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19時。
ユーリー達のことを部屋に残して、俺達はダイニングテーブルの上に並べた一口カツ弁当を食べているところだ。月島さんにも差し入れがある。駅のそばの店の卵サンドだ。しかし、なかなか部屋から出てこないから、お土産で持って帰ってもらおうと思った。
俺は一口カツを食べながら、アンとアンドリューからの視線に気づかないふりをしている。目を合わせたら食べさせないといけなくなるからだ。アンドリューはまだ固形のフードすら食べたことが無いから危険だ。しかし、肉の匂いに惹かれるようで、鼻をピクピクさせている。
「黒崎さん。アンドリューを箱ベッドに移動させようよ。このままだとカツを食べそうだよ~」
「昼間居なかった分だけ、引っ付いておけ。アンだって寂しかったはずだ」
「やっぱりあんたとお義父さんに任せて、留守番をしていたら良かったなあ」
アンドリューは俺の膝の上にいる。アンは俺の足下に引っ付いている。俺のことを食事係だと思っているからこうなっている。黒崎の方には行かない。ご飯の用意と給仕をしているのは俺だと分かっているのだと思う。
「アン、さっき食べただろ~。ササミもあったじゃん」
「夏樹。俺の分をやってくれ。衣を外す。アンドリューにはまだだ」
「そう?分かったよ。アン、良かったね。パパがあげるってさ」
黒崎がカツの衣を外して、器用に豚肉だけを取り出した。俺はそれを手のひらに乗せて、アンの口元に持って行った。アンは分かっているようで、手の上に乗っているのが何か見ずにパクッと食べた。
「美味しい?」
「……」
「黒崎さん。美味しいって。ありがとうって言っているよ」
そう言って、俺は濡れた布巾で手を拭いた。そして、アンドリューのことを見た。自分だけ食べられないと思っているだろうか。ゴールデンウィーク明けまで待たずにフードを食べさせても良いと思った。しかし、黒崎が首を縦に振らない。もし消化できなかったときに病院に連れて行けないからだ。
「アンドリュー。もう少しでご飯を食べられるからね。キャットフードっていうんだよ。最初は柔らかいやつから食べるんだよ」
「アンの口元を拭いてやってくれ」
「はいはい」
さっきの一口で口元の毛が濡れていた。肉汁だ。俺がアンドリューを膝に乗せたままでアンの口元を拭いてあげると、アンドリューが下りようとした。昨日から家の中を歩き回りたがるようになった。成長の証だ。しかし、俺の方はまだご飯を食べている。待っていて欲しい。
「アンドリュー。待っていてよ。急いで食べるからさ~」
「……」
「いててて、爪を研いでいるの?猫だなあ」
ジーンズの生地を通して、ちくちくした感触が太ももに起きた。アンドリューがバリバリと爪を研いでいた。遊んでいるかのような仕草で、大人の猫のような本格的な物では無い。だからそんなに痛くないが、気になってしまう痛みではある。
バリバリ!そんなことを思っていると、アンドリューの爪とぎが本格的な物に変わった。この分だと、ズボンがボロボロになりそうだ。遠藤さんがそう言っていた。2匹の子猫を育てる中で、4本のズボンがダメになったらしい。リクが子犬の時はズボンの裾を引っ張るから、ボロボロになった思い出があるという。
「黒崎さん。もう食べ終わったの?」
「ああ。食後の茶の用意は構わない。アンドリューが膝にいるからな」
「当たり前だよ。田所さん、すみません」
そこへ、夜間のお手伝いさんの田所さんがお茶を持ってきてくれた。黒崎と俺にだ。お義父さんと一貴さんと二葉はもう食事を終わらせていて、それぞれの部屋にいるそうだ。いつもなら今頃食べているのに、今日はやけに早いと思った。きっと、ユーリー達のことを考えて、気配を消しているのだろう。
ところで、あの二人はどうなっただろうか。そう思っていると、ダイニングのドアが開かれた。そこには笑顔の月島さんとユーリーがいて、いい話になったのだと思った。それは恋人同士というより、親友同士という感じがした。そして、俺達に向かって、ありがとうと言った。
