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少し経って、お義父さんが戻ってきた。3冊の本を持っている。表紙からすると年代物であり、触れると壊れそうに感じた。何も記録は残っていないと聞いていたが、よく探してみると見つかったそうだ。おそらく、アンリさんが書いた物だということだ。
お義父さんが一冊目を広げて見せてくれた。表紙は白であり、庵里の日記と書いてある。筆に墨を付けて書いた文字だ。乾燥していたからなのか、表紙が取れそうになっている。しかし、中は綺麗なままだ。達筆という感じの字が並んでいる。
「これ、解読するのが大変だね。もう使っていない言葉があるよ」
「そうだね。私が読んだときは目が疲れてしまった。亡くなった子へのレクイエムがこのページに書いてある」
「どれどれ。えーーっと、彼は昴の星に帰った。もう会えないわけではない。きっといつか会える日が来る。また会おうと再会を誓い、手を繋いだ日に、彼の死を予測していた。秀悟には言えなかった。あ、秀悟さんが出てきたね」
「2人は特別に仲が良かったそうだ。アンリ君は海外から来たとされているが、突如現われたことで鬼かも知れないと思われたそうだ。見た目が海外の血が入っているとされている。元は機織り工場で働こうと申し込んできた人だったそうだ。そこで、腕がいいということで、当時の当主が惚れ込んで、アンリ君を養子にしたそうだ。その時の秀悟さんは16歳。アンリ君は18歳だということだった。しかし、アンリ君は年を取らないから、秀悟さんが追い越したそうだ。28歳ということになっていたそうだ。秀悟さんは50代になっていても、そうだったそうだ」
「不思議な話だね。ユーリーみたいに海外から来たのかな?それとも、宇宙人?」
「その可能性はある。なんたって、不思議な家だ」
その不思議な人は今、外に出ている。一貴さんのことだ。ヨークが彼のことを止めてくれない。大学生の中にいて、はしゃぎ回っている。ここからでもその姿を見ることが出来る。
「そういえば、カズ兄さん、大丈夫かな?」
「さっき窓から外を見たときは、片付けをしていた」
「どこかな?あ……」
庭の中を目をこらして見てみると、案外早く一貴さんの姿を見つけることが出来た。ポプラの木の下で、お気に入りの子に壁ドンしているところだった。これは不味いと思ったが、2人が同意しているなら良いかと思った。しかし、藤沢のことはどうするのかと思って、背中に汗を掻いた。
「お義父さん!カズ兄さんが大学生に手を出しているよ~」
「ああ、まずいことだ。止めないといけない。私が行ってくる」
「電話を掛けるよ。持っているはずだから」
そう言って、俺は一貴さんに電話を掛けた。すると、着信音がそばにあるソファーから流れ始めた。一貴さんのスマホがここにあった。また、ないないと言って探し回らないといけないだろう。
「全く。また探さないといけないよねえ。あ、それより、まずい展開だね。俺が行って来るよ。お義父さんは待っていてよ」
俺は一貴さんのスマホをテーブルの上に置き、テラス窓から外に出た。すると、熱風が吹いてきて、うめいてしまった。たしかに今日の都内は暑いと言っていたが、こんなに暑いのかと思ったからだ。そして、俺は一貴さん達の元に急いだ。
「笛でも買おうかな?カズ兄さんが何かしていたら、ピーーって吹いたら良いからさあ」
良いことを思いついた。そうすることにした。特に今日みたいな時にはピッタリだ。そう思いながらポプラの木の元に向かうと、一貴さんが大学生に壁ドンをしているままだと分かった。きっと口説いているのだろう。周りには他の大学生達の姿が無くて、向こうの方にいることが分かった。そして、口説かれている彼は俺のことを見て、あ、という顔をした。助けてくれということか。一貴さんは俺のことに気がつかない。
「君の瞳にクラクラだ。どうか、僕の部屋に来てくれ。サイズを測らせてもらいたい。君に似合う服をプレゼントする。だから、名前と住所と電話番号と、大学の所属学部を教えてくれ」
「カズ兄さん。だめだよ~。そんなことをしたらさ~」
「あ……!ああーーー、しまった!」
一貴さんが俺の声に驚いた顔をして振り向いた。大学生の方はホッとした顔をしている。そして、こう言った。俺、付き合っている子がいるんですと。それを言っても離れてくれなくてと。そこで、俺は一貴さんの背中を叩き、大学生から引き剥がしたのだった。
