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聖河さんは今もまだローザーさんのことが好きで、町野先生との3人でも良いからと食事の約束を取り付けていた。しかし、“彼氏面”されてムッときたローザーさんが聖河さんのことを2度目にふって、もう大人しくなったかと思えばそんなことはなかった。そのガッツには頭が下がる。そして、執拗なラインという物を見せてもらい、椅子から転がり落ちそうになった。いつどこで誰と何をしているのかと聞いてきている内容を見ると、“ちょっと異常”ぐらいに思ってしまった。そんなことをしなくても、聖河さんにはいくらでも付き合える人がいると思うのに。
俺は聖河さんのことを思い出して、笑いとため息が出てしまった。聡太郎が首をかしげている。そこで、ローザーさんとのことを話した。最近の話は言っていないから知らないと思う。すると、この間のミュージックビデオの撮影の時に聞いたと言い出した。
「ローザーさん。話したんだね!なんだか気味が悪いから、スマホを神社へ持って行って、お祓いしてもらうんだって言っていたんだ。だから、もう誰にも話さないかと思っていたよ」
「そのミュージックビデオの撮影の時に山岸先生が来てくれていたんだ。俺の手のマッサージだけだったから、君に会わずに帰ったんだけど。ローザーさんに会って悲鳴を上げられて、後で事情を聞いたんだ」
「そんなことがあったんだねえ」
そのミュージックビデオの撮影とは、マザーという楽曲だ。8月に発売する予定だったのが10月に延期になった。レコーディングが進まないからだ。久弥の構想ではまだ何か足りないということで、今も作業が続いている。しかし、ミュージックビデオの撮影は延期すること無く続けている。撮影の時に使っている音源はすでに撮り終えてある物を使い、長さが変わったら編集で対応する。しかし、曲調が変わってしまったら、また撮り直しになるかも知れないとも言われている。
マザーの作詞は俺が担当して、作曲は悠人がしている。アレンジも悠人だ。プロデューサーとして久弥が舵を取り、よりよい物に変えてくれていっている。そして、その度にメンバーを集めてレコーディングをして、地道にコツコツと作業が進められている。そんな中、聡太郎は昨日もレコーディングだった。大和と一緒だったというから、元気がどうか聞いておきたい。琉芯にはこの間会ったから元気だと知っている。
「大和は元気だった?」
「元気そうだったよ。なかなかメンバー全員で集まれないね。グループラインでは話しているけどね。久弥さんがみんなに気を遣って、呼び出すのは必要な箇所だけって決めてあるからだね」
「そうだよね。みんなを呼び出してもいいのに。でも、今度、練習があるじゃん。そこからしばらくは顔を合わせられるね」
「そうだね。それにしても、今日は珍しい仕事だよね。来月の夏休み開始シーズンに合わせての心霊番組だ。ゴールデンタイムの特番だから、張り切ろう」
「うん」
俺達が頷き合っていると、スタッフと話していた黒崎が監督の板東さんと会った。向こうから会いに来てくれた。もちろん、俺達も挨拶した。長谷部さんは事務所から電話が掛かってきて、隅の方で対応を始めた。
「板東さん。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ。さあ、入ってくれ。もう準備はしてある。ここは心霊スポットと言えるスタジオだけど、栗下さんが来てくれたから、何も起こらないはずだ。ははは」
「ははは……」
「夏樹君。内緒にしなくても良いんじゃないの?」
「ううん。色々話さない方が良いと思うんだ」
「そう?」
俺は言えなかった。ここのスタジオはヨーク達が掃除機で悲しみの想念を吸い取り、オバケが出ないようにしてあるという話を。もちろん、栗下さんが一緒に居ることも重要だ。縁起のいい人だから、どんなに心霊スポットとして有名なスタジオでも、彼がいると何も起こらないという。そして、それは本当のことだと言いたかった。しかし、宇宙人という存在がいて、不思議な機械を使って綺麗にしただなんて、夢でも見ているのかと言われそうで、言えなかった。
