青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 さて、何の歌を歌おうかと思った。店まではあと5分以上掛かるから、一曲フルで歌おうかと思った。そして、今レコーディング中のマザーを歌うことにした。どんどん仕上がってきて、完成形が目の前まできそうだ。バンドでの演奏と、アコースティックバージョンの2パターンを撮っている。母への想いを歌った歌にしていたが、歌詞を少し変えた。生まれてくる前の記憶を入れてみた。そこで、久弥がOKを出して、レコーディングが前に進み始めた。

「In earth as it is in heaven ……Where are you born ……next……lalalaーーーー。どう?この曲ならいいだろ?」
「天にあるように地にも……、あなたはどこに生まれますか、か」
「うん。nextの後には歌詞を書いていないんだ。思い浮かぶようで思い浮かばなかったし、聞き手の想像に任せたいと思ったんだ」
「そうか。生まれてくる前の記憶はあるのか?」
「それが最近になって出てきたんだ~。でも、夢かも知れないんだ。そんな俺が書くのはどうかなって思ったけど、マザーの完成が進まないし、何か足りないような気がするって思っていて、そこで、さっきの歌詞を入れたら、しっくりきたんだ」
「なるほど。天にあるように地にもというのは、君の記憶だな。地球を見ていたのか?」
「うん。俺、宇宙船から見ていた気がするんだ。夢の中で秀悟さんとアンリさんに会ったとき、俺、シュリって呼ばれて、そばにいたんだ。でも、ヨークとウーリみたいなエネルギー体だったと思うんだ。そうやって、生まれ変わりがあって、ここに来たんだなあって思っているんだ」
「そうか。その夢というのが不思議だな。一貴さんの元の名前はヨシュア。君はシュリ。圭一はどんな名前だったんだろうな」
「ヨークが教えてくれないんだ。カズ兄さんは知っているみたいだけど、まだ内緒にしているんだと思うよ。あんたの過去世のことも聞きたいのに。月島さんの友達だったってことは、月島さんが教えてくれたけど……」
「詳しいことは聞いていない。悲しい記憶があるそうだ」
「そうなんだね。Lalalaーー、貴方の記憶ーー、魂の礎を築いた貴方ーー。この地球でーーなんてどう?」
「マザーの歌詞は母への気持だろう?まるで、天使が亡くなる人に伝えているメッセージのようだ」
「そうだねえ。次の曲に使おうかな……。らららーーーー。ユーリーが恋をしたーーーー。多々良さんーーーー。どう?」
「多々良君には恋人ができたんだろう。遠藤さんがそう言っていた。僕はちゃんとフラれたし、南波君のことを好きになったと話をしてあるから、イジらないでくれ」
「はいはい。二股していなかったら、今頃南波さんと付き合っていたよねえ。月島さんにバラされていなくても、バレていたと思うんだ。あ、もう着いたんだね」

 車が右折をして、角にある店に入って行った。マリーズカフェだ。午前7時半から営業しているこの店は、ガラス壁から見える範囲で見ると、お客さんで賑わっていた。

「夏樹。僕も一緒に入る」
「うん。あんたの好きな物を買ってよ。色々あるよ。焼き菓子の種類が多いからさ~」

 2人で車から降りた。どうして黒崎がいないかというと、過保護をやめる練習の続行中だからだ。黒崎からすれば、俺のことを安心してユーリーに預けられるのだろう。一貴さんの車にも乗って出かけたこともあるから、信頼されている。なんだかんだ言って、黒崎は肩の力を抜いていると思う。

「あ、黒崎さんからだ。すごいタイミングだなあ」
「見ていたようだな」

 すると、黒崎から電話が掛かってきた。電話に出ると、店に着いただろう。ドライブは楽しかったかということを言われた。そこで、俺は、過保護をやめたんじゃ無かったのかとツッコんで、やっぱりやめられないのだと分かり、黒崎らしいなと思ったのだった。
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