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18-20(夏樹視点)
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13時。
引っ越しの荷ほどきをしているところだ。黒崎にお義父さんから電話が掛かってきたとき、家で何かが起こったのだと思った。しかし、それは北添さんの休職のことだと知り、ホッとした。そして、そんな自分を叱りつけた。どこか身体が悪いからこその休職だ。親の介護かも知れない。そんなケースを考えた。そしたら、精神的な病での休職ということで、ちっともホッとできないと思った。
電話が終わった後、ユーリーが南波さんと話しているときであり、黒崎が電話を替わってもらっていた。そして、北添さんのことを話していた。南波さんは驚いていたそうだ。北添さんは風邪を引いたということで、木曜と金曜日に休暇を取っていたそうだ。
今、黒崎達とその話をしている。北添さんが精神科を受診する決め手になったのは、心に限界を感じたからだそうだ。しかし、おじいさんからの電話だったから、本人からの話ではない。話は月曜日に聞けるそうだ。精神科のお医者さんは入院を勧めているそうだ。そんな状態で会社に来るなんて大変だと思った。
「黒崎さん。明日、北添さんから電話が掛かってくるかも知れないんだろ?優しく話せよ~」
「分かっている。おじいさんからの電話には何も思わないのか?」
「孫のことで何が出来ないことがないかと思ってお義父さんに電話してきたんだろ。悪くは言えないよ。そりゃあね、ツテがあるのは安心するよ。これで自分の孫が休みやすいと思ってしたことなんだよ」
「そうだな。本人はそれを嫌がったかも知れないし、頼ったかも知れない。会社には内緒にしてくれ」
「うん。開発部では口を閉ざしておくよ。俺がペラペラ話すと思う?」
「いいや。思わない」
「そうだろ?でもさ~、おじいさんからの電話があったって営業企画部の中で知られたら、何か言われそうだね」
「それを心配している。今のところ、3ヶ月間の休職だ。そう診断書が出ているそうだ」
「そうなんだね」
営業企画部ではどう思われるだろうか。俺はそれを想像して、ため息をついた。精神的な病での休職は二度と起き上がれないと思われており、ライバルが一人減ったという扱いをされる。それは営業企画部だけでなく、どの部署でも同じだそうだ。将来の昇進にも影響する。担当の仕事を穏やかな流れのところに変更させるなどの配慮を受けるからでもある。本人がいくら今の仕事を希望していたとしても、休んでいる間に人員をやりくりし、対応する。そこで、担当の変更ということになる。
休職する前の人間関係によっては離職もあり得る。例えば、リーダーシップを取っていた人だとして、仕事がゆっくりめの人や気の弱い人に対して横柄な態度を取っていた人だとしたら、自分の身に跳ね返った結果となる。そうなると、その人の下についていた人達がリーダーの失脚という目に遭い、芋ずる式の昇進を狙っているという、その芋を失うことになる。そうなると、病気になったリーダーは会社に残ったとしてもいい思いはしない。
北添さんはそういうタイプではない。誰かを追い落とすということをしていないし、いじめにも加担していない人だ。どちらかというと、彼と言い争いになった山下さんがそのタイプだと言える。二葉のことを直接いじめたわけではないが、孤独を感じていた彼女に救いの手を差し伸べてこなかった人だという記憶がある。黒崎は気にしすぎだと言っていたが、俺はそう思っている。
去年の春に黒崎とのビデオ通話でそれを思い知った。俺はお使いで黒崎の元を尋ねていったときは笑顔で対応してくれた人達が、二葉のことを遠巻きにして、眉をしかめていた。俺は当時は開発部に入社しておらず、黒崎の家族という扱いだったから、ライバルではなかった。しかし、二葉はそうではない。黙っていても入社が約束されているのは見えている。黒崎家の子供。そう見られていた。今でも同じだと思う。
俺はそう考えて、今の立場にホッとしている。俺は黒崎製菓の中で地位を欲しがった。その思いが消えて、肩の力を抜けている。商品開発のコラボ相手としての立場になっている。誰も俺のことをライバル扱いなんてしない。だから、争いが起きない。
