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ところで、風林さんは大丈夫なのだろうか。そんなことになっているなんて、想像もしていなかった。俺は高校生の時に道ですれ違った人に学校の正門まで追いかけてこられて怖い思いをしたことがある。そして、その人は何度も学校に来ていた。その経験があるから、つきまといの怖さを経験している。
しかし、風林さんの場合は前の会社で嫌な思いをしている。そして、それがきっかけで退職して今の会社に移ったというのに、追いかけてこられたなんて怖すぎるだろう。会社を辞めた意味もない。
「黒崎さん。あんたが言ったら簡単に解決するの?危ない目に遭わない?」
「危ない目には遭わない。俺達は知り合いだ。向こうだって恥という物がある。知られたくないという奴だ。だから、俺が話すと早いとは思っている」
「そうなんだね。逆恨みされないかな?」
「風林と同じ事を言うんだな。一度忠告するだけでいい」
そう言った黒崎の目が光ったように感じた。それは、否と言わせないという目だ。電話だとしても、声でそう伝わる。黒崎はそういう人だ。この人に俺は守られている。高校生の時はつきまといの男の人達を蹴散らしてくれた。その中で一番の強いつきまといだとは言える。
「黒崎さん。頼りになるね」
「俺はセクハラが嫌いだ。話してやったことがあるだろう。20歳で親父の秘書になった後、会食で会った男から身体を触られたことを……」
「覚えているよ。トイレに席を立った後、追いかけてきて、柱の陰で腰を撫でられたんだろ?」
「ああ。俺と付き合いたいなら連絡先を聞いてくるだろう。本気だということだ。しかし、その男はそうじゃなかった。嫌がらせだ。からかって遊んでいたんだ」
「嫌な人だね。その人だけだった?」
「いや、何人か居たぞ」
「お義父さんの息子だって分かっているよね?」
「ああ。父親が同じ席に居てもそういうことをする奴はいる。俺が黙っていると思っていたんだろう。実際に俺は黙っていた」
「恥ずかしいからだよね……。可哀想に……」
その話を聞いて悲しくなった。そして、トイレに席を立った後で追いかけていき、柱の陰で腰を撫でる人を身近で知っていることを思いだした。一貴さんだ。今は藤沢という好きな相手がいるからそういうことをしないと思うが、それまでの間はそういうことをしていたそうだ。
「カズ兄さんって、セクハラ行為で訴えられていないのかな?会食の相手にそういうことをしていたんだよ」
「あいつは口説いていたんだ」
「セクハラ行為と何が違うんだよ?」
「同意があった」
「それ、怪しいなあ。相手が同意していないって言えば、終わりじゃん」
一貴さんがそういうことをしていたことは悠人から聞いてある。一貴さんからの懺悔を聞いたそうだ。そして、その後で早瀬さんにも同じ事をして、ちっとも悪いと思っていないじゃないかと呆れていた。
今日は水端さんと親しくなれて良かったと思った。そして、手を出していないことが分かって、藤沢への想いが本物なのだと知った。その藤沢も今、二次会に行っているだろう。彼もセクハラ行為を受けたことがあり、一時期は一貴さんが撮影現場や会食の席に同席して見張っていた。
そういうわけで、藤沢は一貴さんのお気に入りだとか恋人だとか言われるかと思えば、そうではない。一貴さんは弱い立場になりがちな人のそばにいて守っているからだ。それで藤沢からすれば、一貴さんに恋人候補が何人もいるのだと思わせてしまっている。
「黒崎さん。お茶を飲まない?」
「ああ。飲もう。シャワーはいいのか?」
「喉が渇いたからさ。今日のカズ兄さんのこと、話したいし」
黒崎には話すことは山のようにあると思う。朝までかかりそうなぐらいだ。黒崎の方はそれでもいいと言ってくれている。そこで、俺は冷蔵庫からルイボスティーの作り置きを取り出した。そして、二つのグラスに注ぎ入れて、黒崎の元に持って行った。すっかり元通りになったと思いながら。
しかし、風林さんの場合は前の会社で嫌な思いをしている。そして、それがきっかけで退職して今の会社に移ったというのに、追いかけてこられたなんて怖すぎるだろう。会社を辞めた意味もない。
「黒崎さん。あんたが言ったら簡単に解決するの?危ない目に遭わない?」
「危ない目には遭わない。俺達は知り合いだ。向こうだって恥という物がある。知られたくないという奴だ。だから、俺が話すと早いとは思っている」
「そうなんだね。逆恨みされないかな?」
「風林と同じ事を言うんだな。一度忠告するだけでいい」
そう言った黒崎の目が光ったように感じた。それは、否と言わせないという目だ。電話だとしても、声でそう伝わる。黒崎はそういう人だ。この人に俺は守られている。高校生の時はつきまといの男の人達を蹴散らしてくれた。その中で一番の強いつきまといだとは言える。
「黒崎さん。頼りになるね」
「俺はセクハラが嫌いだ。話してやったことがあるだろう。20歳で親父の秘書になった後、会食で会った男から身体を触られたことを……」
「覚えているよ。トイレに席を立った後、追いかけてきて、柱の陰で腰を撫でられたんだろ?」
「ああ。俺と付き合いたいなら連絡先を聞いてくるだろう。本気だということだ。しかし、その男はそうじゃなかった。嫌がらせだ。からかって遊んでいたんだ」
「嫌な人だね。その人だけだった?」
「いや、何人か居たぞ」
「お義父さんの息子だって分かっているよね?」
「ああ。父親が同じ席に居てもそういうことをする奴はいる。俺が黙っていると思っていたんだろう。実際に俺は黙っていた」
「恥ずかしいからだよね……。可哀想に……」
その話を聞いて悲しくなった。そして、トイレに席を立った後で追いかけていき、柱の陰で腰を撫でる人を身近で知っていることを思いだした。一貴さんだ。今は藤沢という好きな相手がいるからそういうことをしないと思うが、それまでの間はそういうことをしていたそうだ。
「カズ兄さんって、セクハラ行為で訴えられていないのかな?会食の相手にそういうことをしていたんだよ」
「あいつは口説いていたんだ」
「セクハラ行為と何が違うんだよ?」
「同意があった」
「それ、怪しいなあ。相手が同意していないって言えば、終わりじゃん」
一貴さんがそういうことをしていたことは悠人から聞いてある。一貴さんからの懺悔を聞いたそうだ。そして、その後で早瀬さんにも同じ事をして、ちっとも悪いと思っていないじゃないかと呆れていた。
今日は水端さんと親しくなれて良かったと思った。そして、手を出していないことが分かって、藤沢への想いが本物なのだと知った。その藤沢も今、二次会に行っているだろう。彼もセクハラ行為を受けたことがあり、一時期は一貴さんが撮影現場や会食の席に同席して見張っていた。
そういうわけで、藤沢は一貴さんのお気に入りだとか恋人だとか言われるかと思えば、そうではない。一貴さんは弱い立場になりがちな人のそばにいて守っているからだ。それで藤沢からすれば、一貴さんに恋人候補が何人もいるのだと思わせてしまっている。
「黒崎さん。お茶を飲まない?」
「ああ。飲もう。シャワーはいいのか?」
「喉が渇いたからさ。今日のカズ兄さんのこと、話したいし」
黒崎には話すことは山のようにあると思う。朝までかかりそうなぐらいだ。黒崎の方はそれでもいいと言ってくれている。そこで、俺は冷蔵庫からルイボスティーの作り置きを取り出した。そして、二つのグラスに注ぎ入れて、黒崎の元に持って行った。すっかり元通りになったと思いながら。
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