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ところで、さっきからユーリーが大人しい。手元にはスマホとテキストがある。席から立とうとしない。一体何があったのだろう。
「ユーリー。どうしたんだよ?もう出るよ」
「ああ、出よう。僕はまた南波君に嫌われたようだ」
「どうしてそう思うんだよ?」
「講演が始まる前にラインが入っただろう。そこで、上楽先生のことを紹介したいから、君のことを話してあると書いて送った。会う日も決めたいと。そこで、今確認したラインでは、“あなたって鈍い”って書かれていた」
「それってヤキモチじゃないの?」
俺はストレートにそう思った。南波さんとしては、ユーリーが上楽先生と会うのが面白くないと言うことだろう。そこで、あれやこれやとユーリーに話しているのに、肝心の彼が気がつかないから、鈍いと怒られたのだろう。これは恋愛成就だと思った。
そう思ってユーリーにそう言うと、上楽先生も同じ意見だと言った。しかし、ユーリーは違うと思うと言った。
「どうしてだよ?」
「彼は僕のこと振り回すんだ。近づいてきたり遠ざかったりだ。友達の距離を保てと言うくせに、向こうから近づいてきている。気まぐれにも思う。だから、今回のラインもそうだと思う」
「ぷぷぷ。そういうタイプなのかーーー」
上楽先生が口元に手を当てて微笑んだ。そういうタイプをよく知っているのだという。担当している生徒にそういう子がいて、恋愛が上手くいっていないらしい。相手は君のことが好きだと言っているのにだ。
「ユリウス君さ。そういう彼のことは放置していたら良いよ。落ち着くまで待つといい」
「でも、そうしたら、他の誰かに奪われてしまう」
「その時はその時だよ。そうやって振り回すんだって発言を聞くと、南波君の気持ちが安定してないんだと思う。迷っているんだろう。好きだっていうなら、素直になるべきなんだ。いくらユリウス君のことが信用できないからっていっても、そこまで気持ちが入っているならねえ」
「そっか。先生はそう思うんだね。ユーリーに二股疑惑があったから、南波さんが困っているんだ」
「へえ?」
「実はね……」
俺は先生に話した。ユーリーの二股疑惑のあらすじをだ。月島さんが滑り込んできて暴露して、明るみになり、もう付き合うと決めていたユーリーと南波さんが破談になったこともだ。ユーリーがかいつまんで話してあるかも知れないが、俺から見てのユーリーの態度も話した。そして、話を聞いた先生がまた笑った。
「ぷぷぷ。悪事は千里を走るっていうからね。二人とも、来て。手島先生に紹介するよ。占いをしてもらったらどうかな?ユリウス君の恋愛運だ。今日占ってもらえるように頼んでみるよ」
「いいのかな?忙しそうだよ」
「いいから。ダメもとで来てみるよ。はいはい。ユリウス君、立って」
先生がユーリーの腕を引いた。そして、立ち上がったユーリーと俺のことを連れて、ステージサイドに向かった。すでに手島先生はカメラを片付けて、サイドに引っ込んでいた。そこへ訪ねていくというわけだ。
まずは手島先生に上楽先生が声を掛けた。すると、手島先生がニコッと笑った。そして、ああ、久しぶりだと言って、先生のことを迎えた。
「手島先生。お久しぶりです。今日はお客様をお連れしました。黒崎製菓グループの創業者一家である黒崎家の息子さんと、親戚同様にお付き合いのあるバーテルス家の息子さんです」
「どうも初めまして」
上楽先生からの紹介により、俺達も手島先生の前に立った。俺達のことはすでに理事長先生から聞いているらしく、ニコッと微笑み返しを受けた。そして、バンドの名前を言ってくれた。
「聞いています。改めまして、手島津奈都です」
「こんにちは。黒崎夏樹です。こちらはユリウス・バーテルスです。先生の講演を心待ちにしていました」
「はい。こちらの理事長先生からの勧めで、大変面白い先生だと言うことで、楽しみにしていました」
「そうでしたか!ありがとうございます」
ユーリーは正直者だから、テレビで観たことがあるとは嘘をつかなかった。理事長先生からの勧めというのは本当のことだ。ユーリーが情報を集めており、お義父さんが理事長先生にそれを聞いておき、紹介されたという流れだ。
このように社交するのは、黒崎家やバーテルス家の付き合いを広げるためだ。俺は黒崎家に養子になった後で面食らったが、今はそれは仕方のないことだと受け止めている。ユーリーは自然とそれが出来る。ずっとそのように教育されてきたからだろう。
