青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 18時。

 お義父さんの家の中にいる。病院から帰って来た後、まず最初にユーリーのことを部屋で寝かせた。まだお酒が残っているのか、ダルそうにしていた。病院で疲れたのもあるだろう。ベッドに入るとすぐに寝息を立てていた。

 月島さんを病院の帰りに家に送っていこうと思った。ユーリーと一緒に居たいだろうし、俺もそうして貰いたかったが、本人がベッドに沈み込みそうな程に眠いというから、また明日連絡させることにした。しかし、月島さんが本人が寝ていても良いからということで、うちに来てもらった。家に居ても落ち着かないのだという。もちろん、俺達は大歓迎だ。そして、ここまで来てもらって悪いなと思った。

 ついさっき、ユーリーが目を覚ました。月島さんはリビングにいて、一貴さんと二葉とで話をしている。そこで、黒崎が呼びに行ってくれた。俺はユーリーに晩ご飯を運んできた。

 晩ご飯はおかゆとササミを煮た物にした。膵臓が悪くなりかけということで、病院で食事パンフレットを貰ってきてある。お酒と油物は禁止だ。おかゆの他に、うどんもいいらしい。

「ユーリー。お腹が空いただろ。佐山さんがおかゆを作ってくれたよ。こっちのお皿はササミを煮たやつだよ。それと、白菜のお漬物も一緒にどうぞ」
「ありがとう。僕、帰って来た後、ずっと寝ていたみたいだ。みんなはどこだ?」
「リビングに居るよ。今、黒崎さんが月島さんを呼びに行ってくれているよ。ここでアンにご飯を食べさせても良いだろ?」
「もちろんいいよ。今日は何を食べさせるんだ?」
「うどんにしたよ。久しぶりだからさ。ササミ入りのうどん煮だよ」

 アンが俺のそばに居る。自分のご飯だと分かっているようだ。アンに汁気のある物を食べさせるときは、ある工夫をしている。食器に顔を突っ込んで食べさせないということだ。乾いたドッグフードの時は食器からでいいが、他の物のときは俺が箸でつまんで、アンに食べさせている。顔の毛に汁が付いてしまうからだ。そうなるとシャンプーが必要になる。その手間を省くために、アンにも協力して貰っている。

 さっそく俺は冷ましたうどんを箸に取り、短めに切った。そして、それをアンの口元に持って行った。アンは匂いを嗅いだ後、大きな口を開けてパクッと食べた。

「アン、良い子だね。アーーーーン」
「……」
「パクッと食べたね~。さあ、もう一口だよ。アーーーン」
「……」

 アンの食べるペースに合わせて、うどんを口元に持って行った。アンは大きな口を開けている。顎が外れないかと思うぐらいだ。このうどんが美味しい証拠だ。食が進まないときは小さい口しか開けない。

「アン、いい出汁だろ。これさ~。キシヤマ味噌から出ている出汁ポットで取った出汁なんだ。鰹と昆布はどこかの産地でさ~。お義父さんが美味しいって言っているやつなんだ。君はグルメだね。アーーン」
「……」

 アンがパクパクとうどんを食べた。そして、最後に残しておいたササミを口に入れた後、飲みこみ、尻尾をパタパタと振って口を絨毯に擦り付けた。こうして口を拭いている。しかし、汚れていない。そこで、ユーリーが笑った。

「アン、絨毯の方が汚れているんだぞ。君は白い毛をしているから、汚れが移ってしまう」
「そうだよねえ。でも、こうしないと納得しないんだ。はいはい。顔を拭くよ~」

 俺はアンの身体を捕まえて、濡れたタオルで顔を拭いた。これで晩ご飯は完了だ。後は俺や黒崎が食べている物を欲しがって、何かをつまみ食いして、お腹がいっぱいになる。今日の俺達の晩ご飯は一口カツ弁当だ。病院の帰りに買ってきてある。アンはリンゴがデザートだ。一口カツを欲しがるに決まっているが、油物は食べさせないようにしている。そこで、中のお肉だけを食べさせることもあるが、今日はササミを食べたからいいだろう。
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