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19-29(夏樹視点)
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16時。
大学から帰って来た後だ。俺は今、庭に出ている。ユーリーがお伴してくれている。そして、我が家の家族が花壇のそばに置いてあるボールで遊び、俺達の方を見上げた。
「アン、アンドリュー。もうボールに飽きたの?」
「ボールを放ってくれと言っているんだろう」
「そっか。アンドリューが遠くまでいけないから、転がしてあげるよ」
ユーリーがアン達の気持ちを代弁してくれたところで、俺はボールをポプラの木のそばへと転がした。すると、本当に退屈していたようで、2匹が追いかけていった。彼らは仲が良い。アンドリューが見えない場所まで行かないように俺が見張っていることを知っているのか、アンが遠くまで行こうとしない。以前、アンが離れた場所に行こうとしたら、アンドリューが追いかけていったことがあるからだ。
「アンドリュー。お姉ちゃんと仲が良くて良いね。ああ、遊んでいるよ。これでしばらく退屈しないね。ユーリー。小説を見せてよ」
「ああ。これだよ」
ユーリーが俺にタブレットを渡してくれた。これに彼の作品が載っている。俺達が帰るときに、ユーリーに再度約束してもらってあった。彼の作品を読ませてくれることをだ。それには上楽先生達も話に乗り、後でメールで送ることになった。そして、その作業を今、ユーリーがしていた。それが終わったところで俺の番だ。
さっそく、俺は小説のタイトルを見た。ブリリアンス・オブ・クリスタルという名前だ。あらすじとしては、昔好きだった男性が遠く離れたアメリカに行き、そこで幸せを見つけ、主人公に報告してきた日を境に、また恋心が再燃して、嫉妬で苦しむというストーリーだ。主人公は男性だ。男性同士の恋愛物ということになる。主人公はユーリー本人だが、性格が違う。何でもネガティブに受け止めて苦しむ性格をしている主人公だ。その彼が新天地を求めて引っ越しをするが、いつも好きだった相手のことが頭に浮かんで離れないという苦悶を描いている。
「ユーリー。上楽先生達が読んだら、あんたがモデルだってバレそうだね」
「その覚悟はしている。恥ずかしいとは思わない。僕が見た主人公の性格とか、行動とか、苦悶している内容を感じて欲しい」
「ふむふむ。2人とも、手を振ってくれていたね」
大学から帰るときに、今村先生と上楽先生が俺達にずっと手を振ってくれていた。俺達はタクシーに乗り込み、椅子の背に振り返って手を振り返した。また来るよ。そう言って、いつまでも手を振り、大学でのことが思い出に変わった瞬間を感じた。
今日は最後に驚くことが起きた。半裸で見つかった男性生徒2人に今村先生が雷を落とした後、すぐに服を着させて、学生IDと氏名をメモに控えていた。後で呼び出すと言いながら。俺達はその様子を見守り、なんてこの建物は人が籠もるのだろうと思った。1階で見たからもう何もないと思っていた。それなのに、2階でも見るなんて思わなかった。そんな驚きが消えないうちに資料室の中を全て見終えて、俺達は建物から出てきた。
ドキドキした建物探検だったが、帰る頃になると懐かしいぐらいになっていた。ついさっき入った建物なのに、もう過去のことのように感じられて、寂しさがよぎった。また今度来たいと思った。しかし、その“また”がいつになるか分からない。俺の出た大学でも同じ事が言える。しかし、そこはいつでも来れるという感覚があり、寂しさを感じない。これはどうしてだろう。
「ユーリー。俺、寂しくなったよ。また今村先生と上楽先生に会いたいなあ」
「僕も同じだ。ん?寂しいのはどうしてかって、僕に聞くのか。今、君が口にしたとおりのことだ。また会いたいからだ。あの時の自分はあの時に存在していたのであって、今の自分ではない。世は移りゆく物。そう考えると、あの瞬間にしかない時間は帰ってこない。だから寂しくなる。君が出た大学に寂しさを感じないのは、それだけ通い詰めたからだ。もうお腹いっぱいなんだろう」
「うん。その通りだよ。もうお腹いっぱいだよ。ふうーーーー」