お義父さんが一冊目を広げて見せてくれた。表紙は白であり、庵里の日記と書いてある。筆に墨を付けて書いた文字だ。乾燥していたからなのか、表紙が取れそうになっている。しかし、中は綺麗なままだ。達筆という感じの字が並んでいる。
「これ、解読するのが大変だね。もう使っていない言葉があるよ」
「そうだね。私が読んだときは目が疲れてしまった。亡くなった子へのレクイエムがこのページに書いてある」
「どれどれ。えーーっと、彼は昴の星に帰った。もう会えないわけではない。きっといつか会える日が来る。また会おうと再会を誓い、手を繋いだ日に、彼の死を予測していた。秀悟には言えなかった。あ、秀悟さんが出てきたね」
「2人は特別に仲が良かったそうだ。アンリ君は海外から来たとされているが、突如現われたことで鬼かも知れないと思われたそうだ。見た目が海外の血が入っているとされている。元は機織り工場で働こうと申し込んできた人だったそうだ。そこで、腕がいいということで、当時の当主が惚れ込んで、アンリ君を養子にしたそうだ。その時の秀悟さんは16歳。アンリ君は18歳だということだった。しかし、アンリ君は年を取らないから、秀悟さんが追い越したそうだ。28歳ということになっていたそうだ。秀悟さんは50代になっていても、そうだったそうだ」
「不思議な話だね。ユーリーみたいに海外から来たのかな?それとも、宇宙人?」
「その可能性はある。なんたって、不思議な家だ」
その不思議な人は今、外に出ている。一貴さんのことだ。ヨークが彼のことを止めてくれない。大学生の中にいて、はしゃぎ回っている。ここからでもその姿を見ることが出来る。
「そういえば、カズ兄さん、大丈夫かな?」
「さっき窓から外を見たときは、片付けをしていた」
「どこかな?あ……」
庭の中を目をこらして見てみると、案外早く一貴さんの姿を見つけることが出来た。ポプラの木の下で、お気に入りの子に壁ドンしているところだった。これは不味いと思ったが、2人が同意しているなら良いかと思った。しかし、藤沢のことはどうするのかと思って、背中に汗を掻いた。
「お義父さん!カズ兄さんが大学生に手を出しているよ~」
「ああ、まずいことだ。止めないといけない。私が行ってくる」
「電話を掛けるよ。持っているはずだから」
そう言って、俺は一貴さんに電話を掛けた。すると、着信音がそばにあるソファーから流れ始めた。一貴さんのスマホがここにあった。また、ないないと言って探し回らないといけないだろう。
「全く。また探さないといけないよねえ。あ、それより、まずい展開だね。俺が行って来るよ。お義父さんは待っていてよ」
俺は一貴さんのスマホをテーブルの上に置き、テラス窓から外に出た。すると、熱風が吹いてきて、うめいてしまった。たしかに今日の都内は暑いと言っていたが、こんなに暑いのかと思ったからだ。そして、俺は一貴さん達の元に急いだ。
「笛でも買おうかな?カズ兄さんが何かしていたら、ピーーって吹いたら良いからさあ」
良いことを思いついた。そうすることにした。特に今日みたいな時にはピッタリだ。そう思いながらポプラの木の元に向かうと、一貴さんが大学生に壁ドンをしているままだと分かった。きっと口説いているのだろう。周りには他の大学生達の姿が無くて、向こうの方にいることが分かった。そして、口説かれている彼は俺のことを見て、あ、という顔をした。助けてくれということか。一貴さんは俺のことに気がつかない。
「君の瞳にクラクラだ。どうか、僕の部屋に来てくれ。サイズを測らせてもらいたい。君に似合う服をプレゼントする。だから、名前と住所と電話番号と、大学の所属学部を教えてくれ」
「カズ兄さん。だめだよ~。そんなことをしたらさ~」
「あ……!ああーーー、しまった!」
一貴さんが俺の声に驚いた顔をして振り向いた。大学生の方はホッとした顔をしている。そして、こう言った。俺、付き合っている子がいるんですと。それを言っても離れてくれなくてと。そこで、俺は一貴さんの背中を叩き、大学生から引き剥がしたのだった。
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