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アンがユーリーの後を追いかけていった後、すぐに、なぜ彼女がそうしたのか分かった。ユーリーが頭痛がすると言って、しゃがみ込んだからだ。俺達は慌てて彼のそばに行った。
「大丈夫?」
「二日酔いだ。滅多にないのになあ……」
「黒崎さん。二日酔いだって」
「あの量だ。そうならないわけがない」
黒崎がため息をついた。彼が指さしている場所にはワインの瓶が並んでいる。どれも開封済みだから、空き瓶なのだろう。6本もある。中にはまだ未開封があるだろうか。そうあってほしい。
「ユーリー。昨日は何本飲んだの?18時からの飲み会だろ?部屋でご飯を食べたんだって、お義父さんから聞いているよ」
「5本飲んだ。朝の3時までだ。一昨日も飲んだ。ああ、空き瓶を玄関に出すつもりだったのに……」
「“ユーリーのお手伝い”だね。後で良いよ。ゴールデンウィーク明けまで酒屋さんは休みだからさ。片付けてあげるよ。もう一回横になっていたら?」
「いや、いい。起きる。頭痛薬を飲んでおく」
「お酒が抜けていなくてもいいのかな……」
「もう抜けたよ」
ユーリーが立ち上がった。そして、薬箱を開けて頭痛薬を取り出して、ジンジャーシロップ入りのお湯で飲み込んだ。水の方が良くないだろうか。さっそく俺はコップに水を汲んで、彼の元に持って行った。
「ユーリー。水も飲んでおけよ。本当は何か食べた後が良いだろうけど……」
「ありがとう。僕にしては珍しい。酒臭くないだろう?」
「うん。あの本数なのにね。あんたの特技だよ。全然、匂わないんだ。この人なんか、匂うのなんのって……」
「そんなに匂うか?嘘をつくな」
黒崎から言い返されてしまった。いや、本当に酒臭いときがあるから本当だ。シャワーを浴びてきても臭いときがある。それを言うと、少し拗ねてしまった。まるでアンのようだ。口を聞いてくれない。
「黒崎さん。臭いって言ってごめんね。たまにしか匂わないからね」
「……」
「黒崎さん。何か言ってよ~。ユーリーも何か言ってよ」
「そうだなあ……」
ユーリーが笑った。そして、黒崎の耳元で何かを囁いた。すると、彼が微笑んだ。俺としては何を言ったのか気になる。しかし、教えて貰えなかった。
「除け者にするなよ~。どうせ俺のことだろ?ふん!」
「その通りだ。僕が言ったのは、君の甘い匂いのことだ。いつもケーキを食べているから、お菓子の匂いがプンプンしている。圭一はよく耐えているなって言ったんだ」
「ふうん。でも、この人、子供の頃は食べていたんだよ。拓海さんにクッキーの焼き方を習って、練習していたんだ。ドイツではパフェも食べたんだろ?」
「ああ、その通りだ。拓海君のお菓子作りは僕も楽しみだった。時々やっていて、僕と兄さんはおすそ分けしてもらっていた。学校にも持って行ったんだ。みんな美味しいって言ってくれた。そろそろ仏壇に手を合わせないとな……。思い出したときは亡くなった人がそばに来ている合図なんだと思う」
「そうだね……。お義父さんの部屋に行ってみようか」
この家の仏壇はお義父さんの部屋に置いてある。拓海さんの位牌もある。カトリック教徒だったが、この家のしきたり通りに祀られてある。そして、カトリック方式でも祀られている。拓海さんが生前使っていた十字架がテーブルの上に飾られている。その隣には彼の写真がある。仏壇も十字架もお義父さんが管理している。両方の祭壇には白い花が飾られており、お義父さんだけの聖域のようになっているから、滅多に俺達は祭壇に手を合わせることが無い。しかし、もうそれは解除されたようになり、自由に祭壇の前に行けるようになった。
「黒崎さん。お義父さんの部屋に行こうよ」
「そうだな。命日も祭壇に手を合わせていない。兄さんが怒っている」
「そうだよね。ユーリー。着替えようよ」
「ああ。このTシャツを着る」
「ぷっ。似合うよね。それ……」
ユーリーが着替えを始めた。彼が選んだ服は、一貴さんから贈られたイケイケな柄のTシャツだ。意外と似合う。黒崎と二葉にもプレゼントされたが、黒崎は着ないと言っていた。
着替えが終わるのを待つ間に、俺達はワインの空瓶を廊下に並べた。あとで山崎さんが玄関に持って行ってくれる。そして、そうしているうちに身支度を終えてシャッキリしたユーリーが部屋から出てきて、俺達はお義父さんの部屋に向かった。