引っ越しの荷ほどきをしているところだ。黒崎にお義父さんから電話が掛かってきたとき、家で何かが起こったのだと思った。しかし、それは北添さんの休職のことだと知り、ホッとした。そして、そんな自分を叱りつけた。どこか身体が悪いからこその休職だ。親の介護かも知れない。そんなケースを考えた。そしたら、精神的な病での休職ということで、ちっともホッとできないと思った。
電話が終わった後、ユーリーが南波さんと話しているときであり、黒崎が電話を替わってもらっていた。そして、北添さんのことを話していた。南波さんは驚いていたそうだ。北添さんは風邪を引いたということで、木曜と金曜日に休暇を取っていたそうだ。
今、黒崎達とその話をしている。北添さんが精神科を受診する決め手になったのは、心に限界を感じたからだそうだ。しかし、おじいさんからの電話だったから、本人からの話ではない。話は月曜日に聞けるそうだ。精神科のお医者さんは入院を勧めているそうだ。そんな状態で会社に来るなんて大変だと思った。
「黒崎さん。明日、北添さんから電話が掛かってくるかも知れないんだろ?優しく話せよ~」
「分かっている。おじいさんからの電話には何も思わないのか?」
「孫のことで何が出来ないことがないかと思ってお義父さんに電話してきたんだろ。悪くは言えないよ。そりゃあね、ツテがあるのは安心するよ。これで自分の孫が休みやすいと思ってしたことなんだよ」
「そうだな。本人はそれを嫌がったかも知れないし、頼ったかも知れない。会社には内緒にしてくれ」
「うん。開発部では口を閉ざしておくよ。俺がペラペラ話すと思う?」
「いいや。思わない」
「そうだろ?でもさ~、おじいさんからの電話があったって営業企画部の中で知られたら、何か言われそうだね」
「それを心配している。今のところ、3ヶ月間の休職だ。そう診断書が出ているそうだ」
「そうなんだね」
営業企画部ではどう思われるだろうか。俺はそれを想像して、ため息をついた。精神的な病での休職は二度と起き上がれないと思われており、ライバルが一人減ったという扱いをされる。それは営業企画部だけでなく、どの部署でも同じだそうだ。将来の昇進にも影響する。担当の仕事を穏やかな流れのところに変更させるなどの配慮を受けるからでもある。本人がいくら今の仕事を希望していたとしても、休んでいる間に人員をやりくりし、対応する。そこで、担当の変更ということになる。
休職する前の人間関係によっては離職もあり得る。例えば、リーダーシップを取っていた人だとして、仕事がゆっくりめの人や気の弱い人に対して横柄な態度を取っていた人だとしたら、自分の身に跳ね返った結果となる。そうなると、その人の下についていた人達がリーダーの失脚という目に遭い、芋ずる式の昇進を狙っているという、その芋を失うことになる。そうなると、病気になったリーダーは会社に残ったとしてもいい思いはしない。
北添さんはそういうタイプではない。誰かを追い落とすということをしていないし、いじめにも加担していない人だ。どちらかというと、彼と言い争いになった山下さんがそのタイプだと言える。二葉のことを直接いじめたわけではないが、孤独を感じていた彼女に救いの手を差し伸べてこなかった人だという記憶がある。黒崎は気にしすぎだと言っていたが、俺はそう思っている。
去年の春に黒崎とのビデオ通話でそれを思い知った。俺はお使いで黒崎の元を尋ねていったときは笑顔で対応してくれた人達が、二葉のことを遠巻きにして、眉をしかめていた。俺は当時は開発部に入社しておらず、黒崎の家族という扱いだったから、ライバルではなかった。しかし、二葉はそうではない。黙っていても入社が約束されているのは見えている。黒崎家の子供。そう見られていた。今でも同じだと思う。
俺はそう考えて、今の立場にホッとしている。俺は黒崎製菓の中で地位を欲しがった。その思いが消えて、肩の力を抜けている。商品開発のコラボ相手としての立場になっている。誰も俺のことをライバル扱いなんてしない。だから、争いが起きない。
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