理由が聞けたことだし、俺は大きくのびをした。庭のベンチに座ってタブレットを開き、読書をする。なんて贅沢な時間を使っているのだろうか。
大学から帰って来た後だ。俺は今、庭に出ている。ユーリーがお伴してくれている。そして、我が家の家族が花壇のそばに置いてあるボールで遊び、俺達の方を見上げた。
「アン、アンドリュー。もうボールに飽きたの?」
「ボールを放ってくれと言っているんだろう」
「そっか。アンドリューが遠くまでいけないから、転がしてあげるよ」
ユーリーがアン達の気持ちを代弁してくれたところで、俺はボールをポプラの木のそばへと転がした。すると、本当に退屈していたようで、2匹が追いかけていった。彼らは仲が良い。アンドリューが見えない場所まで行かないように俺が見張っていることを知っているのか、アンが遠くまで行こうとしない。以前、アンが離れた場所に行こうとしたら、アンドリューが追いかけていったことがあるからだ。
「アンドリュー。お姉ちゃんと仲が良くて良いね。ああ、遊んでいるよ。これでしばらく退屈しないね。ユーリー。小説を見せてよ」
「ああ。これだよ」
ユーリーが俺にタブレットを渡してくれた。これに彼の作品が載っている。俺達が帰るときに、ユーリーに再度約束してもらってあった。彼の作品を読ませてくれることをだ。それには上楽先生達も話に乗り、後でメールで送ることになった。そして、その作業を今、ユーリーがしていた。それが終わったところで俺の番だ。
さっそく、俺は小説のタイトルを見た。ブリリアンス・オブ・クリスタルという名前だ。あらすじとしては、昔好きだった男性が遠く離れたアメリカに行き、そこで幸せを見つけ、主人公に報告してきた日を境に、また恋心が再燃して、嫉妬で苦しむというストーリーだ。主人公は男性だ。男性同士の恋愛物ということになる。主人公はユーリー本人だが、性格が違う。何でもネガティブに受け止めて苦しむ性格をしている主人公だ。その彼が新天地を求めて引っ越しをするが、いつも好きだった相手のことが頭に浮かんで離れないという苦悶を描いている。
「ユーリー。上楽先生達が読んだら、あんたがモデルだってバレそうだね」
「その覚悟はしている。恥ずかしいとは思わない。僕が見た主人公の性格とか、行動とか、苦悶している内容を感じて欲しい」
「ふむふむ。2人とも、手を振ってくれていたね」
大学から帰るときに、今村先生と上楽先生が俺達にずっと手を振ってくれていた。俺達はタクシーに乗り込み、椅子の背に振り返って手を振り返した。また来るよ。そう言って、いつまでも手を振り、大学でのことが思い出に変わった瞬間を感じた。
今日は最後に驚くことが起きた。半裸で見つかった男性生徒2人に今村先生が雷を落とした後、すぐに服を着させて、学生IDと氏名をメモに控えていた。後で呼び出すと言いながら。俺達はその様子を見守り、なんてこの建物は人が籠もるのだろうと思った。1階で見たからもう何もないと思っていた。それなのに、2階でも見るなんて思わなかった。そんな驚きが消えないうちに資料室の中を全て見終えて、俺達は建物から出てきた。
ドキドキした建物探検だったが、帰る頃になると懐かしいぐらいになっていた。ついさっき入った建物なのに、もう過去のことのように感じられて、寂しさがよぎった。また今度来たいと思った。しかし、その“また”がいつになるか分からない。俺の出た大学でも同じ事が言える。しかし、そこはいつでも来れるという感覚があり、寂しさを感じない。これはどうしてだろう。
「ユーリー。俺、寂しくなったよ。また今村先生と上楽先生に会いたいなあ」
「僕も同じだ。ん?寂しいのはどうしてかって、僕に聞くのか。今、君が口にしたとおりのことだ。また会いたいからだ。あの時の自分はあの時に存在していたのであって、今の自分ではない。世は移りゆく物。そう考えると、あの瞬間にしかない時間は帰ってこない。だから寂しくなる。君が出た大学に寂しさを感じないのは、それだけ通い詰めたからだ。もうお腹いっぱいなんだろう」
「うん。その通りだよ。もうお腹いっぱいだよ。ふうーーーー」
理由が聞けたことだし、俺は大きくのびをした。庭のベンチに座ってタブレットを開き、読書をする。なんて贅沢な時間を使っているのだろうか。
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