「大丈夫?」
「二日酔いだ。滅多にないのになあ……」
「黒崎さん。二日酔いだって」
「あの量だ。そうならないわけがない」
黒崎がため息をついた。彼が指さしている場所にはワインの瓶が並んでいる。どれも開封済みだから、空き瓶なのだろう。6本もある。中にはまだ未開封があるだろうか。そうあってほしい。
「ユーリー。昨日は何本飲んだの?18時からの飲み会だろ?部屋でご飯を食べたんだって、お義父さんから聞いているよ」
「5本飲んだ。朝の3時までだ。一昨日も飲んだ。ああ、空き瓶を玄関に出すつもりだったのに……」
「“ユーリーのお手伝い”だね。後で良いよ。ゴールデンウィーク明けまで酒屋さんは休みだからさ。片付けてあげるよ。もう一回横になっていたら?」
「いや、いい。起きる。頭痛薬を飲んでおく」
「お酒が抜けていなくてもいいのかな……」
「もう抜けたよ」
ユーリーが立ち上がった。そして、薬箱を開けて頭痛薬を取り出して、ジンジャーシロップ入りのお湯で飲み込んだ。水の方が良くないだろうか。さっそく俺はコップに水を汲んで、彼の元に持って行った。
「ユーリー。水も飲んでおけよ。本当は何か食べた後が良いだろうけど……」
「ありがとう。僕にしては珍しい。酒臭くないだろう?」
「うん。あの本数なのにね。あんたの特技だよ。全然、匂わないんだ。この人なんか、匂うのなんのって……」
「そんなに匂うか?嘘をつくな」
黒崎から言い返されてしまった。いや、本当に酒臭いときがあるから本当だ。シャワーを浴びてきても臭いときがある。それを言うと、少し拗ねてしまった。まるでアンのようだ。口を聞いてくれない。
「黒崎さん。臭いって言ってごめんね。たまにしか匂わないからね」
「……」
「黒崎さん。何か言ってよ~。ユーリーも何か言ってよ」
「そうだなあ……」
ユーリーが笑った。そして、黒崎の耳元で何かを囁いた。すると、彼が微笑んだ。俺としては何を言ったのか気になる。しかし、教えて貰えなかった。
「除け者にするなよ~。どうせ俺のことだろ?ふん!」
「その通りだ。僕が言ったのは、君の甘い匂いのことだ。いつもケーキを食べているから、お菓子の匂いがプンプンしている。圭一はよく耐えているなって言ったんだ」
「ふうん。でも、この人、子供の頃は食べていたんだよ。拓海さんにクッキーの焼き方を習って、練習していたんだ。ドイツではパフェも食べたんだろ?」
「ああ、その通りだ。拓海君のお菓子作りは僕も楽しみだった。時々やっていて、僕と兄さんはおすそ分けしてもらっていた。学校にも持って行ったんだ。みんな美味しいって言ってくれた。そろそろ仏壇に手を合わせないとな……。思い出したときは亡くなった人がそばに来ている合図なんだと思う」
「そうだね……。お義父さんの部屋に行ってみようか」
この家の仏壇はお義父さんの部屋に置いてある。拓海さんの位牌もある。カトリック教徒だったが、この家のしきたり通りに祀られてある。そして、カトリック方式でも祀られている。拓海さんが生前使っていた十字架がテーブルの上に飾られている。その隣には彼の写真がある。仏壇も十字架もお義父さんが管理している。両方の祭壇には白い花が飾られており、お義父さんだけの聖域のようになっているから、滅多に俺達は祭壇に手を合わせることが無い。しかし、もうそれは解除されたようになり、自由に祭壇の前に行けるようになった。
「黒崎さん。お義父さんの部屋に行こうよ」
「そうだな。命日も祭壇に手を合わせていない。兄さんが怒っている」
「そうだよね。ユーリー。着替えようよ」
「ああ。このTシャツを着る」
「ぷっ。似合うよね。それ……」
ユーリーが着替えを始めた。彼が選んだ服は、一貴さんから贈られたイケイケな柄のTシャツだ。意外と似合う。黒崎と二葉にもプレゼントされたが、黒崎は着ないと言っていた。
着替えが終わるのを待つ間に、俺達はワインの空瓶を廊下に並べた。あとで山崎さんが玄関に持って行ってくれる。そして、そうしているうちに身支度を終えてシャッキリしたユーリーが部屋から出てきて、俺達はお義父さんの部屋に向かった。
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