「夏樹君。こっちだそうだよ」
「うん」
聡太郎に呼び止められた。気持ちが動揺して別の方向に行こうとしたからだ。そこで、聡太郎から手を引かれて、随分と良くなった手首を感じて、本当に良かったなあと思った。そして、収録の部屋へ入って行った。
俺は聖河さんのことを思い出して、笑いとため息が出てしまった。聡太郎が首をかしげている。そこで、ローザーさんとのことを話した。最近の話は言っていないから知らないと思う。すると、この間のミュージックビデオの撮影の時に聞いたと言い出した。
「ローザーさん。話したんだね!なんだか気味が悪いから、スマホを神社へ持って行って、お祓いしてもらうんだって言っていたんだ。だから、もう誰にも話さないかと思っていたよ」
「そのミュージックビデオの撮影の時に山岸先生が来てくれていたんだ。俺の手のマッサージだけだったから、君に会わずに帰ったんだけど。ローザーさんに会って悲鳴を上げられて、後で事情を聞いたんだ」
「そんなことがあったんだねえ」
そのミュージックビデオの撮影とは、マザーという楽曲だ。8月に発売する予定だったのが10月に延期になった。レコーディングが進まないからだ。久弥の構想ではまだ何か足りないということで、今も作業が続いている。しかし、ミュージックビデオの撮影は延期すること無く続けている。撮影の時に使っている音源はすでに撮り終えてある物を使い、長さが変わったら編集で対応する。しかし、曲調が変わってしまったら、また撮り直しになるかも知れないとも言われている。
マザーの作詞は俺が担当して、作曲は悠人がしている。アレンジも悠人だ。プロデューサーとして久弥が舵を取り、よりよい物に変えてくれていっている。そして、その度にメンバーを集めてレコーディングをして、地道にコツコツと作業が進められている。そんな中、聡太郎は昨日もレコーディングだった。大和と一緒だったというから、元気がどうか聞いておきたい。琉芯にはこの間会ったから元気だと知っている。
「大和は元気だった?」
「元気そうだったよ。なかなかメンバー全員で集まれないね。グループラインでは話しているけどね。久弥さんがみんなに気を遣って、呼び出すのは必要な箇所だけって決めてあるからだね」
「そうだよね。みんなを呼び出してもいいのに。でも、今度、練習があるじゃん。そこからしばらくは顔を合わせられるね」
「そうだね。それにしても、今日は珍しい仕事だよね。来月の夏休み開始シーズンに合わせての心霊番組だ。ゴールデンタイムの特番だから、張り切ろう」
「うん」
俺達が頷き合っていると、スタッフと話していた黒崎が監督の板東さんと会った。向こうから会いに来てくれた。もちろん、俺達も挨拶した。長谷部さんは事務所から電話が掛かってきて、隅の方で対応を始めた。
「板東さん。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ。さあ、入ってくれ。もう準備はしてある。ここは心霊スポットと言えるスタジオだけど、栗下さんが来てくれたから、何も起こらないはずだ。ははは」
「ははは……」
「夏樹君。内緒にしなくても良いんじゃないの?」
「ううん。色々話さない方が良いと思うんだ」
「そう?」
俺は言えなかった。ここのスタジオはヨーク達が掃除機で悲しみの想念を吸い取り、オバケが出ないようにしてあるという話を。もちろん、栗下さんが一緒に居ることも重要だ。縁起のいい人だから、どんなに心霊スポットとして有名なスタジオでも、彼がいると何も起こらないという。そして、それは本当のことだと言いたかった。しかし、宇宙人という存在がいて、不思議な機械を使って綺麗にしただなんて、夢でも見ているのかと言われそうで、言えなかった。
「夏樹君。こっちだそうだよ」
「うん」
聡太郎に呼び止められた。気持ちが動揺して別の方向に行こうとしたからだ。そこで、聡太郎から手を引かれて、随分と良くなった手首を感じて、本当に良かったなあと思った。そして、収録の部屋へ入って行った。
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