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病院から出た。理事長はお義父さんの隣に戻ってきて、2人が社交を始めた。俺から見てもしつこくしている理事長の態度に上楽先生がとうとう眉をひそめたからだ。これで俺の勘違いではないと分かった。理事長は先生に恋愛感情があるのだと分かった。セクハラ気味でもあるかも知れない。
「黒崎さん。そういうことだよね?俺の考えていること、分かるよね?」
「ああ、分かる。構いすぎだ。ああ、すごいことだ。あんなに上楽さんにまとわりつかなくても良いだろう。親父がまた放られた。今村さんが代わりに話している……」
理事長はまだ若そうだ。40代だと思う。学長からまだ若いと聞いていたとおりだ。おじいさんかと思っていたのに。子供っぽくもある。先生の隣に立ち、三橋君から奪おうとしている。それに対して三橋君は負けていなくて、先生の隣を死守している。セクハラから守っているということだろうか。
「黒崎さん。理事長のセクハラなのかな?」
「どうだろうな……。ああ、しっかり拒絶している。風通しが良い職場じゃないか。陰に籠もっていない」
「ほんとだ……」
理事長のしつこさに、とうとう先生が声を上げた。もっと離れて下さいという言葉だった。それはそうだろう。理事長が先生の肩に触れて、風に乱れた髪を整え始めたからだ。いや、髪の毛を自分の指先に絡めて近づいていると言っていいのか。まるでユーリーのようだ。
「ユーリー。この間のあんたみたいだよ。ああやって神仙教授に話しかけていたんだ」
「僕の場合は拒絶されていない。良いムードだった」
「分からないよ?嫌だったかも知れないよ?」
「嫌だったら、ああやって断られる」
「気を遣っていたのかも知れないよ?」
「いいや、僕には分かる。付き合っても良いかなという候補者に名乗りを上げられた。電話番号とラインを教えて貰っている。連絡も取った」
「月島さんはどうするんだよ?」
「友達だ。いや、僕の付添人だ。執事みたいな物だ」
「ふうん……」
たしかに彼の言うとおりだ。そんな感じがある。前世では友達同士だったということだが、きめ細かいサービスを提供する月島さんに付き添われているユーリーはお坊ちゃまだと思った。そのユーリーが先生の方を振り返った。
「先生。職員住宅まで送っていく。近いんだろう?」
「はい。あの……。でも……」
「出会ったのは縁だと思う。後で連絡先を交換したい」
「はい」
先生が微笑んだ。ユーリーの自信には呆れてしまう。NOと言われたときのことを考えているだろうかと思ってしまった。ユーリーから“付き合ってもいい候補者”にされていることは伝わっているだろう。いや、それでいいのだと思った。人違いをした先生にとっては恥ずかしかったことであり、そんなことがったのに打ち解けたユーリーにホッとしたかも知れない。
ところで、理事長の反応はどうだろうか。先生が連絡先を交換することに応じて、かつ、家まで送っていくことが決まった。ショックを受けていないだろうか。嫉妬をしていないだろうか。これは揉めるなんて思って理事長のことを見ると、黒崎が吹き出した。そして、理事長はめげていないと言った。
「あんたにはそう見えるんだね」
「全然気にしていないようだ。いいマインドだ。親父が放っておかれるなんてな」
「うん。今村先生が居てくれてよかったよ」
今村先生のこまかみには汗がにじんでいる。理事長の振る舞いに焦っているのだろう。それだけ理事長が上楽先生に夢中であり、あれこれと付きまとっている感じだ。そんなやり取りを見ながら歩いているうちに、大学に戻ってきた。そこで、上楽先生が俺達に微笑んだ。
「職員室に行ってきます」
「僕も行く」
「理事長は待っていて下さい。今村先生。僕は大丈夫です」
「届は出してある。気を付けて行ってきてくれ」
「はい。では……」
上楽先生には三橋君が付き添っていった。部屋はすぐそこにあるそうだ。今、窓を開けた部屋だということで、1階にあるのだと分かった。先生が戻ってくるまで俺達は立ち話をして待つことにした。そして、シバザクラの話題になり、ここからも見られないかな?と話しているうちに先生達が戻ってきた。
