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午前11時半。
早瀬さん達が帰った後だ。庭木への水やりは順調に進んでいて、地面が水浸しになった。その中で、大学生達が水に濡れている。着ているTシャツが透けて見えている。そして、一貴さんが歓声を上げた。一番のお気に入りの子がTシャツを脱いで水を絞り始めたからだ。
「ああーーーー、僕もあの中に入りたい!」
「カズ兄さん。変態的な発言はやめておこうよ。藤沢はどうするんだよ~」
まったく、一貴さんの気の多さには呆れてしまう。前回もしっかりと彼らのことを眺めていたが、今回はもっとじっくりと眺めている。前回と同じ子が来ているからだ。それが一番のお気に入りの子であり、体つきが良くて、爽やかイケメンだという。
一貴さんはずっと藤沢に片想いをしている。それなのに、こんな風に恋をされては落ち着かないだろう。藤沢だって一貴さんが本気で好きでいてくれているのか疑問がわくだろう。誠意というものを見せる必要があると思う。黒崎なんかは浮気心を見せたことがないというのに。
「夏樹君。僕はたまらない。庭に出てくる!」
「やめておけよ~。ユーリー、アレクシスさん。止めてよ~」
今、お義父さんと黒崎とエミリアさんはお義父さんの書斎で話をしているところだ。一貴さんのことを強く止めるというより、自由にさせて上げたいと考えている人達がここに残っている。そのアレクシスさんは笑っている。面白いらしい。ユーリーの方は真剣な顔をしている。
「夏樹。この家の家族が現場を見に行くのは良いことだ。今、水を持って行ったらどうだ?」
「そうだねえ。でも、カズ兄さんに向こうに行く口実を与えることになるんだよ。あ、カズ兄さん!行くのかよ~」
「ああ、水を持って行く。ジュースもあるぞ」
一貴さんがキッチンからクーラーバックを持ってきた。その中に冷蔵庫に入れてあったお水やお茶、ジュース類のペットボトルを詰め込んだ。帰りにも渡すが、作業の中間でも飲んでもらいたい。その任を一貴さんがするというので、黒崎を待ってくれと頼んだ。
「もうすぐで黒崎さんが下りてくるからさ~」
「いいや、僕は行く。一緒に水を浴びてくる。ははは」
一貴さんがクーラーバックを肩に担いだ。そして、さっと外に出て行った。テラス窓からだ。そこには一番のお気に入りの子がいて、さっそく声を掛けていた。彼は今、脱いだTシャツをバタバタとやって、水滴を取っているところだ。
「見ていられないよ~。俺も行く」
「ワン!」
「アンも行くのかよ?水に突進しそうだねえ」
アンはこれから美容院の予約がある。トリミングだ。お店が迎えにきてくれるのに、ずぶ濡れというのは良くないだろう。そこで、アレクシスさんが外に出てくると言ってくれた。
「夏樹。俺が行く。お前はユーリーと一緒に居ろ」
「うん」
このように、俺はこの家で一人でいることがない。なるべく誰かと一緒に居ろと黒崎が言うからだ。俺達の家では俺は1人になることが多いのだが、たまにお義父さんやユーリーが様子を見に来てくれるから、1人ではない。もしも、俺が倒れたときのことを考えてのことだ。
アレクシスさんがテラス窓から外に出た。そして、眩しそうに空を仰いだ。一貴さんはそばにいる子にお水を渡した。そして、順番に大学生達の元に回り始めた。この分だと2人もびしょ濡れになるだろう。
「ユーリー。今日のことは良かったね」
「ああ。裕理が母さんに会ってくれるなんて思ってもみないことだった。頼んで良かった」
「そうだね」
「今年の命日には墓参りをしたい。いや、お盆がある。裕理さえ良ければ……。ん?十字架が光らなかったか?」
「光ったと思うよ」
たった今、拓海さんの祭壇の十字架が光った。太陽からの光による物だとは思うが、まだそこまで光は差していない。これは拓海さんからのメッセージなのではないかと思った。30数年前に起きた出来事は私恨を残し、そのままになっていた。それが少しでもほどけたなら良かったと思った。