ユーリー達のことを部屋に残して、俺達はダイニングテーブルの上に並べた一口カツ弁当を食べているところだ。月島さんにも差し入れがある。駅のそばの店の卵サンドだ。しかし、なかなか部屋から出てこないから、お土産で持って帰ってもらおうと思った。
俺は一口カツを食べながら、アンとアンドリューからの視線に気づかないふりをしている。目を合わせたら食べさせないといけなくなるからだ。アンドリューはまだ固形のフードすら食べたことが無いから危険だ。しかし、肉の匂いに惹かれるようで、鼻をピクピクさせている。
「黒崎さん。アンドリューを箱ベッドに移動させようよ。このままだとカツを食べそうだよ~」
「昼間居なかった分だけ、引っ付いておけ。アンだって寂しかったはずだ」
「やっぱりあんたとお義父さんに任せて、留守番をしていたら良かったなあ」
アンドリューは俺の膝の上にいる。アンは俺の足下に引っ付いている。俺のことを食事係だと思っているからこうなっている。黒崎の方には行かない。ご飯の用意と給仕をしているのは俺だと分かっているのだと思う。
「アン、さっき食べただろ~。ササミもあったじゃん」
「夏樹。俺の分をやってくれ。衣を外す。アンドリューにはまだだ」
「そう?分かったよ。アン、良かったね。パパがあげるってさ」
黒崎がカツの衣を外して、器用に豚肉だけを取り出した。俺はそれを手のひらに乗せて、アンの口元に持って行った。アンは分かっているようで、手の上に乗っているのが何か見ずにパクッと食べた。
「美味しい?」
「……」
「黒崎さん。美味しいって。ありがとうって言っているよ」
そう言って、俺は濡れた布巾で手を拭いた。そして、アンドリューのことを見た。自分だけ食べられないと思っているだろうか。ゴールデンウィーク明けまで待たずにフードを食べさせても良いと思った。しかし、黒崎が首を縦に振らない。もし消化できなかったときに病院に連れて行けないからだ。
「アンドリュー。もう少しでご飯を食べられるからね。キャットフードっていうんだよ。最初は柔らかいやつから食べるんだよ」
「アンの口元を拭いてやってくれ」
「はいはい」
さっきの一口で口元の毛が濡れていた。肉汁だ。俺がアンドリューを膝に乗せたままでアンの口元を拭いてあげると、アンドリューが下りようとした。昨日から家の中を歩き回りたがるようになった。成長の証だ。しかし、俺の方はまだご飯を食べている。待っていて欲しい。
「アンドリュー。待っていてよ。急いで食べるからさ~」
「……」
「いててて、爪を研いでいるの?猫だなあ」
ジーンズの生地を通して、ちくちくした感触が太ももに起きた。アンドリューがバリバリと爪を研いでいた。遊んでいるかのような仕草で、大人の猫のような本格的な物では無い。だからそんなに痛くないが、気になってしまう痛みではある。
バリバリ!そんなことを思っていると、アンドリューの爪とぎが本格的な物に変わった。この分だと、ズボンがボロボロになりそうだ。遠藤さんがそう言っていた。2匹の子猫を育てる中で、4本のズボンがダメになったらしい。リクが子犬の時はズボンの裾を引っ張るから、ボロボロになった思い出があるという。
「黒崎さん。もう食べ終わったの?」
「ああ。食後の茶の用意は構わない。アンドリューが膝にいるからな」
「当たり前だよ。田所さん、すみません」
そこへ、夜間のお手伝いさんの田所さんがお茶を持ってきてくれた。黒崎と俺にだ。お義父さんと一貴さんと二葉はもう食事を終わらせていて、それぞれの部屋にいるそうだ。いつもなら今頃食べているのに、今日はやけに早いと思った。きっと、ユーリー達のことを考えて、気配を消しているのだろう。
ところで、あの二人はどうなっただろうか。そう思っていると、ダイニングのドアが開かれた。そこには笑顔の月島さんとユーリーがいて、いい話になったのだと思った。それは恋人同士というより、親友同士という感じがした。そして、俺達に向かって、ありがとうと言った。
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