お父さん、行かなくていいんですか?」
「私はいい。まだ9時半だ。手術が時間通りに終わって良かった。案外早く歯が抜けたね」
「うん。……んん。口の中が違和感があるよ……」
ホッとしたら口の中に違和感が起きてきた。右側は感覚が無いが、歯を抜いたの傷口があることで身体が驚いているようだ。やっぱり喋らない方が良さそうだ。
「……」
「そうだ。喋らない方がいい」
「そうだぞ。夏樹君。しばらく黙っておいた方が良い」
「……」
2人の言葉には頷くだけにしておいた。すると、黒崎がコンビニから戻ってきた。大きな袋を下げている。袋の中を見てみると、ドーナツがいくつも入っていた。柔らかいやつだ。これなら口の中で溶けるから、お昼ご飯に食べられる。
「今日だけ特別だ。いくらでも食え」
「……」
「そうか。喋らないことにしたのか。分かった。お前は黙っていろ。この先は俺が話す」
「……」
黒崎が俺の隣に座った。そして、みんなでモニターを見上げると、俺の番号が出ていた。さっそく黒崎が立ち上がり、俺からバーコードを受け取って、自動精算機に向かっていった。
その後ろ姿を眺めていると、あちこちから黒崎を見て悲鳴が上がった。滅多に見れないほどかっこいい人がいるということなのか。近くにはカフェの出入り口があり、出てきた人も黒崎を見て驚いていた。こんなに驚かれるのは久しぶりのことだから、いつも同じ場所しか行かないからだと思った。こうしてどこか別の場所に出かけても良いなと思った。
「お義父さん。カズ兄さん、泣いていてたの?」
「いや、震えただけで泣いていない。5歳の時に虫歯が出来たことがある。歯科医院に連れて行った。全く、あの人はこの子に虫歯を作ってしまって……。このとおり、今でも怖がっている」
あの人とは、蓮子さんのことだ。虫歯治療の怖い記憶とは、その頃の物だったのか。それなら怖かっただろう。大人でも怖い人が居るのに、小さかったらなおさらだ。
すると、一貴さんが顔を上げた。そして、俺に、どうだったかと聞いていたから、大丈夫だよと答えた。
「夏樹君。今の痛みはどうだ?」
「今はまだ麻酔が効いているから痛くないよ。3時間ぐらい効いているんだって。葉月から聞いたんだけど、麻酔が切れる前に痛み止めを飲んでおいた方が良いんだってさ。切れたら痛みがどーーんと来るから、その前にって……。さあ、外に出ようよ」
「そうか。薬を受け取らないといけないな。急いで行こう」
「カズ兄さん。ゆっくりでいいよ。まだ麻酔が切れるまで時間があるからさ。黒崎さん。カズ兄さんを引き剥がすよ……」
「ああ。離れてくれない。一貴。もう終わった。お前は虫歯治療をしなくていい」
「よいっしょっと……。カズ兄さん、大丈夫だってば……」
やれやれと思いながら一貴さんのことを立たせて、待合から出た。すると、すぐに受付から呼ばれて、精算機で使うバーコードを渡された。処方箋はすでに先生から受け取ってある。今から一階に戻って会計を済ませて、薬局で薬を受け取って終わりだ。薬を飲むための水をコンビニで買っておかないといけない。
「黒崎さん。コンビニに寄ろうよ。お水を買いたいんだ」
「そうだったな。本当に痛みはないのか?」
「まだ無いよ。感覚が無いから話すづらい感じ。舌を噛まないようにしないといけなくて……」
「すまない。喋らせてしまった」
「いいんだよ」
俺達は口腔外科を出て、一階に下りた。会計の準備が出来たら番号がモニターに表示されるそうだ。しかし、まだ俺の番が来ない。その間に水を買いに行こうとしたら、黒崎が買いに行ってくれた。俺はお義父さんと一貴さんとで椅子に座り、待った。
「2人とも、トイレは行かなくていいの?カズ兄さん、カフェオレ、全部飲んだ?」
「トイレはまだいい。カフェオレは半分飲んだ。お父さん、行かなくていいんですか?」
「私はいい。まだ9時半だ。手術が時間通りに終わって良かった。案外早く歯が抜けたね」
「うん。……んん。口の中が違和感があるよ……」
ホッとしたら口の中に違和感が起きてきた。右側は感覚が無いが、歯を抜いたの傷口があることで身体が驚いているようだ。やっぱり喋らない方が良さそうだ。
「……」
「そうだ。喋らない方がいい」
「そうだぞ。夏樹君。しばらく黙っておいた方が良い」
「……」
2人の言葉には頷くだけにしておいた。すると、黒崎がコンビニから戻ってきた。大きな袋を下げている。袋の中を見てみると、ドーナツがいくつも入っていた。柔らかいやつだ。これなら口の中で溶けるから、お昼ご飯に食べられる。
「今日だけ特別だ。いくらでも食え」
「……」
「そうか。喋らないことにしたのか。分かった。お前は黙っていろ。この先は俺が話す」
「……」
黒崎が俺の隣に座った。そして、みんなでモニターを見上げると、俺の番号が出ていた。さっそく黒崎が立ち上がり、俺からバーコードを受け取って、自動精算機に向かっていった。
その後ろ姿を眺めていると、あちこちから黒崎を見て悲鳴が上がった。滅多に見れないほどかっこいい人がいるということなのか。近くにはカフェの出入り口があり、出てきた人も黒崎を見て驚いていた。こんなに驚かれるのは久しぶりのことだから、いつも同じ場所しか行かないからだと思った。こうしてどこか別の場所に出かけても良いなと思った。
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