「黒崎さん。そういうことだよね?俺の考えていること、分かるよね?」
「ああ、分かる。構いすぎだ。ああ、すごいことだ。あんなに上楽さんにまとわりつかなくても良いだろう。親父がまた放られた。今村さんが代わりに話している……」
理事長はまだ若そうだ。40代だと思う。学長からまだ若いと聞いていたとおりだ。おじいさんかと思っていたのに。子供っぽくもある。先生の隣に立ち、三橋君から奪おうとしている。それに対して三橋君は負けていなくて、先生の隣を死守している。セクハラから守っているということだろうか。
「黒崎さん。理事長のセクハラなのかな?」
「どうだろうな……。ああ、しっかり拒絶している。風通しが良い職場じゃないか。陰に籠もっていない」
「ほんとだ……」
理事長のしつこさに、とうとう先生が声を上げた。もっと離れて下さいという言葉だった。それはそうだろう。理事長が先生の肩に触れて、風に乱れた髪を整え始めたからだ。いや、髪の毛を自分の指先に絡めて近づいていると言っていいのか。まるでユーリーのようだ。
「ユーリー。この間のあんたみたいだよ。ああやって神仙教授に話しかけていたんだ」
「僕の場合は拒絶されていない。良いムードだった」
「分からないよ?嫌だったかも知れないよ?」
「嫌だったら、ああやって断られる」
「気を遣っていたのかも知れないよ?」
「いいや、僕には分かる。付き合っても良いかなという候補者に名乗りを上げられた。電話番号とラインを教えて貰っている。連絡も取った」
「月島さんはどうするんだよ?」
「友達だ。いや、僕の付添人だ。執事みたいな物だ」
「ふうん……」
たしかに彼の言うとおりだ。そんな感じがある。前世では友達同士だったということだが、きめ細かいサービスを提供する月島さんに付き添われているユーリーはお坊ちゃまだと思った。そのユーリーが先生の方を振り返った。
「先生。職員住宅まで送っていく。近いんだろう?」
「はい。あの……。でも……」
「出会ったのは縁だと思う。後で連絡先を交換したい」
「はい」
先生が微笑んだ。ユーリーの自信には呆れてしまう。NOと言われたときのことを考えているだろうかと思ってしまった。ユーリーから“付き合ってもいい候補者”にされていることは伝わっているだろう。いや、それでいいのだと思った。人違いをした先生にとっては恥ずかしかったことであり、そんなことがったのに打ち解けたユーリーにホッとしたかも知れない。
ところで、理事長の反応はどうだろうか。先生が連絡先を交換することに応じて、かつ、家まで送っていくことが決まった。ショックを受けていないだろうか。嫉妬をしていないだろうか。これは揉めるなんて思って理事長のことを見ると、黒崎が吹き出した。そして、理事長はめげていないと言った。
「あんたにはそう見えるんだね」
「全然気にしていないようだ。いいマインドだ。親父が放っておかれるなんてな」
「うん。今村先生が居てくれてよかったよ」
今村先生のこまかみには汗がにじんでいる。理事長の振る舞いに焦っているのだろう。それだけ理事長が上楽先生に夢中であり、あれこれと付きまとっている感じだ。そんなやり取りを見ながら歩いているうちに、大学に戻ってきた。そこで、上楽先生が俺達に微笑んだ。
「職員室に行ってきます」
「僕も行く」
「理事長は待っていて下さい。今村先生。僕は大丈夫です」
「届は出してある。気を付けて行ってきてくれ」
「はい。では……」
上楽先生には三橋君が付き添っていった。部屋はすぐそこにあるそうだ。今、窓を開けた部屋だということで、1階にあるのだと分かった。先生が戻ってくるまで俺達は立ち話をして待つことにした。そして、シバザクラの話題になり、ここからも見られないかな?と話しているうちに先生達が戻ってきた。
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