早瀬さん達が帰った後だ。庭木への水やりは順調に進んでいて、地面が水浸しになった。その中で、大学生達が水に濡れている。着ているTシャツが透けて見えている。そして、一貴さんが歓声を上げた。一番のお気に入りの子がTシャツを脱いで水を絞り始めたからだ。
「ああーーーー、僕もあの中に入りたい!」
「カズ兄さん。変態的な発言はやめておこうよ。藤沢はどうするんだよ~」
まったく、一貴さんの気の多さには呆れてしまう。前回もしっかりと彼らのことを眺めていたが、今回はもっとじっくりと眺めている。前回と同じ子が来ているからだ。それが一番のお気に入りの子であり、体つきが良くて、爽やかイケメンだという。
一貴さんはずっと藤沢に片想いをしている。それなのに、こんな風に恋をされては落ち着かないだろう。藤沢だって一貴さんが本気で好きでいてくれているのか疑問がわくだろう。誠意というものを見せる必要があると思う。黒崎なんかは浮気心を見せたことがないというのに。
「夏樹君。僕はたまらない。庭に出てくる!」
「やめておけよ~。ユーリー、アレクシスさん。止めてよ~」
今、お義父さんと黒崎とエミリアさんはお義父さんの書斎で話をしているところだ。一貴さんのことを強く止めるというより、自由にさせて上げたいと考えている人達がここに残っている。そのアレクシスさんは笑っている。面白いらしい。ユーリーの方は真剣な顔をしている。
「夏樹。この家の家族が現場を見に行くのは良いことだ。今、水を持って行ったらどうだ?」
「そうだねえ。でも、カズ兄さんに向こうに行く口実を与えることになるんだよ。あ、カズ兄さん!行くのかよ~」
「ああ、水を持って行く。ジュースもあるぞ」
一貴さんがキッチンからクーラーバックを持ってきた。その中に冷蔵庫に入れてあったお水やお茶、ジュース類のペットボトルを詰め込んだ。帰りにも渡すが、作業の中間でも飲んでもらいたい。その任を一貴さんがするというので、黒崎を待ってくれと頼んだ。
「もうすぐで黒崎さんが下りてくるからさ~」
「いいや、僕は行く。一緒に水を浴びてくる。ははは」
一貴さんがクーラーバックを肩に担いだ。そして、さっと外に出て行った。テラス窓からだ。そこには一番のお気に入りの子がいて、さっそく声を掛けていた。彼は今、脱いだTシャツをバタバタとやって、水滴を取っているところだ。
「見ていられないよ~。俺も行く」
「ワン!」
「アンも行くのかよ?水に突進しそうだねえ」
アンはこれから美容院の予約がある。トリミングだ。お店が迎えにきてくれるのに、ずぶ濡れというのは良くないだろう。そこで、アレクシスさんが外に出てくると言ってくれた。
「夏樹。俺が行く。お前はユーリーと一緒に居ろ」
「うん」
このように、俺はこの家で一人でいることがない。なるべく誰かと一緒に居ろと黒崎が言うからだ。俺達の家では俺は1人になることが多いのだが、たまにお義父さんやユーリーが様子を見に来てくれるから、1人ではない。もしも、俺が倒れたときのことを考えてのことだ。
アレクシスさんがテラス窓から外に出た。そして、眩しそうに空を仰いだ。一貴さんはそばにいる子にお水を渡した。そして、順番に大学生達の元に回り始めた。この分だと2人もびしょ濡れになるだろう。
「ユーリー。今日のことは良かったね」
「ああ。裕理が母さんに会ってくれるなんて思ってもみないことだった。頼んで良かった」
「そうだね」
「今年の命日には墓参りをしたい。いや、お盆がある。裕理さえ良ければ……。ん?十字架が光らなかったか?」
「光ったと思うよ」
たった今、拓海さんの祭壇の十字架が光った。太陽からの光による物だとは思うが、まだそこまで光は差していない。これは拓海さんからのメッセージなのではないかと思った。30数年前に起きた出来事は私恨を残し、そのままになっていた。それが少しでもほどけたなら良かったと思った。
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