「ユーリー。どうしたんだよ?もう出るよ」
「ああ、出よう。僕はまた南波君に嫌われたようだ」
「どうしてそう思うんだよ?」
「講演が始まる前にラインが入っただろう。そこで、上楽先生のことを紹介したいから、君のことを話してあると書いて送った。会う日も決めたいと。そこで、今確認したラインでは、“あなたって鈍い”って書かれていた」
「それってヤキモチじゃないの?」
俺はストレートにそう思った。南波さんとしては、ユーリーが上楽先生と会うのが面白くないと言うことだろう。そこで、あれやこれやとユーリーに話しているのに、肝心の彼が気がつかないから、鈍いと怒られたのだろう。これは恋愛成就だと思った。
そう思ってユーリーにそう言うと、上楽先生も同じ意見だと言った。しかし、ユーリーは違うと思うと言った。
「どうしてだよ?」
「彼は僕のこと振り回すんだ。近づいてきたり遠ざかったりだ。友達の距離を保てと言うくせに、向こうから近づいてきている。気まぐれにも思う。だから、今回のラインもそうだと思う」
「ぷぷぷ。そういうタイプなのかーーー」
上楽先生が口元に手を当てて微笑んだ。そういうタイプをよく知っているのだという。担当している生徒にそういう子がいて、恋愛が上手くいっていないらしい。相手は君のことが好きだと言っているのにだ。
「ユリウス君さ。そういう彼のことは放置していたら良いよ。落ち着くまで待つといい」
「でも、そうしたら、他の誰かに奪われてしまう」
「その時はその時だよ。そうやって振り回すんだって発言を聞くと、南波君の気持ちが安定してないんだと思う。迷っているんだろう。好きだっていうなら、素直になるべきなんだ。いくらユリウス君のことが信用できないからっていっても、そこまで気持ちが入っているならねえ」
「そっか。先生はそう思うんだね。ユーリーに二股疑惑があったから、南波さんが困っているんだ」
「へえ?」
「実はね……」
俺は先生に話した。ユーリーの二股疑惑のあらすじをだ。月島さんが滑り込んできて暴露して、明るみになり、もう付き合うと決めていたユーリーと南波さんが破談になったこともだ。ユーリーがかいつまんで話してあるかも知れないが、俺から見てのユーリーの態度も話した。そして、話を聞いた先生がまた笑った。
「ぷぷぷ。悪事は千里を走るっていうからね。二人とも、来て。手島先生に紹介するよ。占いをしてもらったらどうかな?ユリウス君の恋愛運だ。今日占ってもらえるように頼んでみるよ」
「いいのかな?忙しそうだよ」
「いいから。ダメもとで来てみるよ。はいはい。ユリウス君、立って」
先生がユーリーの腕を引いた。そして、立ち上がったユーリーと俺のことを連れて、ステージサイドに向かった。すでに手島先生はカメラを片付けて、サイドに引っ込んでいた。そこへ訪ねていくというわけだ。
まずは手島先生に上楽先生が声を掛けた。すると、手島先生がニコッと笑った。そして、ああ、久しぶりだと言って、先生のことを迎えた。
「手島先生。お久しぶりです。今日はお客様をお連れしました。黒崎製菓グループの創業者一家である黒崎家の息子さんと、親戚同様にお付き合いのあるバーテルス家の息子さんです」
「どうも初めまして」
上楽先生からの紹介により、俺達も手島先生の前に立った。俺達のことはすでに理事長先生から聞いているらしく、ニコッと微笑み返しを受けた。そして、バンドの名前を言ってくれた。
「聞いています。改めまして、手島津奈都です」
「こんにちは。黒崎夏樹です。こちらはユリウス・バーテルスです。先生の講演を心待ちにしていました」
「はい。こちらの理事長先生からの勧めで、大変面白い先生だと言うことで、楽しみにしていました」
「そうでしたか!ありがとうございます」
ユーリーは正直者だから、テレビで観たことがあるとは嘘をつかなかった。理事長先生からの勧めというのは本当のことだ。ユーリーが情報を集めており、お義父さんが理事長先生にそれを聞いておき、紹介されたという流れだ。
このように社交するのは、黒崎家やバーテルス家の付き合いを広げるためだ。俺は黒崎家に養子になった後で面食らったが、今はそれは仕方のないことだと受け止めている。ユーリーは自然とそれが出来る。ずっとそのように教育されてきたからだろう。
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