青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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24-1 ユーリーの恋

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 8月27日、土曜日。午前9時。

 今日は南波さんがうちの庭に遊びに来る日だ。庭で動画配信をするためだ。そこで、夜はキャンプをしようと思っている。南波さんはお昼前にうちに来るから、お昼ご飯を一緒に食べようと思っている。そこで、俺はマリーズカフェでシフォンケーキや焼き菓子などを買うために、ユーリーが運転する車に乗って、お店に向かっている。

「らららーーーー。らららーーーー。今朝は喉の調子がいいなあ」

 さっき鼻歌を歌ってみるとそう思った。そこで今、発声練習をすると、やっぱり喉の調子がいい。こういう時にレコーディングをすればいいが、今日はその予定が無くて、テレビの収録の仕事も無い。こういう日に限ってそうだ。喉の調子がイマイチだなと思う日に限ってレコーディングだったり、声の出が良くない時に限って仕事が入ったりする。なかなか上手くいかない。

 しかし、喉の調子が良い日があるのは嬉しいことであり、いつでも良い日になるようにしていかなければならないと思っている。そういうことを言ったら、羽音さんが、気負わないようにと言ってくれた。羽音さんこそ、いつでも声の出が良さそうだ。すごいと思っている。

「夏樹。何か歌ってくれ」
「いいよ。I still love youにしようか」
「それはやめてくれ。チクチク嫌みを言わないでくれ」
「いいじゃん。七夕の願い事に書いてあっただろーーー」

 ユーリーが短冊に書いた願い事には、アメリカにいる好きだった人が恋人と別れますようにというものがあった。そして、その短冊は、京都にある神社に奉納された。もちろん、俺達の願い事も一緒にだ。一貴さんが出張先で神社に寄ってくれた。そして、祈願をしてもらい、ふざけた短冊を書いてはいけないと思ったそうだ。

「ユーリー。神様にあんたの願い事が知られてしまったよ。罰が当たるよ」
「しまったと思った。奉納すると聞いたのは、短冊を書いた後だったんだ」
「その願い事を、カズ兄さんに渡さなかったらよかったのに……」
「僕の願いを届けてもらいたい気になったんだ。でも、上手くいっているようだ」
「それはそうだよ。そんな願い事は叶えてくれないよ~」

 アメリカにいる友達からは、時々、メールが入ってくるそうだ。ユーリーの気持を知らないから、本当に友達といった感じで、パートナーのことや、2人で出かけた先での出来事の話などを知らせてくるという。ユーリーに気持がなければ楽しいメールだが、ユーリーとしてはツラい恋心を思い出すし、今でも好きだと認識するという。

 今乗っている車はお義父さんの車だ。ユーリーに乗ってくれと言っていたとおり、乗っている。ユーリーは車を買う気でいたが、お義父さんの車が滅多に動くことがなくなり、いざという時に動かなくなったらどうしようと言っていたから、乗ることにした。結構大きな車だと思うが、器用に運転している。

「ユーリー。ドイツの車はどうしたの?」
「知人に譲ったよ。僕はもうこっちにいるから、アパートも引き払ってある。オバケが出る噂のアパートだ。階段のそばで見るとか、色々と噂があった。その部屋も、知人が住んでいる」
「オバケが好きだねえ。月島さんとはどう?仲良くやってる?」
「もちろん仲が良いよ。僕のことはずっと好きだと言ってくれている。僕は僕でアメリカの彼のことがあるから、気持が分かるんだ。でも、月島君のことはタイプじゃ無いなあ」
「いい人なのに。南波さんもいい人だけど……」
「南波君が可愛いからなあ。僕のタイプだ」
「あんたって、外見から入るタイプ?」
「いいや。内面からだ。南波君のことは可愛いって思って見たけど、話している感じとか、受け答えの感じを見て好きになった。とにかく真面目だ」
「月島さんも可愛いし、真面目じゃん」
「月島君は可愛い系じゃない。真面目ではあるけどね。親友っていう間柄がいい」
「ふうん。あんたは忙しいね。南波さんのことが好きだし、アメリカにいる友達のことも好きだし」
「結婚したっていう知らせで気がついたんだ。まだ好きだって……」
「そうだねえ。あんたが禁酒するきっかけになったもんねえ……」

 人の気持は不思議だ。恋愛は厄介だ。こんな思いをするのならもう要らないよ。俺がかつて歌った歌の歌詞を思い出した。そこで、何か歌のリクエストを受けていたのだと思い出した。ユーリーと話していると、次から次へと話題が出てきて止まらない。
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